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鬼と秋

校庭にひびくかけ声とゆるやかな秋の風。

土の上を転がる色あざやかな落ち葉。

ああ、こんな日には花見屋の秋季限定栗ようかんが食べたいなあ・・・・・・。

「この文を高野!読め」

大きな声にとびあがりながら顔を前に向けると、案の定岡本先生が私をにらんでいる。

・・・・・・やばい、聞いてませんでした。さっきまでののんびり気分からは一転、パニック状態。

「ど・・・・・・こですか」ああ、声が震えてるのが自分でもよくわかる。

「100メートル走を見るのがそんなに楽しいか」

はい。こんな眠くなるような英語の授業よりはずっと。・・・・・・なんて本心を言おうものなら確実に消されるので「すいません」とつぶやく。

くすくす笑うみんなからの視線が痛いのでひらきっぱなしのノートをにらみつけてごまかす。

「まあいい。座れ」

・・・・・・え?座っていいの?厳しい岡本先生にしてはめずらしい。ラッキーだ。


・・・・・・と思ったら甘かった。


橙色の西日が差し込むここは校内の図書室。

「くっそー、岡本め・・・・・・」そんな私の声も、虚しくひびく。

『このリストに載ってる本を放課後図書室から探して、手前の本棚に入れておいてくれ』

授業終了後、先生から呼び出された私はまず耳を疑い、それから目を疑った。

なぜって、リストに載ってる本はかるく百冊はあったからだ。

聞くところによると授業でつかうもののようだ。どおりで著者が外国人の本ばかりなわけだ。

って、ひどい!鬼!

もう生徒は誰ひとり残っていない。時計を見るともう6時近い。まったく、かよわい女子生徒を遅くまでこき使って・・・・・・。今は秋だからだんだん日が暮れるのも早くなっている気がする。

もっとも、こんなに時間がかかってしまった理由としては、私が半ばいじけて関係の無い推理小説に読みふけって寄り道していたのが挙げられる。

つまりは自業自得、ってやつだ。私はため息をつく。







遅くなりました。そして季節はずれです(汗

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