表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

プライドと推理問題

ピーンポーン・・・・・・

かわいらしいインターホンの音で目が覚めた。

時刻、午前6時35分。

今日は土曜日だから学校はない。せっかくの眠りを・・・・・・。

私はぶつぶつ言いながらその辺に放り出してあった服に着替えた。

それにしても誰がこんな時間に・・・・・・。

「はあい」と言いながらドアを開け、そこにいた人物を確認すると、バタンッと閉めてしまった。

「うわっ、なんで閉めるんだよ・・・・・・」と外から情けない声が聞こえる。

細く開けたドアの隙間から見えたのは、やっぱり情けない顔つきの田中春人だった。


「で、なんの用?」

本当は聞かなくても薄々わかっているのだが、意地悪をしてみたい衝動に駆られて聞いてみた。

「もちろん」春人は自信満々に言った。

「家賃についてですよ」

正直、今は家賃なんかより早く布団にもぐりこむことのほうが大切だった。少なくとも、私にとっては。

それにここはアパートの廊下。少し冷えた秋の風が身にしみる。

「いつまでよ」あくびをかみ殺しつつたずねる。

「では2週間ほど・・・・・・」

昨日より延びている気もするが、まあいい。

「んじゃあ」と部屋に戻ろうとしたら、春人が引きとめてきた。まだ何かあるのだろうか。

「ちょっと僕の部屋寄ってってよ。いいものがあるから」寝ぐせのついた髪を直そうともせず、にへらっと笑った。


春人の部屋は201号室。私の部屋のちょうど真上に当たる。

部屋に足を踏み入れたとたん、唖然とした。部屋の中は乱雑した無数の本でいっぱいだったからだ。

私にもようやく大家としての自覚が芽生えてきたのか、思わず「床が抜けたりしないんでしょうね」と怒鳴ってしまったぐらい。

「大学でミステリー同好会に入っててさあ。亜樹ちゃんも推理小説好きなんだろ? 気が合うなあ」

たしかにそんなことを言った記憶があるが、お前と気が合っても全然うれしくない!!

しかもミステリー同好会って・・・・・・なんか胡散臭い。

「な・・・・・・別にそんな怪しいわけじゃないんだよ。まあ、なんと言うか・・・・・・ただ推理小説が好きな人の集まりってわけ」

「そうなんだ・・・・・・。で、いいものって?」

そうたずねると、春人はよくぞ聞いてくれたというようにうなずいた。

「で、たまに推理問題みたいなのを出し合ってるんだけれど・・・・・・」

「推理問題?」

「まあ・・・・・・ちょっとした犯人当てや暗号とか」

そこで春人は困ったような顔になった。

「同好会には僕ら3年生が5人、2年生が2人、1年生が7人いるんだけど・・・・・・」

4年生はそれどころじゃないってわけね。

「そこで1年生に問題を出されたんだけどね・・・・・・それがその、あれでね」

なんか嫌な予感・・・・・・。

「まさかわからなかったの?」

はっきりうなずく春人。

「解けとか言わないでよ?」

私が言葉を言い終わらないうちに春人はどこからか白い紙を引っ張り出してきた。

「お願いしますよ~俺にも先輩としてのプライドってもんがあるんだから」

その後輩とやらよりも私のほうが年下なんだけどなあ。

仕方なくひろげた紙にはワープロで印字してあった。


  

  《謎のダイイングメッセージ》

僕は探偵ショータ。今日の依頼は殺人事件の犯人を捕まえてほしい、とのこと。

場所はかなり大きな豪邸。

被害者は猫野三四郎、62歳。屋敷の主でもあり、大きな会社の社長でもある。

ワインのビンで何回も頭を殴られたらしく、顔は血まみれだった。

金持ちなだけあり、恨みを持つ人も大勢いる。

しかしなんとか死亡推定時刻やアリバイなどによって容疑者は3人に絞られた。

被害者の妻、猫野絹代。被害者とはあまり仲がよくなかったようだ。

息子の猫野洋太。被害者と同じ会社に勤めていたが、金のことでもめていたらしい。

友人、木野明。なんでも被害者に莫大な借金を抱えていたとか。

しかも、被害者のそばには被害者自身の血で書かれた「十/3」の文字があった。

これはダイイングメッセージというもののようだ。

「おや、このシミは?」僕は被害者が倒れていた絨毯を指さしてたずねた。ちょうど「/」と「3」の間にちょん、と短い線のような血がついている。

そばにいた刑事は不機嫌そうに「たまたま付いただけだろう」とぶっきらぼうに言った。

たまたま・・・・・・なのだろうか。しかも、「十」の横画が他と比べて太いのも気になる。

そこで現場を仕切っていた和田警部が「で、この血文字の意味がわかったのかね」と皮肉っぽく聞いてきた。僕のような一般人に首を突っ込まれるのが不快なようだ。

僕は考えこんでいたが・・・・・・。

「そうか!警部、この血文字は犯人を指しているんですよ!」

さて、犯人は誰なのだろうか?


文字はここで終わっていた。題名がかなりありきたりなのは気になったけれど・・・・・・。

「で、わかった?」

春人がお茶をはこんできた。どうやら紅茶のよう。

「コーヒーは飲めなくてね」とのこと。

「ちゃんと考えたの?」

「一応」怪しい。

こういうのは被害者の気持ちになるのが一番だ。私はメモ帳とペンを持ってきてもらう。傍から見ればかなりおかしな光景だとは思ったが。

ダイイングメッセージを書いてみると。

「・・・・・・あ」

「わかった!?」と春人がのぞいてきたが・・・・・・。

「だめ」私はメモ帳を隠す。「自分で考えないと」

春人がお菓子をおあずけされた子供のような目で見てきた。あー、その目はやめろ、わかったから。

私は説明を始めた。


・・・・・・さて、犯人は誰だったのでしょう?

かなり遅くなってしまいました。

作中の問題は実際に書いてみてください!

結構ストレートです。

読んでくださって本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ