サバゲーアタック!!
5ヶ月の沈黙が……今……破られる……。
山の夕焼けはどうしてこうも綺麗なのだろう。
超美男子サバげーマーことわたくし守宮は採石場からの眺めにため息をもらした。(迫真)
色づいた山々、茜色の空、灰色の人工物など存在しない地球のありのままの姿。
ああ、田舎の景色は実に美しい。
*(かっこつけたこと言ってますが守宮さんの家周辺も田舎です。USJに行ったとき『都会スゲー』を連呼して友人に恥ずかしいからやめてくれと懇願されたことがあります)
さて、やや日もくれたところで今日の最終ゲーム。私が崖で待ち伏せした試合から5試合が行われ、全てに参加しましたがどの試合でも秒殺。いまだに1HITも取れないま最終ゲーム。ちなみに私と同じ初心者の山田さんは最初の試合で2HIT、その後の試合では0HITだったが初心者にしては順調すぎる滑り出し。
私、0HIT……悲しすぎる。
ヨッシーさんとジャックさんについては、2人とも不調、不調と言いながら、仲良く合計で10HIT以上叩きだしており……考えただけで憂鬱。
『皆さん最終ゲームの時間になりました。赤チームは山上、黄色チームは山下、5分後にスタートです』
山名さんが拡声器を使ってセイフティ―ゾーンを駆け回る。
煙草をくわえた人、4人で《狩り》していた人、濡れタオルで頭を冷やしていた老兵などほぼすべてのサバゲーマーが装備を整え始めた。さすがに最終ゲームは総力戦になりそうだ。私はヨッシーさんからお借りした『MP7』のチェックを開始した。『SCAR』は最終ゲームでジャックさんが使いたいと申し出たので即返却。
ありがとう『SCAR』。
かっこいいよ『SCAR』。
自分の銃ではないのだが、別れ際には何か悲しいものが心の奥からあふれ出た。いつかはあのようなかっこいい電動ガンを持ちたいものだ。
次お前を構える時には、お前を立派に使いこなせるゲーマーになってるからな。
ということで私は『MP7』を背中に背負い、その予備マガジン4本をベルトに挟んで軽い登山を開始した。何度かチーム変更が行われたが今回の試合も赤チーム。なぜか全試合を通して『赤』多いのは何故だろう。登山の途中でジャック、ヨッシーさんの2名と合流。山田さんは今回山下『黄色』チームだ。
「どうやら皆とは敵のようだな!! ふふふっ、3人ともこのM4の錆にしてくれるわ」
絶好調な山田さんは出発前、笑いながら私たち3人を見送ったのだが。
このとき私が。この糞ダボが、2HITで調子に乗りやがって!! この試合で、てめえの穴という穴にBB弾ぶち込んで血祭りにしてやるぜ!!
とか考えていたということは私と読者様だけの秘密だ。
山上拠点に到着すると、今回の試合を通して知り合いになったゲーマーさんがちらほら見られた。M14担いだランボーおじさん。坂で共闘したスナイパーさん。それにやられた無様なゲーマーさん。第二試合で仲良くなった自衛隊コスのゲーマーさんなど。
「お、おお……さすがにフル参戦は多いな」
ヨッシーさんは苦笑いを浮かべる。
「今日暑かったから試合重ねるごとに人減ってしまったもんね。フル参戦初戦以来じゃない」
ジャックさんは私が返却した『SCAR』をホクホク顔で構えながらそれに答えた。やはりマイ銃が手元にあればそれだけやる気も違ってくるものだろう。
『それではゴーグルを着用してください----』
もうすっかり聞きなれた山名さんの声が坂下から響く。
「高所スタートだな、足使うか」
「電撃だ!!」
「逆落としだぜ!! 速攻かけよう」
「皆、大和魂見せようぜ!!」
血気盛んな若いサバゲーマーたちが高所からの機動力を生かした電撃戦を提案し、ベテランたちもその作戦に賛同した。スタート地点の並びもSMG持ちのヤングゲーマーや、地理を知り尽くしたベテランなどで構成された突撃組みを前衛において、スタートダッシュがスムーズに行われるように変更された。今回の赤チームには面子を束ねるリーダー的なゲーマーは存在しないが、士気だけは今日参加したチームの中で1,2を争うほど高い。サバイバルゲームでは付け焼刃のリーダーによる中途半端な連携より、高い士気を保つことが圧倒的に重要だ。連携というものは日々組織的に訓練された団体でもないかぎり、その効力を100パーセント発揮することができない。それならば多少連携が取れなくても勢いが良いほうが勝つに決まっているのだ。
『配置について----3・2・1・スタート』
Урааааааааaa!!(ウラーーーーーーーー)(ロシア語で万歳の意味)
若き獅子たちの怒声が田舎の野山に響く!!。
下り坂との勢いを生かして味方が林道を一気に駆け出してゆく。中には勢いあまって空に発砲しているゲーマーすら見受けられる。わたしもそれに釣られて空中に向け3回引き金を引く。バリバリと響くモーターの音色に気分を高揚させながら、声を張り上げ懸命に走る。
年齢、職業、性別もバラバラなれど、坂を駆け抜ける皆の思いは一つ。黄色に勝つ。
沼にはまったゲーマを引っ張り上げ。
転んだゲーマーを引っ張りお越し。
誰かが落したマガジンを拾い。
皆の気持ちが一丸となって、一陣の風となり森を突き抜ける。
そのときの気分は言葉にできないものがった。例えるなら、アクション映画のラストシーンに自分が入り込んだような感覚だ。
(サバゲー……最高だぜ!!)
私は今でもこのときのことを鮮明に覚えている。あの日初めてサバゲーを行った私は、様々な楽しい体験をした。しかしこの時ほどサバゲーマー同士の一体感を感じたことは無かった。エアガンをぶっ放すだけがサバゲーの楽しみじゃないのだと『目から鱗』のような気分だった。今なってもよく思う、あの日あの最高のゲームに参加できた自分がどれほど幸運だったのかと。
刹那、銃声が幾重にもこだまし、ガスの炸裂音が熱い空気を吹き飛ばす。最前列を突き進んでいたゲーマーにパチパチとBB弾が着弾し、戦場では『ヒット!!』の掛け声が折り重なって響く。
『待ちぶっ……ヒット!!』
そう叫ぼうとした猪ゲーマーも、幾重にも重ねられた射線と打ち付けるBB弾の嵐の前に倒れた。
『伏せろ!!』
後方のベテランが指示を飛ばすが反応の遅れた前衛がさらに数人、凶弾に貫かれる。そんな前衛同様、完全に伏せのタイミングを逃した私。しかし足の遅さが幸いして最前線からすこし距離があったため、飛翔してくる白球をギリギリで回避する。
草むらに視線と射線が遮られる中、反撃しなければと頭の中はそればかりで闇雲に引き金を引いた。
『うわ~~』
『ひえ~~~』
『クソ、近い!! コエエ!!』
突如として襲い掛かるBB弾の群れに、情けない悲鳴を上げるヤングゲーマーたち。一方で
『HAHAHA、リアル長篠の戦かよ!!』
『いや、これはリアルラスト侍だな』
冗談を口にするベテランゲーマー。
キン○マいくつあるんですか? どんだけだけ肝が据わってるんですか?。
高所地形が有利に働いていた赤チームだったが、敵の待ち伏せにより前線が崩壊する。
後から聞いた話によれば、こちらが全力疾走できるような整った道はほぼ一本。我々の『鬨の声』を聞いた敵チームに突撃を察知され、もともと足場の悪い林道が多いこの戦場でもっとも突撃を行いやすいルートを自然に進んでくると予測されてしまったのだ。そしてまんまと敵の防衛陣地の中心に正面からぶち当たるこ結果となり、味方の絶叫が森に響く。
『撤退、撤退!!』
私の隠れる草むらからはるか後ろでそんな声が聞こえる。周囲の草木がガサガサと動き後ろに移動してゆく。おそらくあの声に反応して周囲の味方が撤退を始めたのだろう。こうなれば私の撤退しなければならない、このタイミングを逃せば完全孤立してしまうからだ。悪いことに敵はこのタイミングを見逃さなかった。敵の攻撃はさらに厚みを増して、ゆっくりとだが相手前線が前進を始める。
「おい、やもり無事か?」
頭を低くして10mほど後退した時、脇から逃げてきたヨッシーさんに声をかけられた。
「おおヨッシーさん生きてましたか!! ジャックさんは?」
「ジャックは最初のカウンターでお亡くなりだ」
どうやら私が返却した『SCAR』は、本当の主人の手でまともに使われることなく今日という日を終えたようだ。
「で、これからどうするんですかヨッシーさん」
BB段が至近距離を掠めてゆく状況にも関わらず、薄く笑みを浮かべたヨッシーは敵に向けて電動ガンを構えた。
「逃げる一択やろ」
1マガジンを撃ちつくす勢いでヨッシーさんは激しい銃撃を敵方面に加える。
「先に行け」
「そんな……」
これは……映画や少年誌でよくあるパターンの……『俺にかまわず先に行け!!』という奴では!! クソ、かっこいい。こんなことリアルでやる奴なんて痛い厨二病の奴だけかと思っていたぜ。
私は小さく息を飲み込んだ後、不恰好な敬礼をヨッシーさんに向けた。
「ご武運を!!」
私の数少ない友達の中でこんな勇敢なことができるのは……ヨッシーさん。あんただけだよ……。できるだけ振り返らないように、私は自分にそう言い聞かせた。
ヤモリは走った。
仲間の命を無駄にしないため。
味方チームの勝利のため。
命を犠牲にした親友のため。
この場で散っていった戦友のためにも生きなければ。
私は自チームの陣地に向けて全力で駆け抜け……ようとしたんだが……。
「ちょ、待て!!」
20mぐらい逃げたところでヨッシーさんが悲鳴を上げた。
「馬鹿か!! お前が少し下がって敵をけん制、その間に俺が下がる。そして俺が敵をけん制してその間にお前が下がる。相互援護だよ!! 何でお前だけ逃げる!!」
まあ……普通そうですよね~。
「ハイハイ、援護すればいいんでしょ、援護」
私は逃げた先の太い切り株の後ろに身を隠し、『MP7』サブマシンガンのマガジンを予備と素早く交換する。そして腕と顔の一部だけを露出させ、1マガジンすべての弾薬をフルオートで敵に向け浴びせかけた。敵の姿は直接見えないが、その辺の茂みに隠れていることはわかている。同時に茂みからヨッシーさんが飛び出し自陣地にむけ後退する。『MP7』が吐き出したBB弾はバリバリと茂みを切り刻ぬが敵からヒットコールは聞こえない。すべて外したのだろう、しかし私が射撃を行い敵の頭を下げさせていたうちにヨッシーさんは私より20m後方で射撃の準備を整えていた。
「やもりGO!!」
その合図と共に、私は先ほどと同じ全力疾走。体が隠せそうな岩陰を目標に、弾丸の雨の中を進みます。ヨッシーさんの援護射撃、私を狙っているであろう敵に向け激しい銃撃が行われる。敵の弾丸がシュッ、シュッと頭上をかすめるが、なんとか息を切らしながらも無事岩陰に滑り込む。しかしゼイゼイと息をついている暇は無い、今度が私がヨッシーさんの退却を援護しなければならないのだ。
ふらふらになりながらもとマガジン交換をしようとした時。
「残ってるのはお前ら2人だけか!? 援護してやる2人同時にさがってこい!!」
はるか後ろの土砂が盛られた小山の影から、カモフラージュスーツを着込んだ味方が声をかけてくれた。
「皆、2人残ってる。援護してくれ」
友軍陣地方面の森から一斉射撃が始まった。最低5人はいるだろう、友軍によりBB弾の弾幕が張られ、敵陣地の草木を凄まじい勢いで削り取ってゆく。
『ヒット』『チッ、ヒットだ!!』
その瞬間、敵のヒットコールが響く。おそらくいきなりの大規模反撃で敵は怯んでいるはずだ。ヨッシーさんと視線を交わし飛び出すタイミングをはかる。
3……2……1……GO。
同時に飛び出した私たち2人は、味方の援護射撃に守られながら敵の弾が届かない安全区域への後退に成功する。途中、援護してくれたかたがたにお礼を言いながらも簡単に現在の状況を聞いた。
「おそらく3分の1はやられた。今からは防衛に専念して引き分けに持ち込む作戦らしい」
こちらのチームにリーダーはいないが、即席の指揮官としてランボーおじさんが簡単なチームの流れを指揮しているらしい。私とヨッシーさんは現地から一番近いということで、旗防衛陣地『中央』に向かうことにした。そう、あの時はただ近いからという理由であの場所に向かったんだ。
その時の私たち2人は知る由も無かったのだ。
『中央陣地』こそが……あの日最大の激戦区なるなんて……。
皆様、そして十数人のファンの方々、お持たせしました!!
サバゲーって何ですか? の新作でございます!!
次のお話もすでに用意しておりますので5ヶ月失踪などの心配はご無用でございまず!!
はじめてこの作品を読んでいた読者様はぜひとも評価をポチット!!
すべての読者様を対象に感想も受付中です!!
それでは次のお話で ノシ!!




