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線香花火と爆弾
川の向こう岸で優二が岩の上に座りながら、線香花火に火を点けてそれを眺めている。愉李子が大声で呼んだ、
「優二!」
優二は振り向く。穏やかな表情だ。川を渡る為に愉李子は橋が無いかと見渡したが無かった。船もない。風が吹く。愉李子がまた優二に振り向くと優二は微笑みながら頭を横に振り、
「まだここに来るな」
優二の線香花火が燃え尽きる。愉李子は、
「優二、ごめんね」
優二は屈託なく笑い、
「謝るな」
岩から降りるとゆっくり手を振り、
「絢子を頼む、愉李子」
と、言うと踵を返した。そのまま川から離れていく。
愉李子は目が覚めた。普段はぐちゃぐちゃしているのに、今回の夢は何故かスッキリと脳裏にこびりついている。優二が死亡してから四十九日目だ。
「オカン。私、さっきオトンの夢を見た」
絢子が朝食の時に言った。愉李子は、
「オカンも見たよ」
二人は暫く見つめ合って黙った。外は雨が降っており、雨足が響く。絢子が、
「オカン、泣きそうな顔をしてる」
「そう?」
線香花火と爆弾。二人を知る者は二人をその様に例えるようになった。




