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駒の使い方

 汪から報告を受けた川倉は、

「ほう。砂澤はそんなに好戦的なのか」

「いかがなさいますか」

 山田が尋ねた。川倉は足を組んで、

「それを利用してみるか」

 新田組にも敵対する組織にも悲惨な過去は山程有る。女をぞんざいに扱って女を死なせた例は腐るほどある。極道でなくても半グレや外国の犯罪組織、更には民間の団体でも女を消耗品にしても何も良心の呵責を感じない所も有る。


 川倉は山田と汪を見比べて、

「邪魔な連中の醜聞を集めて分析してくれ。なるべく女がらみが良い」

「「はい」」


 山田と汪が川倉の部屋から退出すると山田が、

「夢村にも報せよう」

「そうですね」


 汪はある外国組織に目星をつけていた。汪の率いる組とは直接被害は無いが、川倉が以前率いていた組と揉めていた組織がある。中国系韓国系フィリピン系ネパール系等の混成組織だ。通称、世界の柱。毒の楓とは違って若い日本女性を集めては性産業従事者にさせて外国人観光客の相手をさせている。日本女性が泣きながら土下座して、

「私は敗戦国のゴミ女です」

 と、言わせる下劣な遊びをやらせている。


 山田もまた、とある組織に目星をつけていた。紅舞組こうまいぐみ。新田組と比べればだいぶ小さな組織だが、国内外に深く人脈や情報網を張り巡らせている。外国人技能実習制度を利用して外国人を騙して借金漬けにして日本に連れてきては低賃金長時間重労働で酷使する。紅舞組は日本企業にも政治家にも影響力を持っている。活動を報道陣が暴露しようものなら確実に殺される。山田の率いる組とは直接的な利害は無いが、モノづくりをしている山田にとっては嫌な商売仇ではある。


 汪と山田は更に調べていった。毒の楓を壊滅させた事で新田組への評価は賛否に分かれている。世界の柱や紅舞組について知っている事をどんどん教えてくれる組織もあれば、逆に脅したり妨害したりする組織もある。


 二つの組織の規模や構成員の素性、主な活動場所や取引相手を突き詰めていく。世界の柱は東京都内で活動しており二百人規模である。紅舞組は日本国内外に散らばっているが規模としては五百人程度。世界の柱は水平的な組織で、紅舞組は上意下達の組織。それを年明けに川倉に報告すると川倉は、

「砂澤はどこまでやれるんだろうな」

 山田は、

「片方だけでも手に負えないでしょう」

 汪は、

「時観組が動けば片方を潰せるかもしれません」

 川倉は腕を組み、

「夢村と砂澤に奴らについて教えてみろ。まずはどんな反応をするかだな」


 汪と山田は京都市の料亭で砂澤愉李子と夢村優二と待ち合わせをして、世界の柱と紅舞組について説明した。澤木も同席した。


 「⋯⋯組長は半信半疑だ。潰せそうになければ正直に断れ」

 山田が言うと汪は、

「やると決めるならば情報を教えられるだけ教える」

 優二と澤木は蒼白な顔で黙っている。愉李子は真顔で、

「一年ぐらい有れば潰せると思います」

「ドアホ!何を根拠に言っている!」

 優二が叱った。澤木は冷静な声で、

「動員かけて一気に仕掛けるのも、時間かけて少しずつやるのも難しいだろう」

 山田は澤木と優二を見比べて、

「まぁ、無茶だと思うお前達が正しい」

 汪は愉李子を見つめながら、

「砂澤さん。それでもやる気かい?」

「せっかく汪親分と山田親分が調べてくれたのでしょう。組長も少し期待なさっているみたいですし」

 愉李子が答えると山田は、

「俺達の事はどうでも良い。組長もそんなに期待してない」

「では、この話は無かったということになりますね」

 澤木が確認すると山田は、

「そうだな」

「待って下さい。澤木親分にも夢村にも頼らず、私が責任を持ってやり遂げましょう」

 山田と汪が不安そうに睨む。澤木が驚いて目を見開いている。優二は、

「無理に決まっているだろ、アホ!」

「気持ちは分からなくはないが、諦めてくれ」

 汪が愉李子を宥めた。山田は低い声で、

「失敗したら指を詰めるだけじゃ済まないんだぞ」

「俺達だけではなく、他の親分達にも迷惑がかかる」

 澤木が暗い声で言った。愉李子は無表情で、

「女達がどんどん死んでいく」

「いい加減にしろ。これ以上、山田親分と汪親分を煩わせるなよ」

 優二がウンザリした様子で言った。山田は穏やかな声で、

「砂澤。お前は既に薬で組に貢献しているから良いだろ」

 愉李子は深呼吸をした。


 優二と澤木と愉李子は慇懃に汪と山田を見送った。

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