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 ルーカスはその爆発を避けた。

 ノアが罠にはめてこっちに飛ばしてきた理由がなんとなく分かってきた。これは、めんどくさい。

 キレたら魔法を撃ってくるのは大変面倒だ。もう叱る気も失せてくる。ルーカスのことを一応配慮しているのか建物内ではやらないので、いまいち怒りきれないでいた。


「ぜー、はー」


 そして毎回全力で撃ってくるためインターバルがある。あんなもの連射されてはたまったものではないが。

 ただ、ここでルーカスが攻撃できると思うのは間違いだ。


 ……ネストが遠くに消えていく。

 これは特殊な魔道具の力だった。神器、というらしい。ネストの持つ神器は靴であり、足が速くなるのだとか。ルーカスも足自体は速いが、持久力がないのであれには追いつけない。


「もう嫌だ……」


『そう言うな。実際これで開拓も進むではないか』


「それは……そうですね」


 何度目か分からないため息をつきながら、ネストが魔法を撃った場所を見る。大きくクレーターになっていて、必要な工程をいくつもカットできたことは明らかだった。


「私の本質を試されている気がします……」


『こんなことでか』


「こんなことで、ですよ!私は役に立つ物には常に真摯であろうと、そう思っています。生まれてからずっと敵だらけだったこの家で唯一無二の指標だからと。殲滅の勇士を迎え入れることをメリットと取るかデメリットと取るか。ここが分水嶺なんだなぁと思う次第です」


 ルーカスは遠い目をしながら言った。

 ルーカスの1番の敵と言っても良かった祖母を生かしているのはその政治能力がルーカスを助けると判断したためだ。最近の関係は悪くない。


「はあ……」


 ネストが在籍している国から届いた手紙を見る。

 そこには、ネストという男はもう死んだ、と書かれていた。



 ▫



「お前はもう死人なんだ、分かっているか?」


「……ああ」


 屋敷に帰ると、ネストが客間のソファでくつろいでいた。ルーカスがもう怒っていないことが分かると、気を抜いた顔でソファに全体重を預けていた。

 それを見たルーカスがため息をつきながら手紙のことを伝えると、何を考えているか分からない顔でネストは黙り込んだ。


「俺から連絡が来たことで、お前が死んだことを公表する気になったらしい。帰路の勇士討伐の賞金と効力はさらに上がることになるだろう」


「いや死んでないけどな」


「そうだな」


 めんどくさいなと思いつつルーカスは頷く。


「新しい名前を考えた方がいいんじゃないか。ほら、新しい戸籍にする必要があるだろ?なんなら俺の領地で出してやってもいい」


 そのまま背もたれにもたれかかりながら片手をあげて問いかける。


「ぶっ飛ばすぞ」


「……」


 王都近くに行く機会が会ったので、前話した殲滅の勇士と既知らしい屋台の男と話したところ、彼はこれでも結構大人しい状態らしい。ルーカスとはそんなに相性が悪くないということだ。これでも。

 相性が悪かったら屋敷が吹っ飛ばされてるんだろうなぁと遠い目になりつつルーカスはため息をついた。


「ま、まあ戸籍は俺の領地で出さなくてもいい。ゆっくり考えるように」


 そう言ってルーカスは逃げるように客室から出た。


『ダサいな』


 おじいさまが少し笑みを浮かべてそう言った。


「仕方ないじゃないですか」


 ルーカスはそれを見て、苦々しく笑った。







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