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「ここがお前の屋敷か?随分大きい、というか城だなこれ」
「……まあ俺の領地は経済的に恵まれている方だからな」
実際のところ、実験をするための施設が内部にあるため、大きくせざるを得ないと言うのが正直なところだ。古くからある建物だが、ルーカスの代で改築した。
「中を案内する。着いてこい」
「ああ」
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「国から連絡が来るまではさっき紹介したところに泊まるように。そしてここが客間だ」
「お前、部下達に慕われてるんだな、少し意外だ」
あまりにも無礼すぎる言葉にルーカスの眉間の皺がよるが、ここで咎めるのはやめておく。ここで相手を怒らせて魔法を撃たれでもしたら最悪だ。賠償を求めようにも、この屋敷の価値全てが帰ってくるわけではない。今までの実験データを他で保管していないわけではないが、ここでしか分からないこともやはりあるのだ。
「ははは、長く付き合っていないと分からない魅力が俺にはあるらしいぞ?よく分からんが」
ということで、ルーカスは、ネストの言葉を冗談まがいに流しておくことにした。友人に言われた言葉だが、その友人ももういない。目を細める。
「ふーん。ま、お前自身が言うならそうなんだろうな」
当のネストはどうでも良さそうに頷いた。
「そこの椅子に座ってくれ」
「ああ」
「それで本題だ。今この領地では開拓を進めようという話が出ている。そこでお前の力が必要なんだ。もちろん褒賞は出す。……どうだ?」
「まあ構わんが」
「……?」
ネストの含みのある言葉に首を傾げる。
「俺の魔法には指向性がない。威力に振ってるからな。開拓には向かないと思うぞ」
「威力を下げるとかは……」
「なぜ俺がそんなことをしなければいけないんだ?」
本気で言っている顔だ。ルーカスは考える。絶対にこの男は使える。有効活用をどうにかしたい。見た目だけでも客寄せとしては使えそうだが、この態度だと女も離れていくだろう。どうにかして魔法使いとして運用したい。まあルーカスの物ではないのだけど。
勇士の名前を獲得したのも、山を消し飛ばした結果魔物を多数倒したとかそういう話なのだろう。魔族もついでに巻き込みつつ、だ。いくら魔物を倒していても魔族を多少でも減らしていないと勇士の称号を得られないのは以前からの書類で確認ずみだ。ルーカスの家は代々研究を志しているので、普通の貴族では削られがちな、書類保護の予算もしっかり出ていたらしい。王家から調査の依頼をたまに受けるくらいには資料が残っている。
「レイア家はどういう家なんだ?ああ、いや、言いたくなかったら言わなくていいぞ」
「む。……由緒だけはある家でな。位は騎士……だったか?国有数の戦士を生み出す家系とかで、俺も小さい頃は期待されていたような気もするな。まあどうでもいいことだ。今の俺は世界一強い魔法使いなのだから」
「騎士爵か」
この国では下の方に位置する位だが、ネストの国でもそうとは限らない。話を聞く限り上の方でもおかしくなさそうだ。
「魔法を使う騎士、良いと思う。この国にもいるぞ」
「……」
ルーカスが知り合いにいる、魔法を使って戦う騎士を思い出しながらそう言うと、ネストが複雑そうな顔をして黙り込んだ。
「お菓子を持ってきました」
「おお、ありがとう」
ネストにも菓子を食べるよう目線で指示し、ルーカスは菓子をつまんだ。




