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「ルーカスだっけ。わざわざ私達に協力してんのって、今まで話したことだけが理由じゃないでしょ?ノアくんの能力気になってるんだよね?役に立つものが好きって言ってたもんねー?ノアくんが気にならないわけないよね?あなたにはあげないけど!」
湾曲の勇士……エマが、目を輝かせながらルーカスに近づいてきて、矢継ぎ早に言葉を捲したてる。
「いらないが。……でもそうだな、確かに気になる。面白そうだしな」
「そうだよね!ってことで私から大サービス!ちょっとだけ湾曲でノアくんの力をジャック!エヘへ、見ていいよ〜」
エマが軽薄に笑いながらルーカスに読めない文字が書かれた不気味な札を渡す。
ルーカスは顔を引き攣らせながらそれを受け取り、おじいさまを見た。
『失敗したら我がなんとかしてやる』
ルーカスはその言葉に頷いて札を覗く。
「……ふーん。性被害者が性加害者になったのか」
ルーカスはそれを見て、一瞬で状況を理解した。
そして見るつもりのなかったところまで見た結果、オズワルドの少年少女への執着は自分の投影であり被害の連鎖によるものであるという1つの答えを出したのだった。
「防護の勇士のためにもここで断ち切らないとな。……ためにもは余計だったか」
「君らしくていいと思うよ。ま、ちょっとの付き合いだけどね!」
「ははは」
様子のおかしいエマにいまいち乗り切れないまま、ルーカスは中途半端な笑みを浮かべた。
そして朝になる。
その間オズワルドが家から出てくることは無かった。
役人達が歩いてくる。
「俺はあの集団に加わってくる」
そう言って、役人達に事情を説明した。
防護の勇士を捕えるのに戦力が必要だろうと言うと、難なく加わることができた。
「刑の執行を行う、表に出ろ」
椅子に座っていたオズワルドが、それでも余裕のある様子で、口角を片方だけ上げた笑みを浮かべている。
「いやいや、俺は教国の聖騎士、オズワルド様だぞ?抗議の1つや2つ、来ているだろ?」
「連絡はありましたが……それだけですよ」
「なっ。嘘だ、勝手に殺したんじゃないのか!?」
「……無理ですよ。教国から送られてくる聖騎士は大抵私達では為す術がありません。私達には知恵がある。逆に言えばそれで国が成り立っているだけなのです」
役人は少し眉をしかめながらそう言った。自分の言葉に悔しく思っている様子だ。
「大人しく連行されることだな。お前はそれだけのことをしたんだ」
ルーカスは機嫌が良さそうに目を細めながらオズワルドに言った。標的をもうすぐ捕まえられそうな狼みたいな雰囲気を纏うルーカスに、思わずオズワルドは怯む。
あの画家はオズワルドが気に入った少年少女を監禁し、犯し、気に食わなければ時に殺す、ということを話した。
実際それはオズワルドの悪い噂としてよく聞くことだった。
「髪の短く快活そうな背の低い女」
ルーカスがオズワルドの耳元で囁く。
「動揺したな?ははは!あれがお前の仲間か!人間の少女を殺すのは久しぶりだった。きっとよく鍛錬してきたんだろうな?素早く、俺が気づけないくらい気配もなく。才能もあったんだろう!それを俺が真正面から叩き潰す。超楽しかったぜ!?これに勝る楽しみは無いと言ってもいいくらいだ!!でも仕方ないだろ?だって俺を殺そうとしたんだから」
役人達に聞こえないように、あくまで小声で、ルーカスはオズワルドに言葉を吐いていく。
「お前も俺みたいに上手くやれば良かったんだ。役に立たないやつだけ傷つけていればいい。そうすればこんなことにならなかったのに」
ルーカスはオズワルドのことを結構評価していた。
だからこそ助言をする。【次】があれば失敗することのないように。
オズワルドが震えている。
ルーカスはそれを見て首を捻る。なんで今更怒りに打ち震えているんだ?それどころじゃないことをお前はしていたのに、と。
そして防護の勇士、オズワルドは処刑された。




