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事の始まり

 ……。


 人類は魔族という名の異種族と長く争っていた。

 人類は魔族と比べはるかに弱かった。

 そのバランスを対等にするためか、一定の期間をおくと人類から勇士が選ばれた。

 “神”から選ばれた8人。


 1人死ぬとまた1人増え、そうしてそれは今も続いている。



 ▫



「今日討伐するのはナイトメアだよ〜皆頑張ってね!」


 そうやって口を開いたのは湾曲の勇士だった。

 闊達な少女である。


 勇士達は国家間で管理されており、しばらくの間は他国と協力して勇士を1箇所に集めようということになっていた。

 この頃出てきた魔族の王を倒すためだ。


「いやお前も頑張れよ」


 切断の勇士が偉そうに口を開く。

 貴族なのでそれが正しいのであった。


「ナイトメアっていうと黒い馬だったか?」


 防護の勇士が首をかしげながら言う。

 彼は聖職者だ。しかしあまり真面目ではないらしい。少し着崩していた。


「そうね」


 興味がなさそうに遠い目をしながら刺突の勇士が言う。

 何も言わなければ貞淑な淑女といった様相だ。


「……殲滅と追憶は呼んでこなくてよかったの?」


 体の大きい殴打の勇士がそう言った。

 殲滅の勇士と追憶の勇士は自身向きではないと、この場にはいなかった。


「仕方ないだろ、来なかったんだから」

「……ルカ」

「はあ?俺が悪いのか?」

「いや違う。ほら、前」


 ナイトメアだ。

 悪夢を見せる黒い馬。


「……。俺とは相性が悪そうだな」


 幻想でできた黒い馬。いかに“切断”が強力でも不利なことに代わりはなかった。


「僕との相性も悪い」

「あー、じゃあ私かー?しょうがないなー!!いっちょ行ってやるぜ!!」

「時間稼ぎがいるんじゃねえの」

「そんなことは分かってる」


 その瞬間空気が凍った。

 意図せず防護は湾曲の地雷を踏み抜いた。


「いや、オレは…」

「来るよ!!」


 避ける。

 しかし、避けれず取り残された少年がいた。


「ちっ、役たたずののろまめ」

「そう言うなって、ほら傷はすっかり元通りだ」


 その少年は帰路の勇士だった。


「ははは、囮にでもしなよ?そんな薄汚れたガキ」

「まあ、それくらいしか役に立たないしな」

「ルカがそう言うなら」


「ええー…ほどほどにしてくれよな。オレそれまだ使いたいんだわ」

「汚いことを言わないでくれるかしら」


 そんなことを言いながら、勇士達は話をまとめる。

 少年を囮にすると。


 少年は傷ついていく。


 それを踏み台にして切断の勇士がナイトメアにきりかかる。

 殴打の勇士がそれに続く。

 防御の勇士が盾をかまえる。

 湾曲の勇士が札を取り出す。


 そうして“湾曲”した。

 ナイトメアは掻き消える。

 そうして少年も。


 ───────“回帰”


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