第4話 クソ女神
作品の物語が終わるのって、いつだと思う?
ほとんどの人が、『作品が完結した時』と答えると思う。
じゃあ、完結できなかった作品は、どうなると思う?
web小説。誰でも無料で書けるのが、売りの投稿サイト。
どんな人でも書ける手軽さから、何千何万という小説が生まれ、その分小説が消されてきた。
人気が出なかったから、消す。
書いていて、面白くないから、消す。
作者からしたら、使い捨ての一つでしかないweb小説。
でも、小説を消すのって、みんなが思ってるよりも大変なんだ。
小説を消す時。
それは、作者が『小説を削除しますか?』と言うボタンを押した時。
一つの小説を消すと言う……『たのみごと』を二次元世界の殺し屋に送るんだ。
俺の名前は──サトウ。いや、この世界だと床田健二って言った方が良いか……
「あぁ、気持ち悪りぃ……」
床の血溜まりにではなく、今までの地獄のような時間を思い出して、吐き気がする。
本当にさぁ──今回のターゲットもそうだけど、鈍感陰キャ主人公はもう飽きたって……依頼も多いし、作者はさぁ……こっちの仕事も考えて、適当に作って、すぐ打ち切るの辞めてくれよ。
いや、今回の主人公はまだ楽な方なんだけど、俺のポジションも親友キャラだし。
バイトと同じで、楽な仕事でもつまんなかったら意味ないんだよ。
それなら、もう少し大変でも良いから殺りがいのある奴の方がマシだわ。
──にしても。
俺はある…人──ではないか。まぁ、迎えが来るのを待ってるんだが……
もう、仕事終わってから、2時間は待ってるんですけど?!
「流石に来るの遅くないか……あいつ寝てんじゃねぇだろうな……」
マジで、あのババア。四肢切り落としてやろうかな……。いや、俺の四肢が無くなりそうだからやめとこ。
俺がダンディーなおっさんなら、こんな暇な時間でも、クールに一服……なーんて出来たんだろうけど。
「残念ながらこの体は、高校生。未成年喫煙は犯罪行為!ダメ絶対!」
『人を殺してるサトウくんが、よくそんなこと言えたもんだね〜』
脳内に、溜息を吐くような甲高い声が流れ、隣に扉が出現する。
「その人殺しを頼んでるのは、何処の神様だっけか?」
『なんか、僕が悪いみたいになってない?』
『ねぇ、ねぇ』と、脳内に直接語りかけてくる奴の言葉を無視して、ただいま〜と扉を開けた。
☆☆☆
家具や壁、床も天井も、見える範囲全てが真っ白な空間。その空間に、ポツン…と椅子に座る女性。
名を『クノン』と言う。
神様って言うぐらいだし、見た目がとても神々しい。
いや、顔が整ってるとかじゃなくて、物理的に神々しいんだよ。
こう…全身真っ白と言うか、視認出来るのが、身長は175の俺よりちょっと小さいぐらいで、体型と顔の骨格が分かるくらいだな。
あとは口と鼻があって、髪がロングストレートなのは分かる。
説明するのがとにかく難しいが、見た目は確かにめちゃくちゃ神々しい。
だが、人は見た目よりも中身だと言うだろう?(こいつは神様だが……)
クノンの性格は、はっきり言って腐り切ってるんだよ……
「なぁ、クノン? そろそろ、この真っ白な空間変えようぜ。帰ってくるたびに目がチカチカするんだけど……」
「え〜でもでも。白って200色あるんだよ?ほら、よく見たら全部色が違うんだよ!」
訳もわからず、クノンが指差した壁を見るが──「色の違いなんて分かんないけど?」
「サトウくん……そんな目で、ターゲット間違えたりしないでね。確かに目つき悪いし、それとも──色盲?」
歳はババアのくせに。こうやって、人を煽るようなメスガキムーブをいつもかましてくる。
てか、そもそも目つきは関係ねぇだろ。それに、こんな色の違いが分かるのなんて、絶対色覚持ってるやつぐらいだし……
「人を勝手に、色盲扱いしやがって!」
俺が何も学ばす、何年もラブコメヒロイン殺してきたと思うか?
こちとら、恋愛経験なくても女の扱いなんて慣れてんだよ!!
こう言うメスガキは、わからせるのが手っ取り早いってね。
さて、このロリババア駄女神に、人間の怖さを教えてっ………「何?文句あんの?」
「ありません!!」