闘気の世界
「『身体強化』『集中強化』!」
私の体が一瞬光り、力が漲ってくる。
だが、身体強化と変わったような感じがしない。
「お父様、身体強化と変わりありません。どうしたらいいでしょうか?」
「しっかりと強化したい場所を思い浮かべて、そこに闘気を集めるんだ」
「はい!お父様!」
私はお父様に言われた通り、頭の中に思い浮かべる。
今回思い浮かべるのは腕だ。
「『集中強化』!」
私がそう言うと、腕に力が漲り、逆に腕以外は少し力が抜けた。
初めての感覚に私の心は踊る。
「お父様!出来ました!」
「お、アニスは流石だな。どれどれ、確かに腕に闘気が集まってるな。最初でこんなに綺麗に集中強化を使えるとは……やっぱりアニスは神童だな」
「お父様、前から気になっていたのですが、お父様には闘気が見えるのですか?」
「ああ、見えるぞ。これは目に集中強化を使っているからなんだ。アニスもやってみるんだ」
「はい、お父様。目に、闘気を集めて、『集中強化』」
私は目を瞑って、集中強化を発動させる。
そして、次に目を開いた時、私の目には神秘的な情景が映し出された。
世界が輝いて、透き通って見えた。
空中に金色の不定形の靄が漂っている。
たまに青銀色の靄も目に入る。
視界をそれらにより埋め尽くされているが、風景はよく見える。
遠く離れた草や木がはっきりと鮮明に見えるのだ。
今なら百メートル先の木葉の数を数えることすら出来るだろう。
未知の世界に私の体は感動で震えていた。
「どうだ、アニス。すごいだろ」
「は、はい、おとーさま」
そう言ってお父様の方に振り向くと、私は更に驚いた。
お父様の体から大量の金色の靄が出ているのだ。
「わっ、おとーさまが光ってます」
「そうだろう。これはね、闘気なんだぞ」
「これが、闘気?」
「ああ、綺麗だろ。これが闘気だ。そして、あの青銀色の靄が魔力なんだぞ。ほらセレナを見てみなさい」
そう言ってお父様は、少し離れた場所で水の弾を操っているセレナお姉様を指差す。
「わぁ、本当です。セレナお姉様、綺麗ですね」
「だな、だがアニスも負けてないぞ」
そう言われ、私は自分の体に視線を移す。
見ると、私の体からも金色の靄が溢れだしており、確かに綺麗だった。
だが、お父様やセレナお姉様の方が靄の輝きが大きく、とても綺麗に見える。
「その輝きの違いはな、闘気や魔力の強度の違いなんだ」
「強度ですか?」
「ああ、例えば、お父さんとアニスが同じ分の闘気を使って身体強化をするだろう?そうすると、お父さんの方がより強く強化できるんだ」
「なるほど」
「お、理解出来たか?アニスはやっぱり天才だな」
お父様に頭をがしがしと撫でられる。
もはや頭を揺らしているだけのようにも思える粗雑なものだったが、私は心地よかった。




