闘気切れ
私はお父様に教わった身体強化を発動させたまま、素振りをし続けた。
十数回剣を振った頃、私は急に目眩がして立っていられなくなる。
倒れそうになった体をお父様が支えてくれる。
「“闘気切れ”か、初めてにしては随分ともったな。アニス、疲れただろう、もう休もう」
「は、はい、おとーさま……」
私はお父様に抱き抱えられ、その大きな腕のなかで意識を手放した。
私が目を覚ますと、自室のベッドの上だった。
時刻は夕方で、修行を始めたのが朝だったのを考えればそこそこ気を失っていたようだ。
そろそろ夕食の時間だと思った私はすぐにダイニングへ向かった。
「お、アニスもう起きたか。体の調子はどうだ?」
「はい、結構寝たのでもう大丈夫です。闘気も大分回復したみたいです」
「そうか、ならよかった。闘気切れを起こすと気を失ってしまうから気を付けるんだぞ。だが、闘気は使えば使うほど、強く、多くなっていくから鍛錬では闘気を沢山使うようにするんだぞ」
「はい!わかりました、お父様!毎日闘気切れを起こすようにします」
「ハハ、そこまでしなくてもいいんだが……まぁ、その意気だ。頑張るんだぞ」
「はい!」
私が席に着くと、食前の挨拶をして、四人で食べ始める。
メニューはパンとシチューとサラダだ。
「アニス、初めて闘気を使ってみてどうだった?」
「はい、とてもすごかったです!今まで感じた事がないくらい体が軽くなって、もう、鳥になった気分でした!」
「アハハッ、そうかそうか。セレナも今日も修行捗ったかい?」
「はい、今日もしっかりと頑張りました。ところで、アニス、今日で身体強化を使えるようになったって聞いたわ。やっぱりアニスはすごいのね」
そう言って私の頭をセレナお姉様は撫でてくる。
私はそれにより恍惚の笑みを浮かべ、セレナお姉様に言う。
「はい、セレナお姉様、ありがとうございます。ですが、セレナお姉様の魔法なんてもっとすごいじゃないですか」
「フフフ、そんなことないわ。私はたまたま魔力を持って生まれてきただけで、練習さえすればあのくらい誰でも出来るようになるものよ」
「いや、あの大きさの魔法は今まで見たことないぞ。普通は三十センチくらいの弾しか出せないぞ」
「あなた、この子達は天才なのよ。もう常識で語るのはやめましょう」
「リリス……それもそうだな」
お母様とお父様は諦めたような、悟ったような遠い目をして微笑んでいた。
「ところでアニス、明日からは集中強化についてみっちり教えるからな。今日は早めに寝るんだぞ」
「はい!お父様!楽しみです!」
私は食事を終えると、軽くストレッチをし、すぐに闘気切れを起こしながら就寝した。




