闘気と魔力
「でも、アニスには魔力がないから少し心配だわ」
「リリス、俺たちにだって魔力はないじゃないか。それに、アニスには闘気があるんだ。闘気の使い方を教えてあげれば何の問題もないさ」
「それもそうだわね」
そう、私には闘気があるのだ。
人々は五歳になると、才能の儀を受ける。
それにより、闘気と魔力の有無、適正属性がわかるのだ。
闘気とは体から出るエネルギーのようなもので、それを駆使するとこで、肉体の限界を越えた動きも可能となるというすごいものだ。
闘気は約二人に一人が持っており、持っているものはほとんどが冒険者になる。
魔力とは魂から出るエネルギーのようなもので、それを駆使するとこで様々な魔法を行使することが可能となる。
先程のお母様の言葉は魔力は便利なもののように言っているがそんなことは断じてない。
魔力は約千人に一人しか持っておらず、持っている者は“魔女”として蔑まれ、差別され、最悪殺されることすらあるのだ。
そんなものが便利なはずがない。
魔法を使える事を鑑みても、マイナスの方が大きいだろう。
適正属性とは上手く扱える属性のことで、“火”、“水”、“地”、“風”、“回復”のどれかである。
適正属性が何であれ、魔力、または闘気があればそれらの属性は使用することができる。
しかし、希に特殊な属性が発現する者がおり、その属性は適正者のみ使用することが出来る。
因みに私の適正属性は“雷”であり、火力と速度が高く、かなり使い勝手の良い特殊属性だ。
そして、闘気と魔力を同時に持つ者は存在しない。
いや、存在しなかった。
私は前世の記憶を思い出した時に、魂に宿っていた魔力も取り戻したのだ。
それにより、私は闘気と魔力を両方持っている。
適正属性もその時に雷になったと思われる。
その事は家族に言っていない。
これからも言うつもりはない。
「セレナは魔力があるから将来立派な冒険者になるわね」
「はい、お母様。お母様にもお父様にも負けない立派な冒険者になってみせます」
「ウフフ、楽しみにしてるわ」
「そうだな、是非とも越えてほしいものだな」
「アニス、明日から一緒に修行頑張りましょうね?」
え?セレナお姉様は魔力を持っているの?
そして、それを公表しているの?
なのになんでお母様とお父様はそんなに嬉しそうなのだろうか。
普通は魔女だって蔑むのに。
「アニス?聞いてる?」
「え、あ、はい」
「明日から一緒に修行頑張りましょうね」
「はい」
なぜ、だろうか。
「アニスはどんな武器が使いたいんだ?」
私は必死に考えていると、お父様に問いかけられる。
「アニス、どうしたんだい?」
「あ、なんでもないです」
「それじゃあ、さっきの続きをするぞ。アニスはどんな武器が使いたいんだ?」
「剣!剣です!」
「そうか、それなら明日からは闘気の使い方と剣術を教えてあげよう」
「はい!ありがとうございます!お父様!」
私はとても嬉しくなって、満面の笑みを浮かべてお礼を言う。
「ウフフ、アニスったらそんなに剣を使いたかったの?どうしてそんなに?」
「だってお母様、剣はかっこいいじゃないですか!」
私は大きな声をあげ、椅子を倒しながら立ち上がり、そう主張した。
そうするとお母様、お父様、セレナお姉様は笑いだした。
「ウフ、ウフフフフ」
「アハ、アハハハハ!」
「フフフフ」
私たちの食卓に三人の大きな笑い声が木霊した。




