冒険者になる!
転生した私の新しい家庭はとても良いものだった。
金髪で爽やか系イケメンの父、ボルグ·ファルダン。
茶髪でお淑やかな美人の母、リリス·ファルダン。
母と同じ茶髪で心優しい姉、セレナ·ファルダン。
そして父と同じ金髪でまだ幼い私、アニス·ファルダンの四人家族だ。
しかも準男爵家であり、そこそこ裕福な生活を送ることができていた。
父親と母親は結構有名な冒険者であり、その功績が国に認められ、叙爵に至ったそうだ。
姉は私と三歳差の八歳であり、冒険者を目指しており、日々鍛錬に励んでいる。
「お父様!私、冒険者になりたいです!」
記憶を取り戻して初めての夕食の時に、私は話を切り出した。
両親と姉は食べる手を止め、私に顔を向ける。
「アニス、いきなりどうしたんだい?」
「私、冒険者になりたいです!」
「これはまた唐突に……リリス、どう思う?」
「うーん、そうねぇ……アニス、冒険者がどういうお仕事か知ってる?とっても怖ーい魔物と戦ったり、とっても暗ーいダンジョンに潜ったりするのよ?」
「はい、知っています。ドラゴンやグリフォンをバッタバッタとなぎ倒すんですよね!」
「うーん、ドラゴンやグリフォンは倒さないけど……まぁそんな感じよ。わかる?」
「はい!かっこよくて人の役にたって、なにより、楽しい!最高のお仕事ということですね!」
私が目を輝かせるように確認すると、お母様の表情が変わった。
今までのあやすようなものではなく、諭すようなものになった。
「アニス、確かに冒険者はかっこいいし人の役にたつし、楽しいわ。でもアニス、冒険者は危険なお仕事なのよ。私は目の前で命を落としていく冒険者を沢山見たわ。怪我をして、一生起き上がれなくなる冒険者も沢山見たわ。そんな過酷な職業なの。それでもなりたい?」
お母様は私の目をしっかりと見つめ、問いかける。
その目を見れば、私のことをすごく真剣に考えてくれていることが嫌でも伝わってくる。
その目は前世の私にほとんど関係のないものだったから……
たがら、私も真剣に答える。
「はい。お母様、冒険者が命の危険を伴う職業なのは承知しています。それでも、私は冒険者になりたいのです!」
今度は私がお母様の目をしっかりと見つめ、誠心誠意気持ちを表した。
お母様は一瞬呆然とし、目をパチパチと瞬かせる。
だが、それもすぐに終わり、お母様は吹き出した。
「フッ、フフフ、アニスったらそんなに冒険者になりたかったのね。わかったわ。じゃあ明日から私たちと修行をするわよ。厳しくするけど、しっかりついて来なさいよ?」
「はい!」
お母様は優しく微笑みながら、私の頭を撫でる。
前世では感じえなかったその感覚に私は思わず目を細めた。




