表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/18

ダンジョンブレイク

 翌日、朝からお父様は冒険者ギルドに呼び出され、昼前になっているがまだ帰ってきていない。


 お父様はクエストに行く前にしっかりと私たちに報告に来るから、クエストに行ったわけではないと思うが、やけに遅い。


 何かトラブルがあったのかも知れない。



 私は属性付与エンチャントの練習をしながらお父様を心配していた。


 なお、属性付与は一切顕現せず、どうすればいいのかもわからず、進退窮まっていた。



 そんなとき、お父様が慌てた様子で家に帰ってきた。


 私とセレナお姉様は鍛錬をしていたが、お父様に呼ばれ、急遽リビングに集まる。


 お父様が真剣な表情で話し始める。



「三人とも、落ち着いて聞いて欲しい……セセル森林でダンジョンブレイクが起こった」



 その言葉に私たちは絶句した。



 ダンジョンブレイク。


 それはダンジョン内からモンスターが大量に出てくる事象である。


 ダンジョンから出てきたモンスターは群れをなし、移動を開始する。


 食料や快適な環境を求めての大移動だ。



 大半は適当な森や洞窟などを見つけ、そこに住むようになる。


 だが、希に、出てきた群れは食料を求めて人里を襲うことがある。


 その被害は計り知れず、街が一晩で滅びたなんて話もよくあることだ。


 そのため、ダンジョンブレイクは人々から恐れられ、忌避される厄災の一瞬であった。



「……お、お父様、原因はなんでしょうか?」


「……狂暴な上位個体の出現だ……」



 ダンジョンブレイクにはいくつかの原因がある。


 大きく分けて三つだ。



 一つ目はモンスターが過剰に繁殖した場合。


 ダンジョン内のモンスターが異常に増えることで内部に収まりきらなくなり、そんなモンスターが一気に外に出てくる場合だ。


 この場合はあまり脅威にならない。


 なぜなら、追い出されるモンスターは大抵が弱小なモンスターだからだ。


 弱い者が淘汰されるのは自然の摂理であり、自明の理であろう。



 二つ目はダンジョン内に危険なモンスターが現れた場合。


 ダンジョンに通常では現れない強力なモンスターが現れ、それから逃げる形でモンスターが外に出てくる場合だ。


 この場合もそこまでの脅威にならない。


 理由は先程と同じく、弱いモンスターが出てくるからだ。



 問題は三つ目の場合、狂暴な上位個体が出現した場合だ。


 ダンジョン内には突然変異により、上位個体が生まれることがある。


 そして、そのモンスターが狂暴だった場合、最悪の事態が起こる。


 上位個体が下位個体を従え、ダンジョンブレイクを起こすのだ。


 そうなった場合、確実に人里が襲われる上、上位個体がいるために被害が増大する。


 上位個体が下位個体に指示を出し、計画的に侵攻したり、隊列を組むことがあるからだ。



 そんな最悪の事態が、今、起こってしまったのだ。



「俺は、今からその対処に向かってくる。リリス、すまないがお前にも召集が掛かっている。ついてきて欲しい」



 お父様が悲痛な面持ちでそう告げる。


 が、それとは対照的に明るくお母様が答える。



「はい、もちろんですよ。あなた」


「ありがとう」



 お父様とお母様が抱擁をかわす。



「セレナとアニスは留守番をしているんだ。くれぐれも外にでるんじゃないぞ!」



 お父様とお母様はそう言って急いで行ってしまった。


 残された私たちは不安で押し潰されそうだった。


 もちろん、自分のことではなく、お父様とお母様のことが心配だからだ。


 だが、私たちにはただ待つことしか出来ないのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ