セセル森林
翌日、起きた私は庭で木剣で素振りをしていた。
もちろん身体強化は使っていない。
闘気切れを起こすと、セセル森林へ行けなくなってしまうからだ。
「お、アニスは今日も頑張ってるな。だが、そろそろ朝御飯だぞ」
「はい、お父様」
いつものように朝御飯を食べ始めると、お母様がセセル森林について教えてくれる。
「セセル森林はね、ここソムサの街から南西にある森でね、Gランクダンジョンなのよ。私たちがいるから大丈夫だとは思うけどしっかり注意するのよ」
「はい!お母様!」
朝御飯を食べ終えると、早速セセル森林へ行くことになった。
家族全員でだ。
セレナお姉様は結構前に冒険者登録は済ませてあり、既にFランク冒険者になっているとのことだ。
流石セレナお姉様だ。
ソムサの街の南門から出ると、歩いて五分ほどでセセル森林に着いた。
隊列を組んで進んで行く。
前から、お父様、私、セレナお姉様、お母様だ。
お父様が主に攻撃をして、余裕があれば私が攻撃をする。
セレナお姉様は後ろから遠距離で援護し、お母様は後ろを警戒する。
そういう役割があるそうだ。
森に入って二十分ほど進んだ時だった。
前方から何かの足音が聞こえる。
「みんな!警戒しろ!」
お父様が注意を促す。
その直後、前方の叢から一匹の大きな猪が現れる。
いや、猪と言うには明らかにおかしいところがある……目の色だ。
瞳が赤いのだ。
これが動物とモンスターを見分ける事が出来る理由だ。
モンスターの瞳は赤く、動物は他の色をしているのだ。
「こいつはGランクモンスターのダッシュボアだ!かなりの速度で突進してくるから気を付けろ!」
お父様が大きな声でみんなに言う。
いや、私に向けて言っているのであろう。
だが、ダッシュボアは私も知っている。
前世で散々戯れたものだ。
二匹のダッシュボアを同時に刺激し、どっちが速く走るか一人で観察していたのだ。
私は友達が一切いなかったから一人で淡々と何度も……
ええい!悲しい思い出に浸るより、今は目の前のこいつだ。
「お父様、私にやらせて下さい」
「わかった、だが、危なくなったらすぐに止めるからな」
「はい!お父様!」
私はダッシュボアの前に立ち塞がり、剣を構える。
なお、今回は木剣ではない。
しっかりとした鉄の剣だ。
そして、身体強化は使っていない。
使うまでもない相手だと判断したからだ。
ダッシュボアとの距離はおよそ十メートル。
私とボアの目が合った。
次の瞬間、ボアは私目掛けて突進してくる。
私は剣を横にして、腹で突進を受け流す。
そのまま、その勢いを利用してボアの後ろ両足を両断した。
そして、動けなくなったボアの首に一突き。
少し震えたあと、ボアは動かなくなった。
「お父様!どうでしたか?」
「す、すごい剣術だな……」
「アニスすごいわ!」
お父様とお母様は口を半開きにして唖然とし、セレナお姉様は目を輝かせて興奮している様子だった。




