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【完結】好きな子に恋人ができたはずだが諦められないと思い告白したら、なぜか恋人などおらず無事にOKがもらえ付き合えた話  作者: アズト


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第25話 男子なので問題はない

 放課後になり、由と一緒に学校を出たあと。


「じゃあ、行こうか。天方君」


 そう言って、由は唐突におれと手を繋いで歩き出した。えっ、もしかして友達同士だと手を繋ぐのって普通なの? そういえば、前に手を繋ぎながら歩いている男子を見たことがあるな。ただ、それは小学生だったけどおれ達は高校生なんだよなあ。


「どうかしたの?」


「いや、なんでもない。行くか」


 まあ、そんなに嫌な気もしないから別にいいか。仮に由が女子の場合、もし琉奈に見られたら気まずい気がするので避けたいところだが、由は男子なので問題はない。


 ……おれは男なのに手を繋ぐ相手が男子なら問題ないってどういうことなの? なんかおかしくないそれ?


「そうだ、これはもういいかな」


 学校から少し離れたあと、そう言って由は髪紐をほどく。そうすると、ショートポニーだった髪が広がり、より女性らしさを増した、男子だけど。そんなおれの視線を疑問の目と捉えたのか、由が口を開く。


「ぼく、外ではいつもこうしてるんだ。学校だと目立つから髪をまとめてるんだけど」


「そうなのか」


「……やっぱり、男子なのに髪が長いのって変かな?」


「いや、別にいいんじゃないか。少なくともおれは気にしないぞ」


「……そうなんだ。良かった」


 由は嬉しそうにそう返してきた。実際、漫画やゲームではもっと髪の長い男性キャラとかいるからなあ。由には、「なに、気にすることはない」と言ってやりたいところだ。


 それから少し歩き、通りすがりの男達がこちらを見て話し始めた。


「あの女の子、可愛いな」


「隣のあいつは彼氏なのか? 羨ましいな~」


「俺もあんな女子と放課後デートしたかったーーー」


 いや、男子だけどな。しかし、通りすがりの男達にこう言われるあたり、由はレンタル彼女になれる素質があるのではなかろうか、男子なのに。


「あれ、でもあの子よく見たら男子の制服を着てるぞ。まさか男なのか?」


「バーカ、あんなに可愛い子が男のわけないだろ。きっとあの彼氏が着させてるんだ」


「彼女にわざわざ男の制服を着させて放課後デートとか、あの彼氏はそういう趣味なのか?」


 ……なぜか、おれが妙な趣味を持っている人間だと誤解されていた。まあ、由の耳には彼らの発言は届いていないみたいなのでよしとしよう。だが、このままでは由にも聞こえる可能性があるため、なにか話をして由が気付かないようにしないと。


「そういえば、目当ての店とかあるのか?」


「そういうわけじゃないんだよね。天方君はなにか食べたいものとかある?」


「……すぐには思いつかないな。まあ、目に付いたものでいいんじゃないか」


「そうだね。そうしよっか」


 それから、少し歩きドーナツ屋を発見した。今日は少し暑くドーナツを食べるには向かない気候だと思う人もいるかもしれないが、ドーナツはオールシーズン、オールマイティにオールオッケーで、人によってはまさに完全食なので大丈夫だろう。


「由、あのドーナツ屋でもいいか?」


「うん、天方君さえよければぼくはいいよ」


「じゃあ、あそこにしよう」


 無事に話もまとまったので、どんどんドーナツどーんと行こう!


 *****


 おれ達はドーナツ屋に入店し、店頭のケースに入っているドーナツを眺めてどれを買うか考えていた。


「ぼくはエンゼルフレーンチにしようかなあ……。天方君は?」


「そうだな。おれはチョコリングーにするか」


「あ、そっちもいいなあ。うーん、どうしよう……」


「それなら両方買えばいいんじゃないか?」


「でも、それだと太っちゃうし……」


 由はなにやら女子のような悩みを言い出した。いや、まあ男子でも体重は気にするか。


「なら、互いに半分こにして食べるのはどうだ?」


「いいの? ありがとう!」


 こうして話がまとまり、ドーナツを購入し店内の空いている席に座る。


「じゃあ、これ半分な」


「うん、じゃあこっちは天方君の分ね」


 おれ達は互いのドーナツを半分こにして交換する。これが、ハムエッグの黄身や愛した女だったらナイフで半分こに切り分けられないが、ドーナツなので無事に半分こにすることができた。


 早速、ドーナツを食べつつふと由のほうを見ると、ドーナツを食べようとして顔を少し下げたら髪が口の近くに来てしまい、食べる手をいったん止めていた。そして、髪を指で耳にかけて邪魔にならないようにし、食べるのを再開していた。


 なんか、あれだね。今のはやたらと女子っぽい仕草だったな。だが男だ。……いや、本当に男か?


 *****


 ドーナツを食べ終え、おれ達は店を出て帰路につく。なお、当然のようにおれ達は手を繋いでいた。というか、由が自然に手を繋いできた。


「今日はありがとう、天方君」


「いや、いいって。これくらい友達なら普通だしな」


「……じゃあ、また誘ってもいいかな?」


 由は上目遣いでおねだりするかのようにそう言った。その様は非常に可愛らしく、女の子にしか見えない。この姿を見てNOと言える男は少ないだろう。まあ、おれの場合、NOと言う理由もないのだが。


「もちろんいいぞ」


「うん! じゃあ、またそのうちね」


「ああ、そのうちな」


「あ、じゃあぼくはこっちの道だから。また明日」


 そう言って、由は嬉しそうに笑顔で手を振りながら去っていった。しかし、今日は由の女子っぽいシーンを何度も見た気がするな。やはり、由は女子なのでは?


25話を読んでいただきありがとうございました!

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