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学院の守り人  作者: ねこ
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2.その男は教える

ャは暗闇の中で1人で棒立ちになっていた。

周りには何も無い。ただの無だ。

あぁ、これは夢だ。リーシャはそう自覚した。

こういった夢だと自覚する夢、いわゆる明晰夢というのはたまにある。

人によってはこの明晰夢を自在に操ることによって夢の中で思いのままを行うことができるらしいが自分はその領域までは行っていなくリーシャの体はどこかへと勝手に進んでいく。

しかし今回の夢は何かがおかしい。普段は実際に行ったことのある街などに突然いるというシチュエーションであるのに今回は暗闇と全く違う。というよりも夢は記憶の整理でありそこに出てくるのは確実に自らが知っている場所のはずであるのにも関わらず全く覚えがない。自分は覚えていなくとも脳が記憶しているということもあるだろうが確実にそれでは無く、確実に初めて見た情景であると自覚している。

こんなことは今までに無かった。

そんなことを思いつつ、リーシャの体はずんずんとまるで何かに向かっているかのように進んでいく。

一体何をしようとしているのかとリーシャは注意深く現在得られる情報を分析しているとやがて視界に変化が起きる。

遠く、およそ数百メートル先に何かがポツンと置いてある。ぼんやりとしか分からないが色は下が白、上が黒、大きさは自分の身長の半分以下、だいたい60~70cmほどであろうか。

そしてそれをリーシャが認識するやいなや体がそれに反応したように駆け足になる。

どうやら自分の体はあれに反応しって動いていたらしい。

そ距離が近づいていくほどにそれの正体が明らかになる。

まずそれはものなどでは無く、膝を抱えて座っている黒髪の少年であり、その顔は落ち込んでいるのか地面を見つめていて全く見えない。

そしてその少年の目の前にたどり着くとリーシャの体は止まりただ少年を見つめる。

普通ならば誰だとか、何が来たんだだとかでこちらを見るはずなのだが少年はピクリとも動かない。

「大丈夫?何かあったの?」

リーシャはその少年の顔を上からのぞき込むようにそう言う。当然これはリーシャの意思では無い。

しかし少年の体はピクリともしない。

「大丈夫?こんなところで一人で何があったの?」

リーシャは少年の肩を揺らしつつそう優しく聞く。

すると少年はリーシャに気づいたらしく顔を少し上げる。

ただ顔をすべて出すわけでは無く左目だけを腕の上に出してリーシャをにらみつける。

その目はリーシャを威嚇しているような鋭い視線であるが恐ろしさでは無く悲しさのようなものを感じる。

そう思ったとき少年の髪の毛に変化が起きる。先ほどまで真っ黒だった少年の髪色が根元からだんだんと白く染まっていく。

その時のリーシャの感情は本来あるべき感情である驚きや心配では無く、もやもやとした感情であった。

私はこれを知っている。ただ何故か思い出せない。

そして毛先まで白く染まるときにリーシャの意識はぼんやりとして夢から覚めようとする。

もう少しなのにと粘ろうとリーシャは意識を集中するもののそれには勝てなくどんどん意識は遠のく。

ただそのときに

「ごめんなさい、ごめんなさい…」

という少年の声が聞こえた。


!!

リーシャは勢いよく目を覚ます。

そして時計を確認することも無く先ほどの夢について考える。

夢とはおぼろげなもので起きた瞬間から細部が抜け落ち始めてやがてすべてが消えうせるものである。

ただ夢の中で感じたあのもやもやとした気持ちは例外でありいつまでも自分の中に残り続けて何とも言えない気分にさせ続ける。

そんな気持ち悪いことにはならないようにと必死に考えるが既に記憶は欠如し始めておりその少年の声はもう思い出せない。

リーシャはう~んとうなりつつそれを思い出そうとするが結局彼についての情報はほとんどが記憶から消え去ってしまった。

リーシャは気持ちを引き締めて時計を確認する。

時刻はいつも起きる時間である六時半よりも少し遅れた六時四十五分。

薬の影響なのだろうがそれが十五分の影響ならば大歓迎だ。

とは言え少し急がなければならない。

リーシャはベッドを整えて手っ取り早く身支度を整えて部屋を出て食堂へと向かう。

機能は適当に部屋にあるもので済ませたので腹ペコだ。

食堂に到着すると自分を待っていたらしいミナとその他数名がこちらに駆け寄って来る。

「リーシャちゃんおはよう、もう大丈夫なの?一日くらい休んでもいいんだよ?」

「問題ないわよあれくらい。それより早く食べましょう、お腹空いちゃった」

お腹減ってるけどいっぱい食べ過ぎたら体重に影響でるかもしれないけどどうしようという本音を心配性なミナを安心させるためにいっぱい食べなければいけないという建前で打ち消す。

しょうがない、彼女を安心させるためだもの。

そうしてリーシャはいつもの倍近くの朝食を少しの罪悪感を覚えつつ平らげた。

その後ミナと同じようにリーシャを心配する同級生への対応をして準備を整える。

そして授業に向かおうと寮を出るとき、ユウとどのような態度で会えば良いのか分からず、管理人室の前をユウにばれないように他の人の影に隠れて行こうとするが管理人室にはユウの姿は無い。

管理人が一番人の出入りが激しいときにいないとはどういうことなのかと思うが今は好都合。

管理人室の横に設置されている自分の名前が書かれた白い札を裏返して赤い札にして寮から出る。

「そういえば今日の一時間目ってあの…ケラー?って人だよね?大丈夫なのかな?」

教室に向かう道中でミナはそう心配そうに聞く。

「そうね…なんの連絡も無いってことは教室に着いてからいろいろと話されるんじゃない?昨日はいろいろと忙しかったし」

「そうだよね、それにしても管理人さんって一体何者なんだろうね?」

「…そうね」

ミナの疑問にリーシャはポツリとそう答えて少しだけ足を速める。

別に気まずい話題では無く自分も気になっていることだ。

ただ自分が彼に向けていた態度、そして昨日助けられたことから申し訳なさやばつの悪さを感じているのでこの話題を避けたいと感じている。

ミナはこのリーシャの態度から色々と察して、リーシャに話しかけることはせずただついてくるだけだった。

そして授業開始五分前に教室に到着する。

教卓に目を向けると教師はいなく、また黒板には今回の授業について何か変更があるかなどの連絡事項は記載されていない。

「リーシャちゃんもう大丈夫なの!?」

リーシャよりも早く到着していた同級生の一部がリーシャのもとに集まる。

これに対して先ほどのようにやんわりと対応して席につく。

そして授業開始の本鈴が鳴り、先ほどまでガヤガヤとしていた教室の空気がピシッと引き締まる。

よくも悪くもこの切り替えの良さが自分たちの代の特徴であるができれば授業開始前に静かになっていてほしいと思うところである。

ガラガラ

そうした空気で三分ほど待つと扉が空き、白衣姿の男、ユウがだるそうに背中を丸めて入って来る。

これに対して同級生たちは少し動揺したようで複数の小声が重なりざわつきが生まれる。

その内容は何で管理人さんが来たの?ややっぱり授業無くなるのかな、といった話だった。

リーシャは授業が無くなるのだろうと思ってすぐに移動できるように筆記用具を片付ける。

きっと彼は小間使いとして連絡事項を頼まれたのだろう。

が、リーシャの予想は外れてユウはゆっくりと教卓に備えられている椅子に座って教卓に突っ伏す。

そして

「えぇ~、あれだ、あの~ユリースだかケラーだかがいろんな事情でいなくなってその代わりとして俺がこの、え~、何だっけ、そうだ歴史の授業を担当しますよろしく」

そうだるそうに伝えるとユウは自分の腕を枕にして眠り始める。

その言葉には同級生を始めリーシャも動揺して一気にざわつきが大きくなる。

それに対してユウは何かを注意するわけでもなくただ眠りに就こうとしている。

「あ、あのよろしいでしょうか!」

一人の生徒が手を上げて立ち上がる。

「んんっ?何だ?」

ユウは顔を起こして生徒を見つめる。

「えっと、管理人さんが授業やるってことは何とか理解したので授業を開始してほしいんですけども…」

誰かに注目されるというのに慣れていないのかだんだんとその声はしりすぼみに小さくなる。

「あぁ、それか。とりあえず俺の授業は基本的に自習にするからお前らで適当にやってくれ。質問や聞きたいことは受け付けるから気軽に聞いてくれ」

ユウはそう言って眠りに就こうとする。

「自習ってどういうことですか?」

先ほど質問した生徒の隣の生徒がそう質問する。

「どういうことってそのままの意味だ。自分で自分のやりたいことをする。それが自習だ。この授業の目的である歴史をやってもいいし、別の授業の課題や予習なんかをやってもいい。最悪授業に出なくてもいいぞ」

ユウはそう雑な回答をする。

「そ、それじゃあこの授業は実質無いってことですか!?テストとか単位とかはどうなるんですか!?」

最初に質問した生徒が再び大きな声で質問する。

この反応を見るにどうやら歴史が好きなようだ。

「テストとかについてはやらない予定で単位は全員にやる。あと授業だがまあ人によっては実質無いってことになるだろうな」

「ちょ…ちょっと適当過ぎませんか!?私は歴史に興味があってこの授業を取ったんです。そんな授業がこんなに適当になるなんて聞いてません!!」

「そりゃあ言ってないからな。俺も昨日急に理事長から言われて驚いてるんだよ。お前なら出来るだろって脅されてさぁ。授業の内容は自由でいいがしっかりやれよって言われてお前らの先輩と話した結果こういう形式にすることにした。歴史については残念だが正直言ってお前らが持っている教科書以上のことはきっとケラーもやらないだろうし教科書とか図書館とかを利用して勉強してくれ。離席は認めるからさ」

「そ、それじゃあ管理人さんは具体的に何をするんですか!?そうしてダラダラしていろと先輩たちが行ったんですか!!」

ユウの適当な返答が彼女に火をつけたのか最初の端らしさが嘘のような剣幕で質問をする。

「だから最初に言っただろ?質問や聞きたいことがあれば受け付けるって。それがこの授業での俺の役割だ。基本的にどんなことにも答えられると思うから何でも聞いてくれ」

そう言い終わるともう応答しないと言わんばかりに眠りに就く。

その態度に呆れたのかそれとも何といえばいいのか分からないのか、生徒はゆっくりと座って教科書を開いた。

基本的にどんなことでも答えられるとは一体どこからそんな自信が出るのだろうか。

だがこれは好都合だ。

「質問良いでしょうか!」

リーシャは勢いよく手を上げる。

ユウはゆっくりとこちらに顔を向ける。

「き、昨日のことなんですが、えっとまずはありがとうございます」

「おう」

「それで昨日のことなんですけど、昨日管理人は詠唱も無しに私にかけられた魔法を外したり、あと結界を張ったと思うのですがどうやってやったんですか?」

「あぁ、またそれか」

そう言うとユウはだるそうに立ち上がって伸びをする。

「魔法の常識だからガキでも知っていると思うが魔法っていうのは魔方陣、詠唱、そして無詠唱っていう段階がある」

そう言ってユウは教卓の前に移動する。

「分かりやすいのはあれだ、着火の魔法だ。多分お前たちが小さい頃、最初に教わった魔法だと思うがそんときには必ず魔方陣を書いて発動させていたと思う。詠唱とか無詠唱で発動させることはできなかったはずだ」

そう言ってユウはチョークで床に着火の魔法をサクッとかいて発動させてすぐに消した。

「そしてそれを何度も練習していつの間にか魔方陣を書かずとも発動できるようになってそしてさらにそれが続いて無詠唱で発動できるようになったと思う」

そう言ってユウは無詠唱で小さな火を手のひらに発動してそれもすぐに消す。

「俺の結界もそれと同じだ。いっぱい書いて、いっぱい練習した結果無詠唱で発動できるようになった、こんな風にな」

そう言ってユウは昨日見たように二メートルほどの結界の壁を無詠唱で発動する。

それを見た生徒たちからはおぉ~っという感嘆の声が上がる。

「いや、それは分かるんです。私が聞きたいのはそのレベルの結界は魔方陣で発動するのだけでも大変ですしそれを極めて詠唱で発動できるようになるのでも相当の時間が掛かると思うんですが一体どうやったんですか?」

「ん~そうだな。…まず先に言っておくがこの結界の魔法は俺が独自で開発した魔法で多分だが俺しか使えない」

ユウは軽い態度でとんでも無いことを言い始めた。魔法を開発する。

簡単に言っているが魔法を作るというのはとんでもないことだ。

魔方陣を作るにはまず昔から使われてきた古代の文字や文字列を理解することが必要になる。

古代文字は南百種類も存在しそれぞれが持っている意味も異なり、かつその意味が解明されていないものが多い。そのため昔から使われてきていた火関連の魔法にはこの文字やこの文字の組み合わせがよく使われているなどのことを理解する必要がある。

そして次にそれらを円の中に配置するということが必要となる。

古代文字、そして最近では現代の文字も使われる魔法があるがそれらを円の中にバランスなどを考えて配置する。当然であるがここにこう置けばこうなるという教科書は存在しなく前例から恐らくこうすればこうなるということを予測して配置する必要がある。

そうしてようやく出来上がった魔法も必ず発動するという訳ではなく、まずは発動させてその効果を見る。そしてその効果が自分が望んだものでなければ再び魔方陣を作りなおす。これを何度も何度も繰り返してようやく自分の望む魔法に近い魔法が完成する。

魔法を一つ作るだけでもこんな苦労があるのにも関わらずそれを完成させた。それもユウの若さで。

ありえない。

「魔法を無詠唱で発動できるようになるためには何度も練習するっていうことがあるが、その魔法を理解すること、まあ魔方陣の理解だな、それをすることによって普通よりも時間を短縮することが出来る。まずその時点で普通の奴よりも俺の方が習得が早い。そしてもう一つ、魔法を使ううえで最も大事なことだが…」

魔法を使う上で最も大事なこと、そのフレーズが出た瞬間に教室内から紙とペンを用意する音が聞こえた。どうやら他の生徒たちは重要事項であると思ってメモの準備をしているようだ。

「ずばり才能と運だ」

そうユウが言うとメモを取る音があちこちから出る、と思いきや全くそのような音はしない。

「例を出すと同じ子供でも言葉を覚えるのが早いやつとそうじゃないやつがいるだろ。それと同じ原理で魔法の習得が早いやつと遅い奴がいる。おれは魔法の習得がかなり早いほうだから比較的優遇されている。加えて俺が興味を持った防御系の魔法が俺と相性が良かったからさらに習得が早くなったそれが理由だ。理解できたか?」

リーシャはふざけるな、何が才能だと言いたかったがユウの説明はあまりにも的を得ているため何も言うことが出来なかった。

「そう言えばあれだな、植物から医療に移動したのがお前らの代のやつだったな。そいつを例にして話すわ」

自分がユウのことを嫌うようになったきっかけの事件だ。

「確かにあいつはあの年からすれば植物系魔法のレベルはかなり高いものがあった。ただ底が浅い。仮にあのまま植物学を専攻し続けた場合、恐らく他の奴らから抜かれて結局平凡な魔法使いになるだろう。あれだ、小さい頃いただろ、クラスの中で一番背が高くてうらやましいって言われてたけど周りのやつらの成長期が来たとたんに身長が伸びなくなって他の奴らに抜かれて小さい部類になったやつ、それとおんなじだ。ただ医療についてはそうじゃなかった。身長の例えで言えばあいつはまだまだチビだが成長期になれば恐らくトップレベルになる、そういう才能を持っていたからあいつには医療魔法を薦めた」

『才能が9割だ』

ユウが言った言葉にこれほどの意味が詰まっているとは分からなかった、というよりも分かるわけが無かった。というより言葉足らず過ぎるだ。

「とまぁこんあ感じだ理解したかリーシャさん?」

そう言ってユウはリーシャの方を見る。

昨日のことがあってなのか、それとも今までの行いによってマークされていたのか、それとも管理人の意地として全員分の顔と名前が一致しているのかユウはそう名指しで聞く。

「えっと…はい」

「そんなら良かったそれじゃあ他になんかあるか?無いなら寝るぞ」

そう言ってユウは再び座って眠る準備を整える。

「あの、何でも答えていただけるんですよね?」

そう言って一人の生徒が立ちあがる。

黒髪のショートカットで見るからに体育会系のようだ。

「え~っと、お前は…いつも帰りが遅いユイカか。何だ聞くぞ?」

ユウは少しのけん制を入れて返す。

どうやら全員分、もしくは問題児の名前は全て覚えているようだ。

「え、え~っと、今、自力で魔法を作ってるんですけどうまくいかないんですけどどこに問題があると思いますか?」

そう言ってユイカはポケットから大きな紙を取り出してユウに渡そうと教卓に向かう。そこに書かれているのは魔方陣のようだがまだ作りかけのようで円にはまだ隙間がある。

ユウはそれを受け取り魔方陣をじっと見ると大きなため息をついた。

「これは食料、それも恐らく肉系統の食料をつくるための魔方陣なんだろうが根本から間違っている」

そう言うとユウは今度は赤いチョークで魔方陣に何かを書き始める。

「とりあえずこの種の魔方陣についてをよく勉強したんだろうが、お前がやろうとしていることを体現するにはこの程度の大きさの紙じゃあ狭すぎる。そんだけレベルの高いことをお前はやろうとしている。お前は円1つでやろうとしているが少なくとも…11…いや、12重円以上は必要になる」

「えぇ~、12も~っ…」

ユイカはがっくりと肩を落とす。

魔法の難しさは円の数や円の大きさに比例する。

難しい魔法をつくろうとすると円の数はその難易度によって増加し、大きさも大きくなる。

ユウが言った12ともなるととんでもないレベルの魔法となる。

「そもそも魔法っていうのは円1つからでは無くて何重もの円から作るというのが普通だ。円の数を減らすのは魔法が完成してからより魔方陣を効率化する過程でやることだ。お前は根本から間違っている」

「はあぁ…」

ユイカは露骨に落ち込む。

まあ、これまでの頑張りは根本から違うと言われればそうもなるだろう。

「ただ、魔方陣の組み方はかなり評価できるものがある。いいセンスだ」

「え!」

ユイカは目を輝かせてユウを見つめる。

「今のお前に必要なのは知識と近道しないという気持ちそれだけだ。とりあえず生物召喚の知識は必須で、あとは武器とかの加工品の召喚の知識を身につけておけ、特に後者を入念にやっておけ。何なら今図書館に行って関連する本読んで来い」

「はい!!」

ユイカはそう言って駆け足で教室から出て行った。

「はい、他になんかある奴」

「「「はい!!」」」

ユウがそう言うと生徒が何人も手を上げてユウに押しかけた。

結局ユウは全員をさばき切ることは出来ずに残った生徒と話す約束をしてだるそうに教室を出て行った。

「管理人さんってやっぱりすごい人なんだね」

授業が終わるとミナがそう話しかけてきた。

「え、えぇそうね驚いたわ」

ユウは防御系の魔法に興味を持ったと言っていたが明らかにそれとは外れている部類の質問に対しても適切な回答を出していた。

つまり彼にはそれだけのことを出来る知識量やそれを理解する理解力があるということだ。

一体彼は何者なのだろうか、どうして彼が管理人などをやっているのだろうか。

リーシャの頭の中のもやはより深くなった。


「いやぁやっぱりユウさんは人気者ですねぇ。うらやましいですよ」

ユウは授業終わり、まっすぐ管理人室に帰ろうとすると途中で学院の教員である、カナタと会い立ち止まる。

「うらやましいじゃねぇよ。ただでさえ生徒たちが質問してきて面倒なのにそれに一年生も追加、それに授業を持つとかどんだけ酷使するつもりだよ学園長はよぉ」

「まぁ、一年生だけなのでよかったじゃないですか。2、3、4まで追加されてたら大変でしたし」

「さすがにそれは断ったんだよ。あいつふてぶてしすぎるだろ」

「はははっ、これは聞かなかったことにしましょうか」

「あぁ、ところで明日はよろしく頼むぞ」

「えぇ、いいですとも。楽しみにしてますよ」

「ああ」

ユウはそう言って会話を終わらせて管理人室にもどっていった。

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