24 黄色のカーネーション:拒絶 中編
今回も晃回です。
予定より長くなってしまい、三つに分かれてしまいました。
見舞いに行って激しく拒絶された後も、晃は諦めなかった。
(なんとか涼菜を元気にしてやりたい)
とはいえ、そうは思っても、どうすれば元気になるのか分からない。
思い付くままに、浩二に言って花や女子高生に人気の服やスイーツなどを贈らせてみたが、晃が顔を出すと怯えて『花』を咲かせる。
「この前贈ったスイーツは気に入ってもらえただろうか?」
「好みの服はないか?なんでも好きな物を贈ろう」
「君はどんな花が好きなんだ?温室に好きな花を用意しよう」
何を言っても、震えて泣きそうな顔になるだけだ。
髪に糸くずが付いていて、取ろうと手を伸ばしたら、悲鳴をあげて『花』を生み出されたときはこちらが泣きたい気持ちになった。
でもどうしたらいい?
「私に訊かれてもわかりません。あれだけお止めしたのに涼菜様に突撃して襲い掛かった晃様が悪いのです」
「お、おそっ、襲い掛かったとか、おっ、お前は人聞きの悪いっ!」
浩二に相談してもけんもほろろだ。
しかも最近とくに冷たい。
以前は鬱陶しいくらいにこちらの世話を焼いてきたのに。
じとり、と睨め付けると同じ様な視線が返ってきた。
「か弱い年下の少女の頭を押さえ込んで、その身を食いちぎるのは“襲う”という行動ではないと?」
「そ、それは……初めてあの『花』に出会ったばかりだったし……」
低く抑えられた声音で圧を掛けてくる浩二から視線を逸らす晃。
「弱った少女の首を笑いながら絞めるのは“襲う”事では無いと」
「うっ、そ、それは確かに……“襲う”かもしれない」
視線を逸らしていても、非難する浩二の視線が頬に突き刺さる。
痛い所を突かれ、デスクに突っ伏す。
「トラウマを抱えた少女を、苦痛を感じる場所へ無理やり連れ込むk「わかった!わかったよ!オレが悪かった事なんて百も承知です!か弱い年下の女の子に襲い掛かった悪い奴はオレですっ!」
わーっ!と両手を上げて、降参の姿勢を見せながら叫ぶと、自分のやった事がどれだけ非道だったかが良くわかる。
恥ずかしさと、やるせ無さと、自分に対する呆れが一度に押し寄せてきて、晃は再びデスクに顔を埋めた。
「改めて並べられるとオレほんとキチク」
「流石の私も、引きました」
「真面目に答えないでくれ。今のは慰めるとこだから!」
ポツリと呟いた言葉に優しさも労りもない浩二の言葉が返ってきて、晃は叫ぶ。
もう少し自分に優しくしてくれても良いだろう!と。
その訴えを浩二は無言で却下した。




