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まさかまさかの

 僕と弟の妻に。

 自分はマクマクさんとリフさんとシルスさんの妻なのに、なんでこの人たちはそんなことを言うんだろう。

 そう思ったとき、以前マクマクさんが言っていた言葉を思い出した。


『この国は、女性がとても少ないんだ。襲われたり攫われたりすることも稀に起こるしね。だから女性は、夫たちに見張りをさせたり、買い物のボディーガードをさせたりするんだよ』


 まさか今回の事態が、その稀ににあたるのではと直感的に思った。

 でも、わたしには強い味方がある。

 俵担ぎされながらも羽織物を解いて握りしめ、後ろに手を突きだす。わたしをこの路地に誘い込んだ奴に見せるために。

「こ、この羽織物でわからない?」

 この羽織物で、大体は牽制できるはず。

 男は「ああ」と、思い出したようす。

「お前、右騎士様の庇護をうけてるんだろ?」

「それなら早く放し──」

「だから何?」

 男の放ったひとことにわたしは「え?」とこぼし、呆然としてしまう。

 男はわたしの目の前に回り込んで、鼻で嗤う。

「所詮は引退騎士だろ。僕たちには関係ない」

 なんで。なんで慌ててくれないの?

 わたしを担いでいる男が少し急く。

「兄さん、早く行こう。大通りから人が来たらマズい」

 兄と呼ばれた男は首肯する。

「ああ。家に戻ればコイツを地下に閉じ込められる。そうすれば、俺たち以外とかかわることもなくな──」

 メキリと音がした。

 突如男の頬が歪になり、ゴム毬のように弾んで壁に激突した。

 喧嘩や格闘などに耐性がないわたしは、あまりの衝撃に息を呑む。

 即座に立ち上がった男は、脳が揺らぐのか、フラフラしながら口元をおさえる。顎が外れかかっている。プッと、血と一緒に白い歯が二本ほどカツンと吐き出されるのを見ると、その威力たるや凄まじいものがあったのだと思う。

 一体何が起きたのかを理解できずにいると、目の前に見慣れた姿の男性が、蹴り上げた足を戻し一つ息を吐く。多分だけれど、後ろ回し蹴りを男の顔面に食らわせたのではと。

「ミハルさん。やっと見つけました」

 安堵しているのは、まさかまさかのシルスさん。

 え。あの穏やかな事務担当のシルスさんが、スタント顔負けの鮮やかな蹴りを出したのかと思うと、わたしの頭が更に混乱する。

「てめぇ……」

 唸る男をシルスさんが横目で睨む。

「見たところ、あまり強くはありませんね。わたしの気配にも全く気付かずにベラベラと喋って」

 シルスさんが、わたしを担ぐ男の前に回り込む。

「さて。お引き取り願いましょうか」



ここまで読んで下さりありがとうございます!


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本当に感謝です!ありがとうございます(◡ω◡)


更新は毎週金曜日17時〜20時の間に行います!


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