家族のおはなし
すみません。遅い時間の更新になってしまいました!
「俺ンとこの実家には母ちゃんと、あと父ちゃんが三人いる。兄弟は全員男で、上から長男の俺、十六歳の次男、十五歳の三男ってかんじ」
わたしは瞬いた。
お父さんが三人ということにもびっくりしたけれど、三人の男兄弟ときいて、それにもわたしは驚く。ほぇ……などとマヌケな声をこぼす。
「よく男兄弟はエネルギッシュだって聞くけど、やっぱりリフさんのところも?」
リフさんはレタスをモグモグさせながら、視線を上に向ける。
「んー、どうだろな。よく兄弟で母ちゃんに罠しかけて、キレた母ちゃんに吊るされたことはあったけど」
罠。吊るし。やっぱりスゴいね、男兄弟。
「わたしのところも三人の男兄弟で、自分は次男です。父親は二人いて、母親の家業が代々宝石商なんです」
宝石商というのは、面接のときに言っていたけれど、シルスさんのところも男兄弟なんだね。
ということは。
「え、あの、シルスさんのところもやっぱり吊るすと……か?」
わたしはここの国や文化を知らない。だから、リフさんのお母さんと兄弟との関わり方が、ここでの当たり前なのかもしれないと思って訊くと、シルスさんは慌ててかぶりを振った。
「いえ、吊るされたことはないのですが。兄弟喧嘩をすると、母はよく罰として数学の問題集をさせていました。勉強熱心な人ですので」
と、指で示す厚みは辞典並み。おおう、それはそれで大変だ。
「お前んとこはどうなんだよ」
と、リフさんがフォークでマクマクさんを指すと、「行儀が悪いですよ」と、シルスさんがピシャリ。シルスさんは、そういうのに厳しい家庭で育ったのかな。
リフさんに訊かれたマクマクさんが、コーヒーを一口飲んで、カップをコトリと置く。
「ええと。僕のところは母親と、父親が五人いて、兄弟も五人。自分は次男で、ミハルちゃんの夫になる前は、母親のやっている雑貨屋を四男と一緒に手伝ってたんだ」
マクマクさんのお母さんは、たしか弟さんたちを小脇に抱える力持ちな人だった。
……というか夫って。旦那様だからそうなんだけれど、彼の口からそのような言葉を聞くと、なんだか妙に恥ずかしいというか、ああ、旦那様なんだという実感と、無知なわたしが彼らをまきこんでしまったという責任と……。
でも、三人の旦那様が和気あいあいと家族のことを話している姿を見ると、どの御家族も素敵なんだろうなというふうに感じる。
わたしは、お母さんは大好きだけど、そこにお父さんも加わっての家族としての話をするとなると、多分こんなに笑って話すことは出来ないと思う。
だから、笑顔で話せるみんなの御家族が、ちょっぴり羨ましい。
「ミハルさんの御家族は、どのような御家族なのでしょうか?」
笑顔で訊くシルスさんの向かいで、両親の離婚と母親が死んだことを知っているマクマクさんが誤魔化そうとしていて、何故かリフさんも濁そうとする。きっとマクマクさんから何か聞いているのかも。
「どうしました?」
「あ、いや……」
リフさんがマクマクさんに視線で助けを求める。
ああ、そうだよね。
二人の旦那様が知っていて、シルスさんだけが知らないというのも溝になるきっかけになってしまうかもしれない。
こういうことは、ちゃんと話すべきなのだろうと思ったわたしは、二人の旦那様に「わたしが話すから大丈夫」と説明をして、シルスさんのほうを向く。
少し、緊張する。
「あまり褒められた家族じゃないけど、きいてくれますか?」
何かを察したシルスさんが表情を引き締め、されど、あなたのことを受け止めます、というような温かみを含んだ目をするものだから、わたしの緊張は大きくほぐれて、なんとか言葉を滑り出すことが出来た。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
更新頑張りますので、また読んで頂けたら幸いですm(_ _)m




