いつか自然に笑って……
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陽は昇ったが、店の札はクローズのままになっていた。
ミハルは、やはり高熱を出した。
マクシヴァルとリフは、日中、冷蔵庫にある氷を砕いて氷枕や氷嚢を作ったり、部屋が冷えないよう火の番をしたりしていた。
外は雪が深々と降っていて、石造りの道は真っ白になっていた。
ミハルは眠り続けている。
ときどき寝言で「お母さん……」と泣きそうに溢す彼女を見ていると、二人の心も締め付けられる。その言葉に秘められた彼女の願いを自分たちは叶えてあげることが出来ないからだ。
再び夜になってもミハルの熱は引かず、このまま夜間に突入することとなった。
マクシヴァルもリフも、一度帰宅する考えなど毛頭なかった。もとよりここに住むと決めたのだ。
「リフくん。氷嚢取り替えてくるね」
マクシヴァルが、氷嚢の代わりに濡れたタオルをミハルの額にのせて、氷嚢を持って立ち上がる。
「俺がやりますよ」とリフも立ち上がろうとしたが、マクシヴァルに手で制された。
「ミハルちゃん看てて」
ミハルをリフに託し、マクシヴァルは部屋を出ていった。
暖炉の火は、絶やさず赤々と燃えている。
夜なのに、薄明るい灰色の空を映し出す窓の縁には、雪がだいぶ降り積もっていた。昨日よりもぐっと気温が下がって、真冬のようである。
こんな寒い日に、もし彼女がずっと浴槽の中であんなことになっていたらと思うと、恐ろしくなった。昨日も寒かったが、今日の冷え込みはその比ではなかったからだ。
暖炉の火あかりだけの空間。
ミハルが頭を傾けると、タオルが落ちた。
それをリフが桶の中にある冷水で冷して、再び額にのせる。
そっと、ミハルの汗ばむ前髪を横分けにして、ひとつ息を吐く。
「……」
ずっと……頑張って来たんだろうな。
『こちら、キャンペーンのクッキーです』
彼女がくれたクッキーは、不格好で、端は少し焦げていたが、バターの匂いが優しく香って美味かった。
バイトに行く際には、昼食用にと、この店のパンをいつも購入していた。
彼女は、女の子一人で暮らしながらパン屋を営んでいる少女として、王都では結構有名だった。
同時に、彼女を自分の妻にしようと狙っている品のない輩もあちらこちらにいたわけだが。
あのクッキーが、下劣な誰かのために作られるのが嫌だった。
出来ることなら自分だけに作って欲しい。
そんなことを考えていた矢先に、バイト募集の広告が入ってきて、速攻で応募した。
一生懸命で、男が苦手なのに、それになんとか慣れようと健気で。
しかし、知らなかったとはいえ、頬にキスはやりすぎた。
バイト募集のなんたるかを知らなかったことに対しては「おいおい、しっかりしてくれよ」と思わないわけでもないが、そう強くは思わない。異国の娘が頑張る姿は、純粋に支えたいと思った。
少し前までは、ひそかに想っていたパン屋の頑張る女の子。
今は、本人の意図しないかたちではあるが、傍にいる妻。
今は無理でも、いつか自分を受け入れて、自然に笑ってくれたりしてくれるのだろうか。
「ミハル……」
リフは、ミハルの手を掬う。そして、そっと手の甲に口づけを落とした。
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