膨らんでパンッ!
いつも読んで下さりありがとうございます!
今週はバタバタしていまして、更新に時間がかかってしまいました。スミマセンm(_ _)m
頑張ります!
更新はだいたい21時〜22時前後を予定しております。
夜の外はだいぶ冷えるようになり、夕方の四時頃には、外はすっかり暗くなっていた。
お客さんがパンを沢山買ってくれて、ドアを開けられないときに、かわりにわたしがドアを開けて空を見上げると、黒い空からチラチラと白い雪が降ってくることもあった。
この世界に四季が存在するかは不明だけれど。多分、季節は冬なんだと思う。
面接の際に利用した新聞効果のおかげで、店は連日大繁盛していた。
嬉しいことなのだが、その分沢山パンを作らなくちゃいけなくて。でも、マクマクさんやリフさんのおかげで、今のところ大きなトラブルはない。
「ふう……」
売上帳簿を抱いて、事務室に向かう途中、わたしは息をひとつ吐いた。
そんなところへちょうどリフさんが通りがかり、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。
「片付け終わったぜ」
この人、本当に頭撫でるの好きだな。
彼もだいぶ仕事に慣れたと同時に、わたしも頭ナデナデにはだいぶ慣れた。不意にされてもビクッとしなくなったことは褒めてほしい。
この赤茶髪のリフさん。てっきりわたしと同い年かいっこ下かなくらいに思っていたら、なんと二十歳だった。現代でいうと大学生だ。
それを聞いたあとは、やはり二十歳なりの視野の広さや、お客さんとの会話のキャッチボールの上手さ等、見習わなくてはと思うところがいっぱい見つかった。
ただ、ゆるやかパーマに甘い顔立ちは、クラスにいたらかなり目を引くのだろうと思う。おまけに背も高いしね。
そんな彼がわたしの両頬を、すっとした大きな手で挟むものだから、わたしの息はひゅっと止まった。
「なんか、顔色悪くね?」
嘔吐でも堪えているのかと思うほど頬が膨らんでいるのは、悲鳴を我慢しているから。
だって、リフさんといるときに悲鳴をあげると、マクマクさんが血相を変えて猛ダッシュでやってくるから。マクマクさんのお仕事を滞らせてはいけない。
わたしは、ポーンと飛んじゃうんじゃないかというほど首を左右に振った。
「そうか? ならいいんだけど。体調悪かったりしたらいつでも言えよな」
解放されたく素直にコクコク頷くと、「よし」と見目麗しい笑顔で解放された。
この人も、なーんか微妙に距離が変なんだよな……。
「お、終わったらあがって大丈夫だから」
「窯の火落とす前に、なんか賄い作っとくよ」
それを聞くやわたしの腹の虫がグゥと音を出して、恥ずかしさのあまり帳簿で顔を隠すと、リフさんがふきだして笑った。
「なに食べたい? 言ってみ」
驚くべきことに、リフさんの料理の腕はかなりのものだった。わたしと二つしか違わないのに、ずっとずっと大人に見える。わたしも小さい頃から料理はしていたけれど、なんというか、センスの次元が違う。わたしは家庭の味。リフさんはお店の味、という感じだ。
お店の味を提供してくれるリフさんからそう訊かれれば、食べたいものがふわふわ頭の中を遊泳する。その中のひとつをぽつりと呟く。
「グラタンが……食べたいです」
オッケイ、とリフさんは快く受けてくれて、何を思ったのか、少ししゃがんで片側の頬をわたしに向けてきた。
「ええと……はい?」
あ、悪い笑顔だ。
「ここにキスしてよ。そしたら海老グラタンにしてやるよ」
ふお!?
言われた瞬間、わたしは脊髄反射で持っていた帳簿を差し出されている頬にぎゅむりと押し付けた。
「しません!! え、海老は大好きですけど……いりません!」
というかあなたはここのスタッフであって、そういう関係じゃない。
「リフさん、そういうことは、恋人として下さい」
わたしの言葉に、リフさんは首を傾げ、眉間に疑問符のシワが寄る。少しして──。
「──ミハル」
わたしを見る視線に乗せる真剣な声音。
掴まれる手首。わたしの身体に不安と緊張が走る。
「俺たち、恋人より深い仲だろ?」
「な、何を言って──」
言うよりはやいか。わたしの頬に、むにりとリフさんの唇が触れた。
「✕!△○!✕$!??」
頭の中の情報処理部門がパンクした。もう膨らんでパンッよ。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
こまめに更新頑張りますので、また読んで頂けたら幸いですm(_ _)m




