王室御用達
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父と母が離婚をして、わたしは母を護りたいから、誰からの攻撃からも護れるように、母の盾になれるように。ずっとそんな気持ちでいた。
「お前、見た目はか弱そうなのに、男みたいな性格だよな」
「ならケンカも強いんじゃないか?」
中学のときに、離婚したこと、母親をけなされたことで男子とケンカになった。
そこで男子との力の差を思い知らされた。
父親に対しても男子に対しても、何かにつけて暴力を振るいたがる生き物、そんな印象しかなかった。
そんな拗れたわたしを優しく包み込んでくれたのが、母とのパン作りだった。
材料費だって、けっして安いものじゃない。それでも母は、このパン作りをコミュニケーションツールにしていたように思う。
「ミハルちゃん?」
突然名前を呼ばれた。
わたし、何思い出してるんだろう!
「や、やっぱりわたしがします! パンの状態も見たいし」
マクマクさんの優しさに目を逸らし、慌ててパンを取り出した。
今更、女の子扱いされることが気持ち悪い。
オープンの時間になった。
外には客がわらわらといて、扉が開くのを今かと待っている。
それを店側からわたしは見ているのだが。
「ここ最近、お客様が多いですよね」
あまり変わったこととかしていないのに、なんか人気店の開店前のよう。
マクマクさんが、売り場の棚に出来たてパンをトングでつまんで置きながら「だって、王室御用達だしね」と言う。
──は?
うわっ、思わず乾いた声で言ってしまった。
「わたし、高官に頼まれて作っただけですが……王族食べてないと思いますが」
マクマクさんは、キッチンにひっこんで、何やら一冊の雑誌をひっさげて来た。
「ほら、このコーナー」
と、雑誌をひらいて見せてくれる。
わたしは亀のように首をのばして覗く。
『王子もお気に入り! 五番街のとんがり屋根のパン屋特集』
え、ええと……。
雑誌に目を通した内容はこうだ。
ボールパンをたまたま置いた日に大臣が来店し、気に入る。夜会で提供する料理のひとつに大臣がこのボールパンを推薦し、大盛況。手も汚れず手袋も外さなくてよく、小さめなので上品に食べられる。そこへ王子も来て、食べたらもう大絶賛。夜会を取材していた記者にインタビューさせ、この記事が出来上がったらしい。
というか、こっちの許可とかとらないんだ。
基本、惣菜パンと菓子パンを作って売っているんだけど、ボールパンを作った理由としては、たしか新しいメニューを考えていたときに思いつきで作ったのよね。
でもまぁ、夜会での大量注文は大変だったけれど、王室御用達を戴いたおかげで、お店が混むことはいいことよね。
わたしは店の鍵を解除して扉を開ける。
「いらっしゃいませ!」
最後まで読んで下さりありがとうございました!
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