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王室御用達

いつも読んで下さりありがとうございます!

更新はだいたい21時〜22時前後を予定しております。

 父と母が離婚をして、わたしは母を護りたいから、誰からの攻撃からも護れるように、母の盾になれるように。ずっとそんな気持ちでいた。


「お前、見た目はか弱そうなのに、男みたいな性格だよな」

「ならケンカも強いんじゃないか?」


 中学のときに、離婚したこと、母親をけなされたことで男子とケンカになった。

 そこで男子との力の差を思い知らされた。

 父親に対しても男子に対しても、何かにつけて暴力を振るいたがる生き物、そんな印象しかなかった。

 そんな拗れたわたしを優しく包み込んでくれたのが、母とのパン作りだった。

 材料費だって、けっして安いものじゃない。それでも母は、このパン作りをコミュニケーションツールにしていたように思う。


「ミハルちゃん?」

 突然名前を呼ばれた。

 わたし、何思い出してるんだろう!

「や、やっぱりわたしがします! パンの状態も見たいし」

 マクマクさんの優しさに目を逸らし、慌ててパンを取り出した。


 今更、女の子扱いされることが気持ち悪い。










 オープンの時間になった。

 外には客がわらわらといて、扉が開くのを今かと待っている。

 それを店側からわたしは見ているのだが。

「ここ最近、お客様が多いですよね」

 あまり変わったこととかしていないのに、なんか人気店の開店前のよう。

 マクマクさんが、売り場の棚に出来たてパンをトングでつまんで置きながら「だって、王室御用達だしね」と言う。

 ──は?

 うわっ、思わず乾いた声で言ってしまった。

「わたし、高官に頼まれて作っただけですが……王族食べてないと思いますが」

 マクマクさんは、キッチンにひっこんで、何やら一冊の雑誌をひっさげて来た。

「ほら、このコーナー」

 と、雑誌をひらいて見せてくれる。

 わたしは亀のように首をのばして覗く。


『王子もお気に入り! 五番街のとんがり屋根のパン屋特集』


 え、ええと……。


 雑誌に目を通した内容はこうだ。

 ボールパンをたまたま置いた日に大臣が来店し、気に入る。夜会で提供する料理のひとつに大臣がこのボールパンを推薦し、大盛況。手も汚れず手袋も外さなくてよく、小さめなので上品に食べられる。そこへ王子も来て、食べたらもう大絶賛。夜会を取材していた記者にインタビューさせ、この記事が出来上がったらしい。

 というか、こっちの許可とかとらないんだ。

 基本、惣菜パンと菓子パンを作って売っているんだけど、ボールパンを作った理由としては、たしか新しいメニューを考えていたときに思いつきで作ったのよね。


 でもまぁ、夜会での大量注文は大変だったけれど、王室御用達を戴いたおかげで、お店が混むことはいいことよね。


 わたしは店の鍵を解除して扉を開ける。


「いらっしゃいませ!」



最後まで読んで下さりありがとうございました!

こまめに更新頑張りますので、また読んで頂けたら幸いですm(_ _)m

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