マクマクさん?
いつも読んで下さりありがとうございます!
更新は21時〜22時くらいに行っています。
マクマクさんのお言葉に甘えて、二人で明日のパン生地の仕込みを始める。
パン生地で一番大変なのは、なんといってもこねる作業、もうこれに尽きる。けれど、一番楽しいのもこれだ。作業台に生地を置いて、手の平を押し付けながら向こうまで伸ばすこの感覚。みにょーんと伸びて、それをまた手の中に巻き巻きと回収するときの快感は、なんともいえず楽しい。
マクマクさんも隣でこねているけれど、力加減といい本当に上手。
この人の優しさが、生地作業にも表れているのかな。
わたしも頑張らなくちゃと、一生懸命に生地を伸ばしていると、縛っているにもかかわらず、一本の髪の毛がどこかからみょんと現れて地味に頬を撫でて痒い。こういうの、あるあるだよね。
両手が塞がっているから、わたしは雑に手の甲で頬をゴシリと拭いた。
二人で頑張った甲斐あって、日付けが変わる前に、無事五十個作ることが出来た。
それを氷が入った冷蔵庫でオーバーナイト発酵させる。
電気というものがないから、冷蔵庫は上段に氷、下段に冷やしたいものを入れるという仕組みになっている。
奮発して買った大型の氷式冷蔵庫。ずっと冷やし続けることは出来ないけれど、こういうときはとても便利。というか、電気冷蔵庫の便利さを痛感します。
お盆に載せたパンを落とさないよう慎重に冷蔵庫に入れて、安堵の息を吐く。
マクマクさんも丁寧に冷蔵庫に入れてくれた。
なんとか出来た。
今日の大仕事を終えたと思うと、緊張していた身体も気持ちもいっきに弛んだ。
「じゃあ、後片付けしようか」
「はいっ。色々ありがとうございました、マクマクさん」
マクマクさんを見上げて笑うと、真綿のような笑みが返ってきた。
「小麦粉ついてるよ、ミハルちゃん」
そう言って、頬を指でなぞられる。
ああ、さっき痒かったところだ……というか近い!
思わずギュッと目を閉じた。
閉じてしまえば、マクマクさんなら拒否の意思だとわかってくれて、きっと離れてくれるだろう。
そう思っていた。
一拍おいて、僅かに息を吸い込む音がした。
なぞった指が頬を包んで、瞼越しに明るかった目の前が衣擦れの音とともに少し暗くなり、温かい空気の揺れをわたしの唇の前で感じた。
あれ、離れてない?
「マクマクさん?」
わたしが名前を言うと、頬に触れていた手が離れ、目の前の暗さが再びもとの明るさになり、わたしもゆっくり瞼を持ち上げた。
「明日も頑張ろう」
マクマクさんは、そう言って破顔した。
先程の不思議な空白がなんだったのかを訊きたかったけれど、洗い物をするマクマクさんの首筋が何故か赤くて、わたしはそのことを訊くことができなかった。
最後まで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)m
こまめに更新頑張りますので、また読んで頂けたら幸いです!




