温かいな……。
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「おお〜」
フライパンの中で踊るじゃが芋の黄金色の輝きと匂いに胸が弾む。
細長く切ったじゃが芋を炒めて、塩のみの味付けだけれど、なんと食欲をそそる匂い!
マクマクさん、フライパンさばきが上手いんだ。だから焦げ付かなくて、でも油も均等にじゃが芋に絡みついて、中華屋さんのバイトなんかしたら、チャーハンとか上手に作れそうだ。
わたしが何度も感心していると、「なんか恥ずかしいな」と、照れ笑いする。お皿に出来上がったじゃが芋を滑らせて、パセリをふりかける。
「あったかいうちに食べよ」
そうマクマクさんはニコリとした。
「いただきます」と互いに言って、わたしはじゃが芋のきんぴらを。マクマクさんは野菜鍋にそれぞれ手をのばした。
温かい湯気がふわふわあがる食事。自分以外のスプーン等がお皿にあたる音。ふう、と野菜鍋を冷ます自分じゃない息。
誰かが一緒にいてくれて、ご飯を食べてくれるなんて、いつ以来だろう。
いつもよりも温かいご飯……。
「マクマクさんは、料理が上手なんですね」
ついそんな言葉が口を衝いて出る。すぐにハッとして、自分から会話を試みてしまったことに戸惑う。いまさら会話を遮断することは出来ない。
マクマクさんが窯で温めたパンを食べて「ミハルちゃんのパンも美味しいよ」と微笑む。
その純粋な笑みに耐えられず、思わず顔を下に向けてしまった。
この世界に来るまで、正直男性への印象はあまりよくなかった。暴力的で、すぐ上下関係を作りたがって服従させる。大きくて怖い存在。
だから、こんな湯たんぽのような心地よい異性は、わたしにとっては衝撃的で、だからこそ免疫がない。宿の男主も優しかったけれど、マクマクさんは更に優しい。
泣きそうなくらい優しい……。
しどろもどろになりながらも、なんとか会話を繋げて夕食は終わった。文脈も何もあったものじゃないような会話でも、マクマクさんは終始楽しそうで、始めはジェットコースターをしていた心臓も、終わりの頃には落ち着いていた。穏やかなマクマクさんの顔を少し見られるようになった。
洗い物をしようと思うと、マクマクさんが「僕がやるよ」と言って、椅子から立ち上がった。それを無下には出来ないので、お願いして、わたしはテーブルを拭いたり、使わなかった食器を片付けたりする。
けれど、それも終わってやることがなくなったので、わたしも洗い物を手伝うことにした。
「そういえばこの前、弟たちがこうして洗い物をしていたら、誰が洗剤を投入したのか、物凄い泡になってね。その泡を投げあって、しまいには母さんに怒鳴られて、二人とも小脇に抱えられて行ったんだ」
お母さんに抱えられて行くなんて、想像するとなんかかわいいな。
ふふ、と笑ってしまう。
「可愛らしい弟さんなんですね」
「うん、可愛い。今年で十八と十九なんだけど、いつになっても弟は弟だよ」
うん、可愛い弟……ふぉ!?
なんか、わたしの想像に、逞しささんが急遽割り込んできた。
十八歳と十九歳を小脇に抱えるお母さん……ええと、アマゾネスさんか何かデスカ?
ここまで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)m
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