第11話 キノコの秘密
【前回のあらすじ】やる気なし、元気なし、たまき。
「お前……そ、それは……」
「はい、テイク2ありがとね。ばっちりだよ」
「……そういうのやめろ」
「えへへ、ごめんごめん。……ところで、このキノコの種類がわかるかな?」
「……知らない」
「……それだけ? 面白くないなぁ、もっと盛り上げてよ」
「俺はお笑い芸人じゃないし。……それで、何のキノコ?」
「……コウゴウシイタケ」
……へっ? コウゴウ……シイ、タケ……?
「お前、それって……」
「テイク3ありがとね。そうだよ、君が引っこ抜いたキノコ。さっきの大騒ぎの元凶だよ」
「……よくあんな目に遭って持って帰ろうと思ったな」
「これの収穫が大きな目標だったからね、いやはや……苦労した甲斐があったよ」
……こいつが何の苦労をしたって言うんだ、俺の背中過大評価の胸押し付けてただけだろうが。
「一人じゃどうやってもあの厚い壁を突破できなかったからさ、君が手伝ってくれたのは幸運だったね」
できなかったからさ……って、こいつ……。
「……話が見えないんだが。お前、さっきのことをまるで見たことあるみたいに言うじゃん?」
「うん、あるね」
「……マジで?」
「うん、コウゴウシイタケ収穫にチャレンジしてきた愚か者たちをね。ちなみに、そいつらの悲痛に満ちた叫び声もセットでたくさん聞いてきたよ」
……はぁ、いまいちわからん。
どうして、そこまでしてこのキノコが欲しいのか。
「お前、趣味悪いぞ」
「わ、私だって好きで聞いてたわけじゃないから! 情報収集だよ」
「はぁ、そんなキノコぐらいどこでも生えてるだろ」
「生えてないよ! このキノコは特別なんだよ……格別なんだよ?」
「……どこが。名前以外はどっからどう見てもただのキノコだろ……採った時みたいに光ってないし」
「それは私にもわからないけど。……コウゴウシイタケはね、食べると……不老不死になれるんだよ!」
「……ふーん」
「全っ然、興味なさそうだね! 欲しくない? 不老不死」
そんなの欲しいやつなんて、某7つの球集める漫画に出てくるキャラくらいじゃない?
「悪いけど全然興味ないわ。不老はともかく不死は絶対いらない」
「何で?」
「あのな、人は死ぬからこそ人生を悔いなく生きようと頑張れる生き物なんだよ。終わりがあるから、俺は俺でいられる気がすんだよ」
「何言ってんのかわかんないなぁ。……そもそも、あげる気ないから。見せびらかして自慢したかっただけだから。……あと、タマキを励ましたかったってのもちょっとだけあるから」
こいつ、たまにすごいヒロイン力を発揮してくるよな……正直ついていけない。
「だから、俺はいらないよ。で、お前はそれ食って不老不死になりたいってわけか」
「えっ、私も不老不死には興味ないから」
いや、興味ないんかーい。
「じゃあ、何でわざわざ......」
「……町で売って一儲けしようかなと」
こいつ、ベジ●タさんやフリ●ザ様よりだめかもしんない。
「……よくたかが金のために命懸けられるよな」
「たかが? ……お金は大事でしょ、この世の大体はお金で何とかなるんだから」
「そんなに金に執着するとか……恨みでもあんの?」
「残念だけど、そういう設定はないんだ」
「即答かよ」
それに、設定とかサラっと言うなよな……。
「そんな都合のいい過去なんて持ち合わせてないよ。私はちょっと魔法が使えるだけの美少女僧侶なんだから」
「仮にお前が僧侶だとして、お前みたいな欲深い僧侶に会うのは初めてだよ。せめて、魔法使いとかにしとけよ」
「……魔法少女じゃダメ?」
「どうでもよ! ……強いて言うなら、ギリギリアウトだろ、年齢的に」
「そうかなぁ? ギャップ萌えだと思ったんだけど」
「それがギャップ萌えなのか謎だし、それ以前にお前はキャラがブレブレだからな」
【ありがとうございました】





