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六月二十八日の日記

 今日自分が日直になっていることを忘れていた。よりによってもう一人の日直の女の子が学校を休んだため掃除が大変だった。

 友人に手伝ってもらおうとも考えたが、流石に申し訳ないと思いせっせと取り組んでいるといつもより一時間遅く学校を出ることになった。

 今日は美術館の管理人の方に傘を返さないと行けなかったのだ。勿論傘を返して帰るつもりはなかった。『最高傑作』の鑑賞も勿論行うつもりだった。

 美術館について傘を返すと、管理人の方に『最高傑作』について話をしてもらった。これを書くと長くなるから、日記では省こうと思う。

 その話を聞いて、ラードリッヒがどのような人なのかを調べたいと思った。今日はもう遅いから調べる気力は残っていないので、後日にしよう。

 ただ、一つだけ不思議なことを見つけた。

 『最高傑作』のイエナの目が閉じていた。

 元々閉じていたのだろうか。撮影は禁止なので元々を覚えていないが、目が細いが確かに暗い空を見つめていたはずだ。

 恐らく見間違いだろう。彼女の絵には別の誰かに描写を付け加えられた不自然な点は見られず、自然であったので見間違えだろうか。

 でももし彼女が確かに目を閉じたなら。

 彼女は生きているのだろうか。

 不自然なことにそのことに対する恐怖を感じることは一切なく、ただ関心だけが今は勝っている。

 明日も美術館に行こうか。いや、明日は図書館に行ってラードリッヒについて調べよう。

 彼がどういった生き方をして、どういった経緯で『最高傑作』を描いたのか。

 それが分かれば少しは『情緒』という作品が理解できる。そんな気がするのだ。

 もっとラードリッヒについて知りたい。もっとイエナについて知りたい。

 芸術なんかじゃない。彼女の魅惑的な瞳は、芸術だなんて一言で片付けられるような物じゃないのだ。

 人間じみているが、それでいて幻想的。

 彼女に次に会うのは二日後だ。

 明日は早いからもう寝よう。

あとがき


こんにちは、Yukariです。

『六月二十八日の日記』を読んで頂きありがとうございます。今回は会話を続きとして載せる2連載となっていますので宜しければ両方覗いていただければ光栄です。

扇風機が壊れまして、蒸し暑さと戦いながらの投稿となりました。

みなさんも、熱中症にはお気をつけください...(二回目

それではまた明日。

ブックマーク、お気に入り登録してくれると嬉しくなるので是非よろしくお願いします!

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