六月二十七日の日記
学校が終わって、友人からのカラオケの誘いを断って美術館に向かった。授業中、なぜか美術館のことだけを考えていた。
美術館に着くと、管理人さんに頭を下げられた。どうやら昨日も来てたことを知られていたらしい。
チケットを購入時、年間パスポートを購入することにした。一回の入場が300円で、年間パスポートは1600円だったからだ。多分、五回以上は行くことになると思う。多分。
すぐに二階の『最高傑作』の元に向かった。エスカレーターを逆走しそうになってびっくりした。
当然ながら、『最高傑作』は昨日と同じ位置で佇んでいた。最高傑作の作品だけは二階の隅に置かれており、誰も人がいない。そもそも二階はラードリッヒの描き殴りの作品が多く、未完成の物も飾られているので殆ど人はいなかった。
『最高傑作』はその名であるにも関わらず、乱雑に描かれたらしく、他の作品とまるで失敗作扱いをされているようだ。
今日気づいたことは、『奈落』と『最高傑作』と『情緒』に描かれている少女は全て同一人物であったと言うことだ。
どれも丁寧には書かれていないため気づかなかったが、透き通るような白い髪と、白い雪のような髪飾りが共通していたのだ。
そして『奈落』や『情緒』は季節を描かれていないようだったが、『最高傑作』は冬を背景に描かれていた。明らかに冬だとは確信できないが、黒い空から降る白い細雪が点々と描かれていたのだ。
ずっと『最高傑作』を見ていると、閉館時刻になってしまった。3時間程度彼女を見つめていたらしい。
美術館にいた途中に土砂降りが起こり、傘を持っていなかったのでどうしようかと思ったところ管理人の方が傘を貸してくれた。
明日も返しに行こう。
そして彼女に会いに行こう。
ラードリッヒの最高傑作である『イエナ』に。
あとがき
『六月二十七日の日記』を読んで頂きありがとうございます。
初めての毎日投稿で緊張していて、たった二日ですが継続して書けて良かったと一安心しています。
これからはるんるんと投稿を続けていきたいと思います。
だんだん熱くなってきているので皆さん熱中症に気をつけて定期的に水分補給を行ってくださいね。
それではまた明日。
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