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ニートだった俺と愛華の1働き〜プロローグ〜
俺は学校生活が上手くいかず、高校を中退してニート生活を送っていた。本当は仕事をしたいが、人間関係もあまり上手くいかないのではと思ってしまい、その気持ちを拭うために外国に一人旅を行っていたのだ。
そんな中、雨が降り注いでいる道で俺は泣いている少女に出会った。俺はキュンとしたが、まだ早い。親がいたらなおさらなので、俺は話してみた。
「……きみ、親はいるのか?」
少女は俺が想像できなかった返事をした。
「親……?私にいるのかすら分からないの……。私は……奴隷だったし……名前もない……だから、ほっといて……。」
俺は、急に胸が苦しくなった。つまりあの噂は、本当だったんだ。彼女は雨に濡れて、血が滲んでいる。
「そうか……何も無いなら、これから大切なものを作ればいいさ。……こんな頼りない俺だが、ついてきてみるか?」
俺は笑顔で言葉を返した。これから、守るべきものが俺にもできる。彼女を幸せにできるかは俺次第ってことだな。
「……うん、ありがとう。あなたについていくわ。こんなに優しくされたことがなかったから。」