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ブラックペアン問題

作者: さきら天悟

この国は本当に終わっているな、と藤崎は思った。

相変わらずの国会の混迷、政治が進まない。


獣医学部より医学部だろう。

早急に新設しなければならないのは。

地方都市には医者不足で経営困難に陥っている市民病院がたくさんあるというのに。

それに毎年増える医療費が財政を圧迫させる。

ブラックペアン問題だ。

日本医療にはそれがある。

これを解決しなければ、日本の財政は破綻する。


午後9時53分、藤崎はドラマを見終えて、

日本医療の問題の原因を推理した。

ドラマとはもちろん『ブラックペアン』である。

医療コーディネータが現実とかけ離れている、

などという指摘があるが、そういう問題ではない。

ドラマは面白く、藤崎は日曜日の夜を楽しみにしている。

だったら、何が問題?と問われれば、

逆に藤崎は問い返すだろう。

このドラマは日本医療の問題を象徴していると気づかないのか?と。

こんなことをやっているから医療費が増え、

そして地方は医者不足になるんだ、と。


ブラックペアンには、二人の大学医学部の教授が学術論文の

インパクトファクターで日本医学会のトップを争うことが描かれている。

インパクトファクターとは先端医療技術の重要度なのだろう。

多少やり方に陰謀めいたことがあるが、

技術を競う点では問題ないだろう。


だったら、何が問題?


「だれが払うんだッ。

論文を作成する費用を」

藤崎は大声を上げた。


国ッ?メーカー?

多少、国から研究費は交付されるが、

国の方針変更により、大学は独自採算となった。

メーカーからもある程度あるだろう。

でも、大部分は患者から。

当たり前だって?

いや、違う。

もし、その事案に当たる患者が負担していたら、

とてつもない額になってしまうだろう。


「だから、すべての患者がその費用を負担しているんだ」

つまり藤崎が言いたいのは、かぜ、腹痛などの治療費にも、

論文を書く費用が上乗せされていると藤崎は推理したのだ。


でも、当たり前じゃないかって?

当然、普通の企業も製品にはその開発費が上乗せされる。

先端医療の研究費を賄うため、医療費の上昇は仕方ないが、

しかし、論文を書かない医者にとっては丸儲けになるのだ。


「だから、地方の市民病院には医者を派遣しないんだ。

大学に患者を集めて、研究費を稼ぐために」

藤崎はやり切れず、奥歯をかみしめた。


「ふざけるな!

病院の土日休みは学会のため?

人は土日に病気をしないと思っているのか。

いつか、俺が医療システムを変えてやる」


名探偵藤崎誠には与党若手有力議員の太田という親友がいる。

数年が彼にこう提言したのだった。


・医学部の新設・人員の増加。

 医者不足への対応。


・数千億円規模の医療研究の計上、

 と同時に医療費の減額。

 研究費を国が負担することで全体的に医療費を抑える。


・医学生への奨学金の充実。


・研究医制度の新設。

 専門分野に特化し、臨床経験がなくても特定医師免許が取れる制度。

 医学研究者の育成。

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