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44話 光りもの退治 1

「シドウ様! 私もそろそろ闘ってみたいです!」

「よろしければ、武器を持たせて頂けませんか?」


 シルビアとクエストに向かおうと支度をしているとき、アイとシーが俺に抱き着いてきた。……訂正。シーは抱き着いているが、アイは俺の袖を掴んでいるだけだ。

 だが、普段そこまで俺に対してデレというものを発揮しないアイがこれをやることで俺の元から寛大な心もより緩むというものだ。


「んー。別に俺は構わないが、シルビアはどうだ?」

「私もいいと思うよ。この2人は、出会った時に君に言った通り特別だ。教え込めば何だって吸収していく。いずれ戦闘技術を教え込むというのであれば早い方がいいだろう」


 ちなみにだが、シドドイは現在この場にはいない。

 少し足りなかった回復系のアイテムを買いに走らせている。走っているというか歩いているとは思うが。


「死体となっているから身体能力も向上していることだろう。だからまあ、魔法とかスキルに関係無しだったら君よりも頼りになると思うよ」

「別に俺は自分で剣を振り回したりはしないが……」


 まあいいか。

 そこまで難しいクエストに行こうとは思っていない。

 採集系では無いにしろ、群れるタイプの雑魚を蹴散らそうかと思っていた。


 適当にはぐれた魔物の相手をしてもらうか。


「この時間なら武器屋もやっているか」


 いい加減、俺もまともな武器の1つでも持ってみるか。金も溜まってきたことだし。


 俺の今持っている武器……アイテムボックスに入っている武器のほとんどがイロモノだ。

 ジルの洞窟にあった宝物は別としても、勇者の剣とかいう発情剣はどう扱えばいいか分からなさ過ぎてあれから一度も取り出していない。


「と、いうことはよろしいのですか?」

「やったー!」


 あらあら。2人で抱き合っちゃって、微笑ましいことで。


「ちなみに、どんな武器がいいんだ?」

「私は斧がいいです!」

「その……ハンマーというのに憧れていまして」


 あらあら。2人で素振りなんかしちゃって、物騒なことで。


「シルビア先生」

「うん、いいんじゃないかな。適性は十分にあると思うよ。身体能力の上がった今の状態なら重量級の武器であろうと持てるだろうし」


 さっきから肯定しかしないシルビア先生。


「なら、いいか……」


 つまりは前衛が増えるってことだ。

 俺もシルビアも後衛向きの職業だから、前衛で斧やハンマーをぶんぶん振り回してくれてるなら俺やシルビアともバランスが良い。


 それに小さい女の子が大きい武器を使うのってロマンだしなぁ。

 おいおいそんな小せぇのがそんな武器使えるのかよ? 使えますが何か? って流れは好きな方だ。

 ぜひともその流れを見てみたい。


「んじゃまあ、行くか」


 シドドイが帰ってくるのに合わせて入れ替わりでシドドイ以外が出て行く。シドドイが1人になってしまうが、少しばかりの小遣いを渡して自分の服でも買えと言っておいた。奴隷の中ではシドドイが今のとこ一番頑張っているから褒美だ。

 俺はどうも褒美を与えすぎる気がする。まったく、優しすぎるってのも問題だな。





 さて、武器屋に到着しました。


「シルビア、お前の出番だ。その目で良いやつを選んでくれ。……予算はこのくらいでな」


 平均的な武器の値段は知らないが、目に入った武器の値札からだいたいの予想を立てて金を渡す。

 これで俺とシルビアの数日分の稼ぎが消えた。アイとシーの2人分の武器だから、この間の慰謝料も消えちまった。


「分かった。さぁ、アイ、シー、付いてきてくれ」


 俺も自分のを選ぶとするか。

 シルビアに俺の分も選んでもらうのが良いのは分かっているが、まずは手にしっくりと馴染むかだな。俺が振り回しても疲れないかどうか。


「これは……駄目だな重すぎる。こっちは軽すぎて逆に振り回しちまう」


 シルビアの【鑑定】は物の真価や価値を見ることが出来るというが、俺と武器との相性は分からないはずだ。俺が実際に触って見るに限る。


 だから、シルビアの目は最後の確認程度でいい。

 アイとシーは身体能力向上によって武器を選ばずとも闘えるかもしれないが、俺は違う。か弱き生身の人間だ。

 馬鹿げた力なんて、持ち合わせていない。


「……なんでシルビアは死体のくせに俺と同程度の身体能力なんだよ」


 なんで少し走っただけで息切れしてるんだよあいつ。


「うんー? 何か言ったかいー?」

「気のせいだ」


 俺の独り言が聞こえたのか、シルビアが少し離れた場所から声を張るが、恥ずかしいから止めろ。


「私達はもう見繕ったけど、君の方はどうだい?」

「うっそだろお前……」


 早すぎだろ。

 まだ五分と経っちゃいないぞ。


 女は買い物が長い。どうやらこの常識は修正しなければならないらしい。

 現実主義者には無効だと。


「……何か失礼なことを思っているようだが」

「いや、思っていない」

「私が目で見て判断した武器をアイとシーに直接振ってもらって確かめる。私で1分。アイとシーで3分だ」


 俺まだ2.3本の剣しか見ていないんだが。


「どうする? 手伝おうか?」

「……お願いします」


 武器との相性がどうとか偉そうに言っていた俺だが、結局はシルビア先生に頼ることになってしまった。

 なお、この時選んだ剣はとても俺に合っており、少しばかりの戦闘では疲れないのは本当にシルビア様様といったところだろう。


 お値段もリーズナブル。

 双子のも合わせて非常に良いお買い物でした。


「シルビア、お前にはこれを」

「うん? ヘアバンドかい」

「最初の予算よりも安く済んだからな。これも魔力向上系のアイテムらしい。その仮面に弾に髪が垂れてきているの、気づいていないだろ? それで縛っておくといいぞ」


 シルビアはこの街では死んだことになっている。

 そのため、外出時にはこうしてジルの宝物の1つである効果の分からない仮面だかマスクを付けさせているのだが、やはりというか視界は良好ではないらしい。

 シルビアの金髪に似合うような青いヘアバンドを見つけたので買っておいたのだ。


「あ、ありがとう……まさか君から贈り物を貰えるとは思ってもいなかったよ」

「そうか?」


 その仮面だってシルビアにあげたものだし、他にも服だって何着か買い与えているはずなんだがな。

 

「あ、いいなシルビア様」

「シドウ様、私達には無いのでしょうか」

「その武器は俺が金を出したもんだぞ。これ以上欲するか」


 それを言えば2人はそれぞれハンマーと斧に頬擦りを始める。

 こいつら……何でもいいのかよ。


「引くわー……」

「それは可哀想だろう、君」


 シルビアに窘められる。


「シルビアが選んだのなら武器自体に問題は無いだろうな。後はお前ら自身が闘えるかどうかだが……」


 ぶんぶんと獲物を振り回す様を見て言わずもがなか、と言葉を飲み込む。

 というか、デカすぎるだろハンマーと斧。

 どっちも2人の背丈くらいはある。

 破壊力だけ突き詰めたかのようなシンプルなデザインだ。

 つまりは実用的とも言えるわけで俺好みでもある。


「ばっちりですよシドウ様!」

「後は実戦あるのみ、です」

「おう、頑張れ」

「「頑張ります!」」


 胸の前で拳を作る2人。ぞいって言え。


「頼もしいことで。それじゃあ道すがらクエストの説明でもしておくかね。おい、シルビアさんよ」

「はいはい。今日のクエストはだね、セイントジラフという魔物の討伐だ」

「せいんと……」

「じらふ……?」

「そう、セイントジラフ。これを全滅させればクエスト達成。そして、この魔物は珍しくも光の属性だ。とは言っても、別に光魔法を使うわけでは無い」

「ではなぜ光の属性を……?」

「ふむ、良い質問だ。それはね、彼らは常に光っているんだよ。眩しいくらいにね」

「おかげで夜になっても眩しすぎて付近の村の村人は寝られねえんだとよ。だから、退治してほしい。人間のエゴだね、うけけ」

「君、私の言いたいことを……後半は言ったわけではないから別にいいか」


 まあそいつらを殺して結果はどうなるか分からねえけどな。

 もし周辺に、『死霊山』にいたような目だけに頼らない魔物がいたのだとしたら、これから先その村の見張りは暗闇の中動き回る魔物を相手にしなければならなくなる。

 これまで見張りだけはセイントジラフのおかげで容易だっただろうに、その光が無くなれば魔物に襲われ放題かもしれない。


「もう一度、同じ村から依頼が来るかもなぁ」

「そうなりそうなのか?」

「俺の予想だとな」


 そうなれば二度おいしい。二度手間にはなるが。


「……? まあ、全滅と聞けば難しいように思うかもしれないが、群れで動くタイプの魔物だから見つけたら私の魔法でまずは周囲を覆おう。そしたら少しずつ分断してアイとシーに倒して行ってもらおう」

「倒した先から俺が蘇生させて残りの群れを減らしていけばいいんだな」


 これぞ完璧なチームワークだ。

 アイとシーがいなければ分断せずにシルビアが群れを一網打尽にするような魔法を使うことになっていただろうから、まあ一人当たりの負担が減るっちゃ減る。主にシルビアのだが。


「眩しいから、狙いをよく定めてな。後、アイとシーは互いに近づきすぎないように。同士討ちとかされると俺が直す手間になるからな」

「とは言え、あまりセイントジラフを見過ぎると目がやられるから……ううむ、どうアドバイスしたものか」

「そんなん、闘っているうちに慣れるだろ。もしくは自分で見つけ出すしかない。あまりお節介が過ぎるとこいつらの成長にならん」


 直すのが面倒とは言ったが、やらないとは言っていない。

 別に、怪我すれば端から直していってやる。


「まずは思い切ってやってみろ。話はそれからだ」

「はーい!」

「分かりました!」


 クエストの説明も終わり、残るは移動だ。

 説明は道すがらといったが、それは街から出るまでの道すがらで……


「シルビア、そっとだぞそっと。あまり飛ばし過ぎると俺の意識も飛ぶ」


 街の外からクエストを依頼した村まではシルビアの風魔法による飛行によるものだった。

ちょっと整理させてください

ええと……アイがハンマーでシーが斧……よし覚えた!


いつでも感想をお待ちしております。そんな気分です。

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