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地球へ行くのじゃ!

異世界で使う魔法や超能力をそのまま持ち、地球で生活をする逆異世界コメディです。

「勇者は来ぬのか!我はもう飽きたぞ!」

淀んだ黒雲が立ち込めるなかにそれはもう高くそびえ立つ塔のてっぺんから叫び声が聞こえる


「そ、そうおっしゃられましても王女ラーデル様…先月に王女様自身が勇者を返り討ちにしたばかりで…」

赤いツノが生え、黒髮ショートで、目も赤く黒い格好をし、いかにも体格が良い一際異彩を放つ手下が答える


「この前のは中々骨のあるやつじゃったなぁ、それがどうじゃ!この前の奴以前は塔の中枢にも辿り着けぬとは…これから先、我に辿り着く奴はいつ訪れるのやら…そもそもお前ザイが私の前に戦闘してしまうものだから中々我の役目は訪れぬ…右腕とは一体なんじゃ!そこまでして我に退屈させるか!」

こちらも赤いツノが生え、赤のロングヘアの王女と呼ばれた美少女が言い放つ


「でも、そ、そういう決まりですし…」


「そもそもこのジラトーレの世界ではもう我と勇者側デーオン配下とで国は2つに綺麗に別れているではないか!これ以上国を広げなくても良い!もう飽きた!」


「ではもう勇者国を襲いに行ったり、塔で勇者を待ちわびたりしなくても良いとおっしゃられるのですか?」


「それ以外やる事がないからじゃろ!!暇じゃ!!我は暇じゃ!!悪役とはなんとも暇なのじゃ!!」


「どうしろと…」

ザイが呆れたように呟く


「そこでじゃ!最近この水晶で地球を観察しているのじゃがの、この制服を着てる人達のなんとも楽しそうな毎日!学校で勉強をし、休み時間にお喋り、放課後にはデザートを食べに行く!なんとも素敵じゃー!この楽しそうにしている人間の事をJKと言うらしいぞ!嗚呼JK…びゅーてぃふぉーJK!我もJKライフに重んじたい!」

ラーデルが目をキラキラさせながら言う


「と言うと…?」

ザイが不安げに答える


「我はここ数百年間父上が死んでからずーっと戦って来た!戦った分配下も領地も増えてもう安泰じゃろ!外の世界の楽しい事をしてみたいのじゃ!」


「いやしかし王女様…」


「出発は明日じゃ!!明日の朝一で塔のてっぺんから異世界ゲートを開く!」

高らかにラーデルが言い放つ


「な!王女様!どうか考えを改めて!そもそも

この国を納める役目は!ー」


「まずは制服を生成して…住む場所も必要じゃ、塔の部下には置き手紙で十分じゃろ!最早平和なこの世界では例え勇者が来ても我が居ないとあれば切り上げてくれるじゃろうし…あ!スマホは必須アイテムじゃな…」

ザイの必死の説得もまるで聞こえておらずラーデルはぼそぼそと呟く


「ザイ!お前も付いてくるのじゃぞ!地球でお前は

お兄ちゃん!保護者代わりじゃ!」


「そ、そんな急な事言われましても!」


「なんじゃ!我に逆らうと言うのか!?」


「わ、分かりました…王女様のご命令とあれば…」


「よし決まりじゃー!!!ザイ!今から言うものを揃えておくのじゃ!」


「はぁ…」

ザイは最早もぬけの殻だ

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