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お腹がすいて目が覚めた。 ルナクはまだ眠っているようだった。 入り口を作ると日はすでに上がっていて、注ぎ込んでくるひんやりとした空気、森の香り、朝日が心地よかった。
「ん・・・」
入り込んだ風が冷たかったのだろう。 身じろぎしたルナクに着ていた上着をかけると入り口を小さくし外に出る。 完全に閉じたらルナクが驚くだろうからという僕のやさしいやさしい配慮だ。
外に出てあたりを確認するが人はいないようだった。 もう蔦は外れているころだろうから帝のもとに行ったのだろう。追ってこなければいいけど・・・。
朝食を確保するために魔法を使う。
「理を外し我が願いをかなえよ。 木々よその実りを我がもとに。」
出でよ林檎! と思いながら魔法を使うと芽が出てきた。
葉が出て
蕾ができて
花が咲いて
実ができ
あっという間に熟した。
我ながらこの魔法はずるいと思う・・・
木に実った林檎をいくつか回収し、火をおこす。
・・・なかなか上手くいかない。
さすがに木を生やして火をおこすわけにはいかないのでただひたすら木を両手ですり合わせる。
・・・結果火はついた。 掌にできた無数の豆、水膨れと引き換えに。 そして起きてきたルナクが僕に言った一言。
「言ってくれれば魔法で種火くらいなら作れたのに。」
15分ほどいじけました。
手を冷やすついでに行った川で魚を捕まえ(蔦で網を作れば簡単だった)串にさし火の傍に刺す。
暫くするとジュウジュウと油が滴り始め食べごろになった。
一口噛んでみればほろりと崩れ、甘い油が口の中にジュワッと広がった。ああ、ご飯が欲しい。
ふと、横を見るとルナクが固まってた。
「ルナク、どうした?」
「・・・おいしい、こんな美味しいもの食べたことない・・・。緑風京でもこんなに美味しいものは出なかったのに・・・。」
美味しい、美味しいと言いながら魚をがっつくルナクを見るととても微笑ましくなるが、宮殿の端っこに閉じ込め粗末な生活をさせていた帝とルナクの兄に対する怒りがふつふつと湧いてくる。
ルナクには聞かせられないような罵詈雑言を頭の中でひたすら言い終わったころには、ルナクも魚を食べ終わり今朝僕が収穫した林檎をかじっていた。
そこで前々から気になっていた事を聞くことにした
「ルナク、そういえば僕のことを御使い様って呼んでたけどなんで?」
「皇国にはある伝承があるんだ。 何百年かに一度神様の使いの方が地上に現れる、そして人々を助けてくれる。実を言うとこの話信じてなかったんだ。でも、あの一角に閉じ込められてただただ毎日を浪費していっていた僕の前に現れた蒼はとても神々しかった。ずうずうしいけど蒼にお願いするしかなかったんだ。」
「なるほどな」
するとなると僕のような転生者がほかにもいる可能性があるな。探してみよう。
だがまず僕たちのしなければいけないことがある。
そう、昨日から風呂に入ってない。
レッツ水浴びタイム。