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ジョッシュのアーチ  作者: Tom Openrange
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あまりに疲れていたせいか、知らぬ間にそのまま眠ってしまっていた。遠くで人の話し声が聞こえたような気がして、目が覚めた。どのくらい眠っていたのかはわからないが、いくぶん疲れは取れたようだ。僕はゆっくりと体を起こし、壁の隙間から外をうかがった。

あの大きな建物の前に、たくさんの人々が集まっていた。彼らの姿を見て、この集落のどこかにジョッシュがいることを僕は確信した。そして、この土地がインディアンのものであることも。なぜなら、彼らはみんな、ジョッシュと同じように獣の皮でできた服をまとい、様々な装飾品を肩や腰のあたりに付けて着飾っていたからだ。服の色はベージュだけでなく、赤茶色や紫がかった色のものもあった。そして中には、大きさも色もさまざまな、鳥の羽根でできた飾りを頭に付けている者もいた。彼らはみんな黒髪で背格好が似ていた。男女問わず大勢の人々が集まっており、子供の姿もちらほら見えた。

しばらく様子を見ていると、そのうち列になって端から順に歩き出した。なぜかみんな両手にバケツのようなものを持っている。そして、昨日僕がやってきた方角、つまり蛇行する狭い谷の方へ向かって歩いていくのだった。僕は列をなす人々の中にジョッシュがいるのではないかと思い、目で追ったが、残念ながら見つけ出すことはできなかった。


僕は彼らの姿が谷の間に消えるのを確かめてから小屋を出て、大きな建物の方に向かって歩いて行った。ここの住人はみんな出払ったのだろうか?高い外壁に阻まれて中の様子はわからなかったが、人の気配はまるで感じられなかった。

裏手に回り、巨大な壁のようにそそり立つ、切り立った崖を見上げた。その高さは20~30mはありそうだ。よく見ると左手の方に、壁面が縦に大きく裂けた場所があるのを見つけた。その裂け目の下のところだけ、大きな岩がゴロゴロと転がっている。どうやら崖の岩が一部倒壊して亀裂ができたようだ。僕はそれらの岩の上を飛び移りながら、亀裂のすぐ近くまで行ってみた。よく見ると、裂けた崖の隙間に、何本かの丸太が真っすぐ立てかけてあった。それぞれが崩れた岩の内側の突き出た部分に引っ掛けるようにして置かれており、離れて見ると地面から崖の上まで丸太が縦一列に並んでいるように見えた。これらの丸太は、きっと人が意図的に置いたものに違いない。梯子の役割を果たしていて、これをつたって登れば崖の上まで行けるのではないか。そう考えた僕は、早速、片手で丸太をつかみ、もう片方の手を岩壁にあてて突っ張りながら、ゆっくりと亀裂の中を登り始めた。滑り落ちないよう、手だけではなく足をかける位置も慎重に一つ一つ確かめながら・・・。

高さが増すにつれ、徐々に手に汗をかいてくるのが自分でもわかったが、必死になって意識を集中させた。そこから見える景色がどのようなものか、気になってしょうがなかったが、ここで集中力を欠いて転落でもしたら元も子もない。そう自分に言い聞かせて必死に登り、やっとのことで崖の上にたどり着いた。気がつくと、僕の背中は冷や汗のせいか、びっしょりと濡れていた。


崖の上は台地だった。平板な荒地が果てしなく続いていたが、後ろを振り向き、谷を見渡した瞬間、息を飲んだ。

そこから眺める景色は、それはもう言葉では言い表せないくらい素晴らしいものだった。U字状の広い谷が、左から右まで見渡す限り続いていた。左手には、昨日僕が駆け抜けてきた細い谷の入口が見えた。さっき、ここの集落の人々が歩いて行った方角だ。そして右手には、少し離れた場所にいくつかの建物が点在するのが見えた。どれも同じように日干しレンガでできているようだが、幾分こぶりに見えた。あのあたりも、ここの集落の一部なのだろうか?

崖の真下に見える例の大きな建物は、下で見た時よりも巨大に感じた。上から見下ろすとその中央部は中庭のようになっていて、石積みで円形に囲ってあった。それは、先住民の古代遺跡でよく目にする”キヴァ”と呼ばれるものにそっくりだった。祭礼を執り行うのに使われたと考えられている場所だ。これまで、朽ち果てて風化したものなら幾度となく見てきたが、今、目の前にあるのは遺跡なんかではなく、現実に使われているものなのだ。信じられなかった。


それにしても、いったいここはどこなのだろう?

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