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君の歌声と。  作者: 結季奏
7/20

7話

マミちゃんは、メニューをじっくり熟読し、それからコーヒーと苺パフェを頼んだ。私はコーヒーと苺タルト。

メニューに可愛く描かれたいちごの絵を見て迷わず苺の入ったメニューにしようと決めたのだ。


「おまたせしました。コーヒーと苺タルトと、苺パフェです」


5分ほどできた。

苺パフェは、大きい硝子のカップに入っていた。

そこの方に敷き詰められているのはコーンフレーク。その上に苺のアイス。ピンク色のホイップクリームがあふれんばかりに盛られ、その上に苺、苺、苺。


タルトもこれでもかというぐらいに苺が使われていた。

想像したよりも大きくて幸せな気分。

フォーク、スプーンをそれぞれ手に取り食べ始める。

二人の間ではコウタの話ばかりだった。


マミちゃんは苺をスプーンの上に乗せながら言う。

「コウタは、中学校の頃とすごく変わってしまったんだよね……」

「コウタは中学校の頃どんなん人だったの?」

「ええとね。部活にすごく一生懸命でよく練習してたわ。よく質問にも来てたし。それにすごく子供っぽかったかな」

「あはは。そうなんだ!」


私は苺をフォークにぐさりと突き刺す。

「私はコウタと合唱団で一緒だったの」

「そうなんだ。音楽が好きなのね」

あ、美味しい。出来たてだ。


「そう。歌すっごく上手」

「そうなんだ!聴いてみたいなあ。」

生地もフワフワのサクサク。

ほっぺがとろけ落ちますー!


「成績も学年一位なんて……」

「受験生の私よりももう賢いのよ。なんだか腹が立つわねえ」

「あ、先輩なんですね……」

「ああ!気にしなくていいよ。敬語ってなんか他人行儀みたいで嫌じゃない?」

「ええ、でも。なんか……」


「いいよ。今まで通りにお願いね」

「うん。分かった。ありがとう」


気づけば皿の上のケーキはなくなっていた。


コーヒーをちょびちょびと飲みながら尋ねる。

「ええと。マミちゃん。あの、マミちゃんはコウタの事が好きなんですよね……?」


マミちゃんは溶けかけたアイスをすくう。


「……好き。裏切っちゃったけどね。後悔してるの」

「うらぎる……?」


その瞬間だった。

「えーー!マミー!なんでここいるのーー?」

金髪の女の子が近づいてきた。


一言で表すのなら、ギャルだ。


「わあ!アダコ久しぶりーー」

「ちょっとーアダコッてやめてよーお」


急に、変わったマミちゃんの態度に驚いた。

さっきまでがお嬢様キャラなら、今度はイケイケの最近の女の子キャラなのだ。


「足立だから、アダコでしょー。アダコにスミレなんて名前やばいくらい似合ってないんだもーん」

「ちょっとぉ。ひどーい!

 ……ん?この子は誰?」


私の方を指差す。

あぁ。人を指差すのは良くないよ。


「あーこの子?ウチの友達。高1なのよ」

「高1かぁ!わかーい」

「ウチらと2歳しかかわんないじゃーん」

「2歳は大きいよ。うん」

「マヂおばさんみたい、アダコ」

「やめてよーお!あ!忘れてたぁっ。今からも彼氏とデートなの♪マミは?彼氏できたー?」

「いませーん。ぼっちですよーだ」

「あはは。もういっそタクトとより戻せばいーのにー」

「いや、今は新しい恋に夢中なんで!」

「そっか。残念ー。うん!あ!マミの友達ちゃん。LINE交換しよー。はい!

 ……ばいばい!亅




嵐は過ぎ去った。

気づけばLINEの新しい友達にスミレという名前が加わっている。


「あ、ええと。あの、マミちゃん……」

「ごめんね。あの子は私の高校入ってからの友達なんだ」

「そうじゃなくて……」

「びっくりした?私の学校でのキャラ」

「とってもびっくりしました……」


というわけで、混乱しすぎ私はそこでマミちゃんと別れた。

……なんであんなに人格が変わるんだろう。

……タク卜って誰だろう。

……不思議な人だなぁ。


ぴろん!


スマホが振動した。LINEだ。


『やっほー。アダコだよ!』

『はじめまして。私はユキコです!』

『よろしくねユキコ!』

『うん!よろしくね』


ぴろん!


聞こえないふりして歩き出した。

歩きスマホは危険だからね!




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