6話
ううむ。
実に気になる。
突然現れた、コウタの恋人。彼女の捨て台詞。
そして泣き崩れるコウタ。
恋に恋する乙女には気になってたまらないものだったのだ。
おせっかいだって言われても構わない!
と心の中で叫びコウタを追いかけた!
後ろへ後ろへと流れていく景色。
コウタには、どう映っているのだろうか。
なんて、カッコイイ事考えてたのは5分程前。
「ゼエゼエ…ッ、ごほっ!」
咳き込み地面に崩れ落ちる。
自分の馬鹿さに気づいてガッカリする。
……馬鹿だ!私!高校生の男子の足の速さをバカにしてた!でもまさかこんなに速いなんて!
といった具合だ。
整わない呼吸に苦しみながらもよろよろと立ち上がった。
「大丈夫ですか?」
後ろから声がかかる。
「えっと、……ゴホッ はい。大丈夫です」
「あ、さっきの……」
声に聞き覚えがある。
後ろを振り返った。
「マミさん!」
「ええと……」
少しおどけた顔をしながらいう。
「ユキコです」
「そうでした!すみません」
「いえいえ。大丈夫だよー」
「あれ?コウタは?」
やはり、気になるのはそこか!
心でツッコミ少しガッツポーズ。
問い詰めるチャンスではないだろうか!
「もう帰ったよ。それより少しお話しない?近くに珈琲店があるんだよね。どう?」
「ああ。では少しだけ」
「そうこなくっちゃ!コーヒーは飲める?」
「はい。コーヒーは大好きです。ブラックでも大丈夫です」
「良かった。なら今日はおごってあげるよー」
「いいんですか?」
「うん!」
「ありがとう…ユキコちゃん…」
マミさんは少し照れくさそうな顔をした。
「どういたしまして。マミちゃん♪」
顔を、見合わせてニコリと笑った。