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君の歌声と。  作者: 結季奏
2/20

2話

その日は遅刻でこっぴどく叱られた。

放課後になり、とぼとぼと廊下を歩く。


「ユキコ?」


うしろから声がかかる。

低く落ち着いた声が私を呼び止める。


「はい?」


くるりと後ろを振り返る。


「あ、やっぱりユキコだ。

 南川雪子!」


同じ高校の制服。

しかし、私と違うのはバッチの色。

私達の銀色と違い、金。

特別クラスだ。天才がなぜ私を?


「ユキコでしょ?覚えてないの?俺だよ俺!」

「オレオレ詐欺……?」


全く見覚えのない男の子に不信感を抱く。

こいつは……誰だ!!?


「覚えてないんだ。公太だよ!合唱団の」


蘇る記憶。

コウタ。北川公太。

南川と、北川の川コンビ。

思い出した。


「わかった!」


「あー懐かしいなあ。なんでやめたの?俺達いい仲間だったじゃんか。ユキヤ寂しがってたんだよ」


「……ごめんね。私、才能なかったからなあ。怒られるのが嫌でやめちゃった。」


「また会えて嬉しいよ。俺も受験のためにやめたんだ」


「あ、そうなんだ。亅

「そういえばユキヤがどこにいるのか知らない?俺ユキヤと連絡とれなくてさ。合唱団見に行ったら、そいつもやめたって言う訳。けっこうでかい合唱団だったのにな、いまじゃ弱小合唱団さ。ユキヤ上手かったのにな」

「電話……できないの?」

「ユキヤにか?うん。出来なかった」

「出来ない?」

「出来なかったんだ。今までの番号じゃ繋がらなかった。どこに行ったんだ……?高校も知らないから中学校に行ったけど個人情報がどーとかで住所も高校も教えてくんなかった」

「ユキヤの中学の同級生は?」

「ばーか。そのぐらいあたったよ。答えはみんな同じ。知らないって」


久しぶりにあったのに、ずっと一緒にいたみたいに話せる。

不思議な気分だ。


「あ、俺塾あるからまた明日な」


「うんバイバイ」


なにか、忘れているような……思い出せない…


懐かしいコウタの背中を見送って

気の向くままに廊下を散歩する。

なんとなく、コウタの教室を見てみたくなり特別ナントカクラスにいってみた。


広い教室に後ろに貼られたテストの結果。

あ、私の結果も貼りだされてる。


239位 南川雪子


250人ちゅう239位…。

泣けてくる。


北川公太。

見つけた。

「え……」

思わず声が出た。


1位 北川公太


私がどんなに頑張ってもこんな成績は出せないだろう。


あのコウタが1位とは!!!

びっくりだった。


「へーえ」


トコトコと、歩く。なにか忘れているという気持ちが強くなる。

ふと聞こえてくる歌声に足をとめた。


聞いたことのある歌だと思ったら校歌だ。

へえ。なかなか綺麗な声だ。

さすが合唱部。



ふと、思い出した。忘れていたのはこれだ!


コウタは電話できないと言った。

じゃあ

昨日のあの電話は?


そう、私に電話をくれたのはユキヤだったのだ。









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