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 一人で解決出来るものでなし、相談したい出来事ができたのであたしの家庭教師であるミズ・メイヒューに会いに行こう、と思い至ったは良いが。時刻は既に月も星も輝く静まり返った夜半である。

 明日もミズ・メイヒューの授業を受けるのだし、その時に相談出来れば良いのだが、基本的にあたしの側には誰かしら付き従っており、先生と二人だけで相談というのは難しい。


「むぅ……」


 風呂上がりの濡れた髪の毛を丹念に拭われつつ、あたしは部屋付きメイド達の手により着々と寝支度が調えられてゆく様子を見守った。


 カレンはまだ幼くあどけなく可愛らしいが、意外と貴族らしい感覚が身に付いているようだ。厳しいらしいと噂のおばーさまから指導されているし、彼女があたしに付いているのは、間違いなくおばーさまがあたしの情報を収集する為だろう。

 カレンの前で下手な言動をしていたら、おばーさまに筒抜けになって令嬢不適格として屋敷を追い出される可能性があるので、特に彼女にはクウェン氏の事は他言無用を念押ししておかないと。その為には、カレンが好む『家にバレたら引き裂かれてしまう、誰にも秘密の恋人』なる甘ったるい関係だと思わせていた方が、喜んで黙秘しておいてもらえそうだ。


 ドリスに関しては、まだよく分からん。このマクレガー伯爵邸でもベテランらしく、中心になってラーラやカレンに仕事を割り振っているリーダー格だが、一日中あたしの身の回りの世話をしているでもなく、気が付いたら別の場所で何か仕事をしているようだ。

 あたしに付けられた意図は全く読めないが、おとーさまかおにーさまに、あたしの生活態度や学習習熟度の報告義務があってもおかしくはない。


 で、今あたしの髪を乾かしているラーラだが。彼女はもう、間違いなく『フツーのメイドさん』だ。平民であり、賃金と良き結婚相手の紹介を目当てに雇われて、生活の為、せっせと仕事をしているごく当たり前の労働階級の娘さん。

 うん、多分一番忌避感が無いのはラーラだろうな。あたしはドリスとカレンが動き回っている隙に、ラーラの耳元にボソボソと囁いた。ラーラは「えええ?」と抗議めいた声を上げたが、軟膏クリームを片付けていたカレンが同僚の奇声に不思議そうな表情で振り向くので、「何でもないわ」とにっこり笑顔を振りまいて封殺する。


「さあお嬢様、お支度が調いましたよ」

「ありがとうドリス」


 あたしはドリスが支度してくれた寝台に横たわり、上掛けを被せられる。


「お休みなさい、エイプリルお嬢様」

「お休みドリス」


 室内の灯りが消されて寝かしつけられ、ドリスの指が軽くあたしの髪を梳く。しずしずと退室してゆく三人の気配。

 いつもならばこの辺りでコッソリ起き出して、ドリスの目を盗んでランプを灯して机に向かい参考書を読みふけるのだが、今夜は別の予定がある。

 寝台の上へ横たわって大人しく待っていると、やがて閉じられていた寝室の扉がキィ……と小さく音を響かせ、仄かな明かりと共に開かれた。


「……エイプリルお嬢様?」


 小声で囁かれた声に応えて、あたしはそっと身を起こす。

 燭台を手にしたラーラが小さく嘆息を漏らした。あたしが待ちきれずに寝入っている事を期待していたと見た。


「夜に付き合わせてしまってごめんなさいね、ラーラ。ドリスには内緒にしておきたくて」

「もうホント、勘弁して下さいよ……ドリスさんに見つかったら、減給されちゃうかも」


 屋敷内とはいえ、お嬢様を夜中にうろつかせては、ラーラが咎められる可能性もある。あるのだが、あたしはミズ・メイヒューの自室を知らないので誰かに案内してもらわなくてはならない。

 それに万が一誰かに見つかった場合、屋敷内での事とはいえ、貴婦人の端くれである『レディ・エイプリル』が、あまり一人で動き回っているのも良くない。メイドにワガママを言って強引に連れ回すというのは、レディにはよくある事だ。うん。


「ミズ・メイヒューのお部屋に行きたいの。早く行かなくては、もう先生はお休みになっているかもしれないわ」

「はい。お嬢様、せめてショールを羽織って下さい。夜は冷えますよ」

「ありがとう」


 寝間着のままスリッパに足を突っ込んだら、ラーラがあたしの肩に大判で分厚いチェック柄のショールを巻き付けてきた。蝋燭の頼りない明かりでは判然としないけど、この黒系と緑系で縦横交差しているチェック柄が多分、マクレガー伯爵家が代々伝えてきた『家の柄』なんだよね。


 ドリスに見付からないよう、こっそり部屋を抜け出したあたしは、ラーラの案内でミズ・メイヒューの部屋へ向かう。肌寒く暗い廊下を、巻いているショールを胸元でかき合わせつつ進む。肩から腿まですっぽり包める大きなショールを羽織っているので、とても温かい。

 どうやらミズ・メイヒューはマクレガー伯爵邸で最上級の客人として遇されているらしく、客室が連なる部屋でも最も格調が高く広い続き部屋で寝起きしているらしい。ラーラ曰わくの通称貴賓室であり、行き届いた設備ともてなしの説明にやや唖然とした。

 そんなに良い部屋をあてがわれるだなんて、マクレガー伯爵家の威信云々以前に、あたしは先生がジェントル階級の出身かと思っていたけれど、もしかして実はかなり良い家の生まれだったりするのだろうか?


「こちらです」


 先生の部屋の前でラーラが扉を示して半歩下がり、コンコンとノックをした。


「……どちらさま?」

「ミズ・メイヒュー、わたくしです。夜分に大変申し訳ありませんが、実は先生にご相談したい事が……」


 どうやらミズ・メイヒューはまだ就寝していなかったようで、約束の無い夜間の来訪に扉の向こうから怪訝そうな誰何が返ってくる。

 あたしが声を掛けると、扉の向こうから「えっ!? 少々お待ち下さいませね!?」と、珍しく慌てた様子の返事と共に小さな金属音がして、そこから更に一拍置いて、何かにぶつかったような物音や何かを落としたような音がする。


「……先生、大丈夫かしら?」

「さあ……私にはなんとも」


 多分身支度をしているのだと思うが、あたしとラーラが寒々しい薄暗い廊下で手持ち無沙汰に佇んでいると、廊下の向こうの曲がり角の先に、ラーラの燭台とは異なる光源がチラチラと揺れながら近付いてきているのを視界の端に捉えた。

 あたしは咄嗟にラーラの燭台の火を吹き消すと、彼女の手首を掴んでミズ・メイヒューの自室の扉のノブを回した。

 ガチャリと回ったノブごと迷わず扉に体重を預けて押し開け、ラーラを引っ張り込みつつ室内に滑り込む。


「お嬢様!?」

「れ、レディ・エイプリル! 淑女たる者、部屋の主の許可も無く他人の居室に足を踏み入れるべきではありませんよ!」


 前後からお叱りの声が飛んできたが、誰かに見つかって問いただされたら、確実に『ミズ・メイヒューとお話しされるのでしたら、明日になさって下さい』と良識的に諭される。

 自分でも分かっているけどさ、それでもマクレガー伯爵家の方針にそぐわない内容の相談事なら、なるべくおとーさまやおにーさま、ましてやおばーさまの耳には入れたくないんだから仕方がない。


「ごめんなさい、ミズ・メイヒュー。見つかってしまいそうだったから……」


 勝手に入って申し訳ない、という表情を浮かべつつ顔を上げてミズ・メイヒューに謝罪をしようとしたあたしは、寝間着を纏った女性の姿に口をポカーンと開いて言葉が途切れた。多分、ラーラがさっきから何も言わないのも、あたしより先にミズ・メイヒューの姿を目撃したからだ。

 攻撃を防ぐかのように両手を胸の前で翳した体勢のミズ・メイヒュー、らしき女性の栗色の引っ詰め髪のカツラが斜めに傾いた形で頭頂部に引っ掛かっている。背中までありそうな、長い艶やかなストレートの髪は金色だ。トレードマークのデカくて分厚い眼鏡は彼女の足下の床に落ちていて、レンズの片方にひびが入っていた。普段の野暮ったいドレスの下に隠されていた肢体は、どうやら随分とスタイルが良いようで、豊かな胸元やくびれた腰を包む寝間着は一目で上等な生地を使っていると分かる、白地に花柄のふんわりしたワンピース型で、胸元と袖に揃いのリボンが付いていて、裾には手の込んだレースがぐるりと縫い付けられている。あれ、なんかあたしに用意されてた寝間着よりお高そう?


 先生の髪がもげた! という驚愕よりも、初めて見るミズ・メイヒューの素顔に、あたしは視線が釘付けになっていた。

 長い金色の睫毛に彩られた青紫の瞳はパッチリとしていて、滑らかな肌には皺や傷の一つもない。美しく整えられたその顔立ちは、今は困惑に染まったその表情でさえ、まるで神から特別な寵愛を授けられたかのように、優美でありながら神々しい。

 素顔から受ける年齢の予想としては、どうやら十代後半ほどのようだ。この顔を覆っていた眼鏡、とんでもないな!


「せ、先生……?」

「はい」


 室内にはしばし沈黙が流れていたが、あたしの呼び掛けにいつものミズ・メイヒューの声で応えが返ってきて、取りあえずあたしは掴んだままだったラーラの手首を離し、床に落ちていた眼鏡を拾い上げた。


「えっと、ミズ・メイヒューはそんなにお美しいのに、どうしてその美貌を隠すような真似を?」


 最早役目を果たしていないカツラを溜め息混じりに傍らへ置き、椅子を勧めてくれるミズ・メイヒューの言葉に素直に従って着席し、あたしは一応、拾った眼鏡を差し出す。持ち上げて観察して気が付いたがこの眼鏡、レンズもレンズの周りを囲む縁も大きく分厚くて顔を隠すし光を反射し易いが、度数自体は入っていないほんのり青みがかったただのガラスだ。

 あたしの疑問に同調するかのように、ラーラもまた無言のままコクコクと頷いていた。

 あたしの対面の椅子に腰掛けたミズ・メイヒューは、眼鏡を受け取ってレンズのひびを確認し、嘆息を漏らす。


「……一般的に、良家の家庭教師とは、美しくない顔立ちの方が良い、とされている事はご存知ですか?」

「まあ、そうなの?」


 ミズ・メイヒューの許可を得て、部屋に用意されていたレモネードをついでいたラーラに振り返って問うと、ブレないメイドさんは声に出さぬまま『さあ……それは私にはなんとも』という表情を浮かべて答えとし、あたしとミズ・メイヒューの前にレモネードの入ったグラスを置き、あたしの傍らに控えた。あたしは未だに、たまにすっとぼけるこのメイドさんの知識や見識の範囲が全く掴めない。


「女性家庭教師は淑女であっても、淑女と見做されない事も多いようです。待遇は様々で、雇われたお家によってはとても酷い扱いを受ける事があります。多くは下働きといった雑用らしいですが……」


 ミズ・メイヒューは寝間着の上に厚手のショールを羽織ると、レモネードのグラスを両手で持ち、こくんと一口。


「その、家庭教師が若く美しいと心無い雇い主や教え子の兄に、愛人のように扱われ、その家の奥様の怒りを買ってお屋敷を追い出される、という事も実際にあるそうで」


 マジ!? という視線を傍らに向けると、ラーラは、


「女性家庭教師と雇い主の恋愛物語は、ありふれたテーマですね」


 と、我が意を得たりとばかりに頷いている。

 ……えっと? つまり、ミズ・メイヒューはおとーさまやおにーさまから弄ばれないように、自衛策としてその美貌を隠して雇われたって事?

 いやいやでもおにーさまにはそんな、ミズ・メイヒューをからかったり、ちょっかいかけたがる素振りなんて無かったよね? 何か、ミズ・メイヒューの前ではやや緊張気味なクセに、午後のお茶は毎回欠かさず同席していたけど。ミズ・メイヒューの前では、ここぞとばかりにあたしを持ち上げて『良い兄貴』を演出してたけど!

 いやいやいやいや、まさかそんな、おにーさまに限って……


「……ま、まさかその、とても可愛らしいお寝間着は、アーウェルお兄様から贈られたお品だったりしますの……?」

「ええ? いえ、これは違います! レディ・エイプリルのお兄様が、こんなに可愛らしくて素敵な寝間着を、この私に? そんな事は天地が逆さにひっくり返ってもあり得ません!」


 愕然と確認を取ると、ミズ・メイヒューはキッパリと否定し、首を左右に振った。

 ……そこまで徹底的に『無いわー』反応が返ってくるだなんて、あたしの知らん内にミズ・メイヒューとおにーさまの間にいったい何が。


「ですが、先ほど愛人についてお話しして下さいましたし、わたくしへ遠回しにお兄様を遠ざけて欲しいとのご希望では……」

「そのような事はありません。

アーウェル卿は、若くとも真摯で潔癖なお方です」

「それでは……ま、まさか!?

このように格調高い客室を提供したりなどして点数を稼ぎ、お父様は密かにミズ・メイヒューの籠絡を狙っておいでなのでは……!?」


 ラーラが『貴賓室』などと称しただけあって、ちょっと室内を見回しただけでもかなりお高そうな調度品が取り揃えられている。普段は別室に控えているが、ベルを鳴らせばすぐにやって来る部屋付きメイドも居り(なので、来訪を秘密にしたいのならば、なるべく静かにしてくれるよう頼まれた)、部屋には常に摘めるよう果物や日持ちする菓子に飲み物が準備され、更に更にその上この客室は一間ではなく、続きの間が三つに広いパウダールームとバスルームがあるとラーラが言っていた。

 気のせいか、娘枠である筈のあたしよりも待遇が良い。いくらなんでも、単なる家庭教師の為にあてがう部屋じゃない。が、当主が後妻に狙っている想い人の女性の為ならなんらおかしくはない。


「それも違います! この客室に入る事になったのは、純然たる、フェリシアのご厚意です」

「なるほど……で、では、そのお寝間着は先生が持参された私物なのですね」

「あ、いえ……これはその、フェリシア、大奥様から」


 誰だフェリシアって。あたしは一瞬該当者に思い至らなかったが、横目でチラッと窺ったラーラが驚愕の表情を浮かべていたので、どうやらマクレガー伯爵邸の大奥様の名前で間違いないようだ。おばーさまの名前、そういや聞いて無かったよ。それにしてもさっき、聞き間違いじゃなければミズ・メイヒューはおばーさまの名前を呼び捨てにしてなかった?


「まあ、お祖母様がその可愛らしいお寝間着を?」

「ええ、せめて居室では寛げるようにと、何着も洋服や部屋着、寝間着を用意して下さいましたし、たびたび晩餐にも呼んで頂けて温かいお言葉とおもてなしでとても気遣って下さって」

「あら、お屋敷の中では神経を張り詰めていなくてはならないの?」

「……常に、カツラと眼鏡を着用しておりますので」


 ミズ・メイヒューが屋敷で生活していく上で、人知れず苦労しているのならば大問題だ。あたしが改善出来るのならなんとかしなくては、と思ったが、この部屋以外では常に変装しているのが大変らしい。

 あたしの前でまで隠す意味はほぼ無いが、屋敷に勤めているメイドさんや従僕さん達に目撃され噂が広まってしまうのは避けたいだろう。後でラーラに口止めしておかないと。

 そもそもおとーさまとおにーさまが紳士的に自重すれば、問題にならないと思う。ただ、屋敷外の噂話にまではなんともしがたいので、勝手な妄想による風評被害を防ぐのは無理かもしれない。

 むむ。それにしてもミズ・メイヒューが語るおばーさま像は、あたしがイメージしていた『老齢の厳格な貴婦人』とはかけ離れている! 実は心優しい温かな方だったのか……!


「ところでレディ・エイプリル。こんな時間に私を尋ねてきて、質問したい内容はこのようなものだったのですか?」


 着実に睡眠時間を削られているミズ・メイヒューは、ずっと言いたかったらしき言葉を発した。予想外の襲撃と隠し通しておきたかった変装バレのせいか、やや動揺気味だったが、すっかりいつもの調子に戻っている。

 いかん、ミズ・メイヒューの素顔にびっくらこいて、すっかり本題を忘れ果てていた。


「はい。このような夜分に、事前の連絡もせずお邪魔しまして申し訳ありませんが、どうしてもミズ・メイヒューにご相談したい事がございまして」

「火急の用件でございますか?」


 キリッと眉が動き、これまでは眼鏡で覆い隠されていたミズ・メイヒューの表情がハッキリと分かる。むむ。美人の生真面目な表情、実に絵になる……瞼に焼き付けろ再現可能になれあたし。


「家の者には聞かれたくない話なのです」

「……」


 ミズ・メイヒューの目線が、あたしの傍らのラーラに向けられる。


「この相談事は、彼女がわたくしの思想を諌めて諭せる範疇を逸脱しておりますので、叱責を受けるか減給されるか解雇されるか、口を噤んでいるしか道がございません」

「お嬢様、流石に酷くないですか!?」


 あたしの説明にラーラがギョッとして口を挟んでくるが、あたし付きになってしまった時点で、ある意味一蓮托生だ。お互いにクビにならないよう頑張ろう。


「あら。でもラーラが吹聴して回ったら、わたくしはラーラを自分付きのメイドから外すしかなくなるわ。そうしたら、降格で減給でしょう?」

「黒い……笑いながら真っ黒ですお嬢様!」


 シスター仕込みの万難を排すにっこりスマイルに向かって失敬な。


「わたくしに行動可能な方策を模索したいのです。当家やラーラに被害を及ぼす訳には参りませんので、安全性の高い方法を」

「何をお望みなのです?」

「和解への突破口ですわ」


 友達希望者さん曰く、オールドカースル侯爵としてはレディ・エイプリルと第五王子ヴィンセント殿下の縁談が纏まらない方が良いらしい。ヴィンセント王子は次代が即位すればほぼ臣下に降る事が確定しており、途絶えていた公爵位を授かる事になる。そこへリリオン派の上位貴族であるマクレガー伯爵家の令嬢が嫁げば、リリオン派の新たな一角を担う家系が誕生するという訳だ。

 現状、ブリズセリュトの貴族間は中庸寄りが過半数を占めており、これ以上リリオン派が過激寄りに熱して結束していくのはバランス上よろしくない、との見解だ。


 おとーさまやおにーさまの真意は不明だが、仕事は仕事として出来る限り誠実に応じたい。けれどもあたしはお貴族様の争いの火種になるのはまっぴらごめんだ。だからといって、初対面のクウェンのあんちゃんの説を全て鵜呑みになんて出来ない。

 突っ込んで情報を得るなら、先生に教えてもらうのが一番だ。またクウェンのあんちゃんと会ったり交流するか否かは、その上で考えてみる。

 うん。決して、扇子の返却を盾にした劇場やショッピングの誘いに興味を引かれた訳じゃない。うん。



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