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雨の夜

主人公いるの新大陸です。

2045年11月11日 19:00


 雨が降っている時は誰しも早く帰りたいものである、ましてや今は11月、降りしきる雨に追い立てられるかのように、誰も彼もが足早に家路を過ぎ去っていく。

 しかし、そうではないものもいる。

それは大通りからはずれた路地に蹲る毛布の塊だとか、もしくはそれを見つめる青年だとかである。

 青年の名を真道真と言う。

 お人よしである。

彼は五分ばかりそこで立ち尽くしていた。

悩んでいたのである、いまここで彼もしくは彼女を助けるべきであるかをであるかを。

飯は?衣服は?寝床は?危なくはないだろうか?

 そも、この街ではありふれているものであるその光景。

一人、二人大差ないのではと、意味などないのではと。

そうしっかりと自己の思考の甘さと無意味さを確認し、やはりと、再確認する。

 まあ、それは理屈だよなと。

自らの行動がどれだけ馬鹿げているか、どれだけ無意味か。

 理解したうえでやる。

それが善意であると青年は考えていて、そしてそのとうりに生きていたからこそ、彼はお人よしとよばれているのである。

 ずいぶんと、凍えているだろうから、今日は鍋にしようと。

そんなことを考えながら声をかけた。

「寒くありませんか?」

毛布の固まりがゆっくりとうごめき、胡乱げなをこちらに向けてくる。

 やはり、その沈黙は真にとって少し気まずいが、これでやめられるのであれば、はなっからおせっかいを焼こうとしないのである。

真は逃げ出したい衝動にかられるが、ぐっとこらえて言葉を続ける。

「家に空きがあります、今晩だけでもどうですか?」

一瞬驚きに目が見開かれるが、そのままじっと不振そうに見つめられる。

「ここは寒いですし」

返事はない。

「鍋の材料買いすぎてしまって……」

あっなんでもないです、と言いその場から立ち去ることをを何とか真は抑える。

どうしようかさすがに考えながらまごついていると、ようやく毛布から声がかかる。

「それはどうも……しかし…どうしてです?」

 それは彼が思っていたよりもずいぶんと高い声であった、やはりなんとなしに男性だと思っていたがどうやら女性であったようだ。

警戒するのも無理はなかった。

とんでもなく無感情な声色である。

「なぜって……ここは寒くありませんか?」

「それはそうですが……少し無用心が過ぎるのでは。」

彼女の声にはすこしばかり困惑がまじっていた。

「まあ、気にしなくても大丈夫ですよ。」

「そうですか……ならお邪魔させてもらっても?」

「もちろん、どうぞ。」

 そういうと彼女立ち上がろうとしたので誠は軽く手を貸す。

 自分と同じくらいの背丈であると真は思った。

幸いにして真の家はすぐ近くである。

「あのアパートの208が私の部屋なので。」

そういって、アパートに歩き始める。

 まだ、ろくに挨拶も済んでなかったひとまずは彼女を暖めるのが先決である。

彼女の手はずいぶんと冷たかった。

 ところどころさび始めた階段を上り、ドアを開けるとすぐにストーブを点けると、彼女に当たらせる。

そのあいだにガスを点け、風呂を溜めるとどうじに鍋に適当に切った具材をこれまた適当に入れて煮る。

 そのあとに、すこし人心地付いたのか少し呆けている彼女を風呂場に押し込む。

適当な部屋着を着替えとしておいて置く。

 風呂から出るまで鍋を見ておく、牡蠣鍋である。

  風呂から上がった彼女をリビングのコタツに座らせ有無言わさずおわんを渡し、鍋を注ぐ。

 どうすればいいものか、お椀を持ったまままごつく彼女に真は声をかける。

「とりあえず、今日は名前も何にも聞かないから食べませんか?」

この雨の中あんな場所にいるのだ、よほどの事情があるのだと、そしてそんな時は自分の名前すら話したくはないものだと真は身を以て知っていた。

「それとも……牡蠣は苦手かい?」

 張り詰めていた糸が切れたのか、彼女はひどく落ち込んだ様子で首を振ると、もそもそと食べ始める。

長い黒髪に整った顔立ち、紛れもない美人であった。

だが、えらく細い体つきであることが真の目に付いた。

 その後二人で鍋を食べ終わった後真は彼女を、寝室に案内をする。

 ここを使っていいことと、しばらくの間この家を使っていいことを真は彼女に伝え、今日は寝ることにした。

リビングのソファーで寝ることを話すと彼女は遠慮をしようとしたが断る。

 他人をソファーに寝かしたときに自分のベットが心地いい訳がなかった。

じゃあ、また明日と声をかけて真はソファーの上で毛布に包まる。


一日の終わりである。

バトルは次話

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