年配者のアドバイス
111話になります。
本日1回目の投稿です。
「本当に申し訳ないヴァーチュ!」
「わっはっは!まだ2日目なのに遅刻して来るなんてなかなか出来る事じゃねぇぞ!」
クジラは迷宮管理層へと到着し、すぐさまヴァーチュに謝罪する。
ヴァーチュは、昨日クジラが具現化した椅子に座りながら、クジラへ笑いかけた。
「本当に悪かったよ。ちょっといざこざがあってね...」
ヴァーチュは軽い態度で許していたが、クジラは簡単な理由を交えて謝る。
「なんだ?修羅場か?」
ヴァーチュがいざこざという単語に対して、的を射た質問をする。
「うっ、大体そんな感じ」
「で、解決したのか?」
「うん、元々誤解から始まった事だったからしっかりと話をしたら許してくれたよ」
「そうか、なら良かった。っていうか、そもそもお前ら同棲してたのか!?」
ヴァーチュは同棲していた事を知らなかったので結構驚いていたようだ。
「うん。普通の一軒家に3人で暮らしてるよ?」
「そうだったのか...。てっきりお前らは唯の商人と仲の良いバイトとかだと思ってたぞ」
「そんな風に見えるかな?まぁ、今となっては2人は、そこにいて当たり前の家族みたいな物だよ?多分」
クジラは2人との関係性を率直に答える。
恐らく、ヤヨイとリーシャに聞いても殆ど同じような答えが返ってくるであろう。
「ふーん、成る程な。しかし、この国は重婚は出来なかったはずだぞ?本命はどっちだ?」
「ふぁっ!?ゲホッ!ゲホッ!」
ヴァーチュが、突然婚約について語り出す。
クジラは、それが不意打ちであったようで反論しようとするが、唾が喉奥に入ってしまったようでむせる。
「どうした?まさか、2人共そういう関係では無いのか?」
「うん、今の所はそういうのは無いかな」
「今のうち...か。どっちが気になっているんだ?大丈夫だ。言わねぇから」
ヴァーチュは、とりあえず暇だからネタを探るという感じに、クジラを質問責めにする。
「絶対に言わないでよ?僕はリーシャが気になっている。ヤヨイには気付かれてて、応援していてくれてる」
「そうなのか。そういや昨日、この置いてった簡易ベッドに仲睦まじそうに2人で座ってたよな。ぶっちゃけできてんのかな?とか思ってたぞ」
ヴァーチュはチラリと隅に置かれた簡易ベッドに視線を移しながら言う。
「そんな感じだった?んー、僕は特に何も意識してなかったんだけどなぁ(ヴァーチュが帰ってくる前は、かなり意識してたけど...)」
クジラは、ヤヨイからの命令でベッドに添い寝させられたことを思い出す。
「まぁそんな甘酸っぱい事が出来んのも若いうちだけだ。今はそのままでもいいんじゃねぇか?」
「うん、そうだね。僕も決心付くまではこのままがいいかなとか思ってる」
クジラは、ヴァーチュの意見に大いに賛同し、うんうんと頷き返事をする。
「けっ、今となっちゃ1人のが楽しいと感じてきたが、昔の俺だったら発狂しながら羨ましがってたぜ」
「あはは、そうなんだ」
「まぁ、青春は一瞬だ。
俺もそうだったからな。
しかも、特に何も恋沙汰の無いつまらない青春だった。
だからクジラ。お前は俺の分までしっかりと青春してくれると嬉しいぜ」
ヴァーチュはクジラの肩にポンと手をおき、そう告げる。
「うん、ありがとう。精一杯青春を楽しく出来るようにするよ(本当いい人だなぁーヴァーチュは...)」
クジラはまたヴァーチュへの信頼を厚くしつつ、言われた事が十全に出来るよう頑張ろうと思った。
「さて、溜まってた魔物増加処理は俺が全部やっといたから、昼時までに出てきた増減の処理はクジラに全て任せたぞ!」
ヴァーチュは椅子に深く座り直し、クジラへ言い放った。
「うわぁ...。丸投げか。まぁ遅れてきたから仕方ないよね。任されたよ」
クジラは、自分の行いを思い、昼までの仕事を全て引受ける事にした。
ヴァーチュと作者の青春事情についてはシンクロしてませんよ!?
...し、してませんよ...?(白目)




