涙の行方
109話になります!
本日1回目の投稿です。
それではどうぞ!!
ガチャ
僕はリーシャの部屋のドアを開ける。
いくら起こす相手が、いつもすぐ近くにいる女の子でも、やはり女の子の部屋に入るのは慣れていない。
僕は、心臓をバクバクと鳴らしながら室内へ突入する。
「すぅ、すぅ」
リーシャは、前日と同じく規則正しい寝息を立てつつ寝ている。
あぁ、やっぱ緊張する...。
僕はまた、前日のように緊張した手つきでリーシャを揺すり始める。
「リーシャ、朝だよ!」
「...んぅ?ふぁ、朝か」
うん、昨日よりはちゃんとした声で起こす事ができた気がする。
「あ、また起こしに来てくれたんだ。おはようクジラ」
連日起こしにきた事により、リーシャは驚く事なく起きた。
そういえばスマートフォンのアラームの時もこんな感じにすぐ順応してたっけ...。
「ふぁあ、それじゃ、着替えてから行くから先に下行ってて」
「うん、わかったよ」
僕は言われたとおりリビングに戻ることにした。
「お、帰ってきたのね。しっかりと起こしたかしら?」
ヤヨイがニヨニヨと笑みを浮かびながら尋ねてきた。
「うん、しっかりと起こしてきたよ。着替えてから下降りてくるって」
「そうなの?残念だわ。ちょっとした面白いハプニングを期待してたのに何にも無いなんて」
ヤヨイは、さも残念そうな顔で言った。
「面白いハプニングって、起こすだけでそんな事無いよ」
「あんたならリーシャも受け入れるだろうし、何かやってくれると思ったのにねぇ...」
「流石にそんな事はしないよ...」
僕は苦笑いしながら答える。
流石に僕は、そんなに飢えてないし、淫獣じゃない。
まさか、ヤヨイは僕の事を飢えた狼とでも思っているのか...!?
「ほんと草食系ねぇ...。
前も言ったけど、もうちょっと自分の欲を持っていいんじゃないかしら?」
「いやいや、これでも貪欲なクジラさんって異名を自称できるほど欲はあるよ?」
僕はこの流れだとまたリーシャ関連で茶化されると察したので、適当な事を言って、話を逸らし始める。
だって恥ずかしいんだもの!
「それじゃあ5年から10年くらい年取ったら、こうなりたいとかそういう物はあるのかしら?」
上手く話を逸らす事に成功したみたいだ。
それにしても近場の将来の夢か...。
あれ?特にないや...。
「うーんと...。そうだっ!安定した職と暮らしかな?」
あっ、なんだこのTHE☆無欲みたいな回答は。
そうか。そうだったのか。
その時、僕は悟った。
僕って、無欲なんだなぁ...。
あ、涙出てきた。
「ち、ちょっと!?アホみたいに無欲な回答したと思ったら突然泣き出してどうしたのよ!?ごめんね!言い過ぎたわ!わたしが悪かったわ!」
ヤヨイが僕の涙を見て驚いて、心配したように謝りかけてくる。
「だ、大丈夫だよ。グスッ。僕って無欲だなぁと思ったら自分が哀れに見えてきて...」
「ちょっ!?本当に悪かったわ!私の質問が酷すぎたのよ!だから泣き止んで!ねっ!?」
未だ涙をポロポロと流す僕にヤヨイはアワアワとして謝りつつ僕をあやす。
ヤヨイって泣かれると一気に弱くなるんだなぁ...。
「あぁぁぁもう!えいっ!」
ギュッ
僕の前にはヤヨイの母性の象徴と呼べる物が広がった。
一瞬理解できなかった。
どうやら、ヤヨイの胸に僕の顔を埋められたようだ。
...って、
ええええええええええ!?
なになになになに!?
何が起きたの今!?
「ほら!無欲なんて行って悪かったわね!?お詫びよ!これで泣き止みなさい!!泣き止まなきゃ本当に無欲なんだからね!?」
泣き止んだ泣き止んだ!!
光の速さで涙の粒が消えてったよ!!
てかやばい!いろいろとやばい!
理性が!理性が!理性がぁぁぁ!!
「もういいよ!泣き止んだから!」
僕は必死にヤヨイの包囲から脱出しようとするが、ヤヨイがそれを拒む。
「何、し て る の ?」
「「あっ...」」
2人が2人の世界に浸かっていたら、いつの間にかリーシャがリビングへと来ていた。
僕がこのお話を書き続けてあっという間に一ヶ月経過していましたね。
皆様が応援していてくれるおかげで、楽しく執筆できています。
ついでに、スマブラを紛失したおかげで執筆欲が湧きすぎて仕方がありません。(白目)
これからも毎日更新で頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!
それでは次回でお会いしましょう!




