神速!?
97話になります!
本日1回目の投稿になります!
それではどうぞ!!
はじめ!!
「まずは小手調べじゃ!」
「でかっ!?」
邪神のおっさんは、いつぞやの巨大トカゲの炎の玉の何十倍もでかい火の玉を一瞬にして作り上げた。
「さぁどるでる!?ふんぬっ!」
ゴオオオオオオオオオ
おっさんは変な掛け声と共に、メラメラと燃える灼熱の玉をクジラへ向けて投げた。
「うわっ...ってあれ?(なんだ?玉の速度は凄くゆっくりじゃないか)」
クジラは、ひょいと横によけて灼熱の玉をかわした。
「まさかよけられるとは!?お主人間の割りにやりおるのぉ!!なら今度はこれじゃ!!」
お次はと言った感じにおっさんは無数のつららを生み出し、宙に漂わせた。
「ほいっ!全弾発射じゃ!!」
「やば...くないな(やっぱりこれも簡単によけれるほど遅い)」
ヒョイッ、ヒョイッと言った感じにクジラはつららを全てよけていく。
「なんじゃと!?しかし一筋縄には行かんよ!ホーミングじゃ!!」
クジラが全てよけきったのに驚き、おっさんは更なる魔法を唱える。
しかしおっさんも相当動揺しているようだ。
「ん?つららが戻って来る?いや、ホーミングって言ってたから僕を追尾してくるのか!」
何故おっさんが動揺しているのか判断がつくか?
それは、クジラに全てよけられた焦りにより、次に使う魔法を口に出して言ってしまっている事から推測できる。
クジラは、相手の焦りに気づいているが、何故焦っているのかわかっていないようだ。
ヒョイッ、ヒョイッとクジラは追尾つららを避けていく。
現在1度も攻撃はヒットしていない。
「なんじゃ!?お主は本当に人間か!?なんでワシの魔法がたった1発もかすりもしないんじゃ!?」
「(おかしいな?何でわざわざこんな遅い物を放ってくるんだろ?しかもおじさんは焦ってるし...。)」
激昂しているおっさんを横目にクジラは回避行動を取りながら考え事をしていた。
「ぁあああああー!!もうワシは怒ったぞ!本気で言ってやろうじゃん!?」
おっさんは、若干口調が変わりつつ、放っているオーラを更に強めた。
「うわっ!うわわっ!?(なんか速度上がった!?とりあえず回避回避!)」
クジラはペースの上がった魔法攻撃に戸惑いつつも、1発も当たらず回避して行く。
「はぁ、はぁ、なんなんじゃ?お前は!遠い昔、伝説の勇者と呼ばれた男でさえ、この本気の魔法の半分は避けきれなかったぞ!?本当にお前は何者じゃ!?」
「...。(やっぱ勇者いたのか、それと、あっちが遅いんじゃなくて、多分神速のお陰で、僕がはやくなっていたんだろうな...)」
おっさんが魔法を放ち、クジラが避ける。
この単純動作がおよそ30分続いた。
おっさんの魔力も後少しで尽きるようだ。
クジラは疑問に思っていた事も解決し、いい加減こちらから仕掛ける事を決意した。
「僕はただわちょっとだけ不思議な魔法を使えて、ちょっとだけどっかの魔王に強制パワーレベリングさせられた人間だよ!!」
ポンッ!
クジラはそう言い放ち跳躍しながら一太刀のとても綺麗な刀身を持った刀を具現化し、おっさんへ仕掛ける。
「これで終わりだぁぁぁ!!!」
クジラは宙で剣を振りかざす。
おっさんも避ける体力がないようで痛み覚悟で攻撃を受ける体制を取っていた。
パキッ!
「は?」
「えっ?」
おっさんの肩口に当たったと思ったら、その刀は簡単に真っ二つになってしまった。
おっさんの皮膚にすら傷ができていなかった。
「ふふ、ふふふふふ...、クジラァァ!!お前只速いだけで力は皆無のようじゃなぁ!!!これで終わりじゃ!!」
「えええええええ!?何でここで砕けちゃうの!?」
ガシッ!
おっさんは叫びながらクジラの腕を掴んだ。
「これで逃げられんよ!?終わりじゃ!!!!」
チュドーン
なんとも間抜けな擬音が響き渡る。
闇色のバスケットボールほどの玉がクジラの頭へと直撃したようだ。
「あふん...」
クジラは、そんな一言を残して意識を落とした。




