手始め
96話になります!
本日2回目の投稿です。
「あ?なんじゃ?...ちっ、ヴァーチュか。今日は何のようじゃ?」
「いってぇ!なにすんだこのやろう!?...って邪神のおっさんじゃねぇか!今日はもう帰るのか?」
ヴァーチュは額をおさえながら喋る。
今の会話によると、ちょうど扉から出てきた老人口調のおじさんが、邪神のおっさんのようだ。
「まためんどくさい問題作ってきたんじゃないじゃろうな?...って、むっ?後ろの人間は何じゃ?変な魔力を感じるが...」
邪神のおっさんはヴァーチュに質問する。
「あぁ、こいつはクジラ。なかなか面白い物を持ってたから、魔王にならないか聞きに行ってきたんだ。そしたらOKもらった」
「始めまして、説明頂いたとおりクジラと言います。よろしくお願いします」
ヴァーチュはクジラについて簡単に説明し、それに続いてクジラが挨拶をした。
とうやらヴァーチュは、ただ何と無くクジラを魔王に誘ったわけではなく、クジラに備わった具現化魔法から出る変わった魔力を感じていて、興味を持ったからわざわざクジラ達の元へと会いに来ていたみたいだった。
本当は、元々会いに来た時から魔王へ誘う予定だったのだ。
「ほぉ、人間を魔王にすると言うか...。これは初の快挙じゃよ。ヴァーチュ、なかなか面白い事するのぅ」
「わっはっは!そうだろ?でもクジラは俺が認めるほどの力があるんだ。こいつなら俺も安心して推薦ができるぜ!」
ヴァーチュは、クジラの成長ぶりを見ていて相当信頼したようだ。
クジラも横で軽く照れて頬をかいていた。
それと、邪神のおっさんの口ぶりからすると、クジラの魔王就任はもう確定のようだ。
「ふむ、ヴァーチュにそこまで言わせる人間がいるとは...。
クジラと言ったな?お主は何者だ?ヴァーチュは相当上位な魔族に対しても褒めた事は無いんじゃぞ?」
邪神のおっさんは真剣な目つきでクジラを見つめながら答えを待つ。
「何者って言われましても...。僕はちょっと変な魔法持ったただの人間ですよ」
「ふむ、面白い答え方をする。どれ、ちょっとワシと手合わせしてみぬか?」
「え...」
邪神のおっさんの言葉を聞いた瞬間クジラは、
やべぇ死ぬ。
という一言が頭によぎり、ドッと冷や汗をかいた。
「なぁに、死にゃあせんよ。第1死んでも生き返らせる事は可能じゃ」
「ふぅ、そうですか...。(あれ?なんか最後にとんでもないこと言わなかった?この人...)」
「そいじゃ、早速始めるとしようかのぉ。ヴァーチュ、危ないと思ったら止めに入るんじゃぞ?」
「あぁ、わかってる!クジラ!このおっさんなら殺しても死なねぇから本気で殺しにかかって平気だぜ!」
「危なっかしい事言うなぁこの人達」
クジラは若干呆れつつ戦闘準備に取り掛かった。
「(あ、そういえばスキル振った時になんか能力が手に入ってたよな...。使えるものは全て使うか。急いで確認しよう)」
《情報能力メニュー》
《ステータス》
クジラ 男
レベル123
16歳
能力
・具現化魔法
・情報能力
・土魔法(瘴気)
・神速 オフ
「(あった、神速...あれ?オフって付いてるって事はオンオフで切り替え式の能力って事かな?とりあえずオンで)」
《神速 オン になりました!》
《情報能力メニュー》
《ステータス》
クジラ 男
レベル123
16歳
能力
・具現化魔法
・情報能力
・土魔法(瘴気)
・神速 オン
「(...?とくに変わりはないかな?)」
クジラは腕をぐるぐる回したりして何か体に異変はないか確かめる。
「クジラよ?準備はまだ終わらんのか?」
邪神のおっさんもいい加減待ちきれないようだ。
「あー、はい。もう大丈夫です。それではお願いします(やばくなったらモグラさんに頼もう)」
「ふむ?それじゃはじめるとするかの?ヴァーチュ、合図を頼むぞい」
「あぁ、わかってるぜおっさん。
クジラもいいな?
両者、構え...
はじめ!!」
ヴァーチュの掛け声により、クジラと邪神のおっさんの戦いが始まった。




