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不発ですか!?





「うわぁ...、ほんとに?」


クジラは唖然とし、口を開き間の抜けた顔をしている。


「はぁ、ここからが本番見たいね...」


ヤヨイは手を額に当て、ため息をつきながら返事をする。


「2人共どうしたの!?敵だよ!気を抜かないでよ!?」


リーシャは刀を構え、2人に声をかけている。


「あー、うん。ごめんよリーシャ。ちょっとばかし迷宮舐めてたみたいだよ...」


「申し訳ないわねリーシャ。うん。ほんと申し訳ないわ。大丈夫よ、頑張るっていったものね」


クジラとヤヨイは、何かに絶望したような顔をして、リーシャに謝る。



「「それにしたって...」」


クジラとヤヨイは、ハモりながら何か呟く。



「「敵出過ぎでしょ!?」」



2人はハモりながら、一言も違わずに言葉を発した。




現在、3人は第6階層の安全圏内から出て、歩く事30歩


3つの分かれ道があった。


3人は何処に行くかを相談し始めた。


その時である。


3方向から、石の魔物と、大トカゲを10分の1ほどに縮めたようなトカゲの魔物が10匹前後ずつ、合計30匹現れたのだ。




「ほら!2人共武器構えて!倒すよ!」


リーシャは先陣として、一足早めに魔物の群れへ突っ込んで行く。



「ヤヨイ!リーシャのアシストを!」



「わかったわ!あんたはどうするのよ!?」



「僕は味方を召喚する!」



「は!?...まぁいいわ!信じるわよ!」



具現化魔法による召喚精霊を知らないヤヨイは、クジラの発言が疑問となり、質問を迫撃しようとしたが、信頼の証拠か、聞かずにリーシャの元へと走って行った。



「よし、モグラさん!お願いします!」


クジラは、唯一会話をした事のある精霊、モグラを召喚しようと念じた。






シュワー ...






...。






「あれ?」



モグラが召喚される時の地響きがならず、召喚されるであろう場所へ白い煙がもくもくと出た。


それだけであった。



「なんでぇ!?モグラさん!?」


クジラは精霊のモグラが現れなかった事にひどく動揺したようだ。




ヒラッヒラッ



そんな軽くパニックを起こすクジラの真上に、一枚の何かが書かれた紙が降ってきた。



「これは...?」


クジラは、情報能力で解読をした。





親愛なる我が主クジラ君へ、



そういえば召喚できる場所についての説明をしていなかったね。


私達召喚精霊は、迷宮と神殿では特殊な瘴気が原因で召喚不可能なんだ。


それでも安心して欲しい。


召喚は出来なくても精霊の力を貸すことはできる。


次は私を呼ぶのではなく、私の力が欲しいと念じてみてくれ。


丸薬が具現化されるはずだよ。


その丸薬は、迷宮などの特殊な瘴気を逆に利用し、その瘴気を媒介に魔法を使えるようにしてくれる代物なんだ。


だから、それを飲めば君には、僕の力。


土魔法の力が迷宮、神殿限定で使用できるはずだよ。


今回は何も力になれないけど、頑張って欲しい。






そこにはこのように書いてあった。



「なんだって!?迷宮、神殿じゃ召喚出来ないの!?...って、神殿なんかあるんだね。とりあえずモグラさんの言う通り、力が欲しいと念じてみよう」



ポンッ!



クジラの掌に、正露丸ほどの茶色く光っている丸薬が具現化された。


「これを飲めばいいんだね!薬は水で流し飲む派だけど...、えぇいままよ!」


ゴクン




《クジラは土魔法(瘴気)を覚えた》




「あっ、情報能力にも表示された。これで迷宮で土魔法が使えるんだね!...あれ?どうやって使うんだ?」



クジラは、どうやって魔法を使うのかがわからなかったようだ。


「クジラァァ!!まだなの!?」


遠くから戦闘中のヤヨイがクジラへ叫んだ。


「あぁ!もういいや!!畜生!説明してよモグラさぁん!!」



クジラは、今回は魔法を諦め、レーザーガンを取り出して、自ら戦地へと向かった。







結局、石の魔物とトカゲの魔物は大した力もなく、トカゲは火なども吐いてこなかったおかげで、10分弱で戦闘は終了したようだ。


「クジラ!味方呼ぶとか言ってたのはどうしたのよ!?」


ヤヨイは多少キレ気味に尋ねる。


「いやぁ、呼ぼうとしたらこんなのが...」


クジラは、先ほどのモグラからの紙をヤヨイに見せる。


「何よこれ...。あっ、そういうことね。迷宮じゃ味方が呼べなかったから結局クジラが遅れて戦闘加わった訳ね」


ヤヨイは、紙の内容を読んで察してくれたようだ。


「ほんとごめんよ。召喚できないのわかったから、次からは初めから僕も戦うから」


クジラは申し訳なさそうに答えた。


「そうね、わかったわ。それと、代わりに魔法使える様だけどもそっちのほうはどうなのよ?」


「使い方わからなくて諦めたよ」


「そっ、そう...。なら仕方ないわね」


ヤヨイは、クジラを可哀想な人を見るような目で見つめた。




「えっ?クジラ魔法使えるの?」


リーシャが、魔法という単語に興味を持ったのか話に加わる。


「うん、迷宮限定で土魔法使えるようになったらしいけど、使い方がね...」


「それなら私が教えるよ?」


「えっ?」


「魔法ってのは、適性があれば誰でも使えるんだよ。それで、普通の人は、全属性の魔法を使えるか確かめるために詠唱するんだよ。だから土魔法の詠唱もわかるよ?」


「そうなんだ...。それじゃリーシャ。ご指導頼めるかな?」


「もちろん!任せてね!」




こうして、迷宮内でのクジラとリーシャの魔法教室が始まろうとしていた。


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