閑話2【浮気?】1話
閑話その2、1話です!
本日1回目の投稿です!!
それではどうぞ!!
『それにしても、今日は良い天気ね!こんな日にあなたとデートが出来て、私嬉しい!』
「あはは、ただの街への帰路であってデートではないけど、確かに良い天気だよね。こんな日に外でフラフラ出来て良かったよ」
クジラとカーリーは、楽しそうに話をしながら街へ戻る為に、歩いていた。カーリーは永続契約もしたし、絶対にクジラを惚れさせると宣言した為、精霊の世界へ帰らず、行動を共にする事を決めたらしい。クジラも話し相手がいた方が楽しいと思い、召喚のキャンセルはしなかった。
『ねぇねぇ?あなたは今、なんていう所に帰ろうとしてるの?そもそもここはどこ?』
カーリーはクジラと手を繋ぎ、照れ笑いながら今自分達が向かっている街について尋ねた。
「ここはタナベの村とフーの街っていう場所の間にある草原だね。で、僕達はフーの街に帰ってるところだよ」
『へぇぇ...、あっ!クジラのお家見てみたい!リーシャっていうあなたのお嫁さんにあって宣戦布告したいわ!』
「え、本気で...?」
カーリーの発言に、クジラは何とも微妙な面持ちになり、本当に宣戦布告するつもりなのか聞き返す。
『もっちろん!いつかあなたを、私だけしか愛せない男にしてあげるんだから、それくらいしなきゃいけないでしょ!?それに、私はあなたの事が興味津々で、優しくてヘマしても怒らなそうだから、ずっと側で仕えていたいの!』
「...僕が君になびく事はまずありえないんだけどなぁ。はぁ、リーシャも察してくれてればいいんだけどな。あ、でもカーリーの正体がキツネって明かせばこの子を側に置いといても許してもらえるかな...?」
クジラはリーシャに怒られたり、泣かれたりしない為の策を練る。その顔は何とも焦りに満ちていて、何かに恐れている感じだった。完全にリーシャの尻に敷かれているみたいである。
『ダメ!私の正体がキツネって事はもう忘れて!?あなただって私がキツネって思っちゃうと恋愛しにくいでしょ!?』
カーリーは、自分の事は人として見てと上目づかいで懇願した。自然な流れで上目づかいをする所にあざとさを感じる。また、彼女のクジラへ対する好意の度合いが伺えた。
「あー...、その何度も断られても折れない不屈の精神がある意味凄いよ。僕はリーシャ以外を異性として好きになる事は無いし、遊びでも浮気はしない。そもそも浮気が出来るほどの器量を僕は持ち得てないからね」
『豪語するわねぇ!そんな事言われたらますます惚れちゃうわよ私!まだ会って1時間くらいなのに、あなたの事が好きで好きでたまらないわ!』
「ダメだぁ...、なんで僕の周りの女の子は話が聞けない子ばっかりなんだろう...」
クジラはガックリと肩を落とし、カーリーの言い分を認めはしないが、彼女の事を否定するのを諦めた。
『ふふん♪あなたって強引にゴリ押せば略奪婚出来そうね!』
カーリーは横を歩くクジラとの距離を更に縮め、笑顔で告げる。
「恐ろしい事言う子だなぁ...」
それに対しクジラは、引き攣った笑みを浮かべる事しか出来ていなかった。
『でも安心して!私はあなたが困る事は絶対にしないから!だって、貴方に永続的に仕える精霊様だもの!』
「それがもう十分困ってるんだよなぁ...」
『細かい事を気にしてたら立派な大人になれないわよっ?...あっ!街が見えてきたわよクジラ!あれがフーの街なのね!?』
カーリーは遠くに見えてきた街を見て、キャイキャイとはしゃぎだす。本当に活発で無邪気な少女である。
「ふぅ、そんな満開の笑顔を見せられたら怒りすら癒しに変わっちゃうよ。凄く能力を付加した笑顔を持ってるなぁ...」
クジラは彼女の笑顔を眺め、ため息をひとつ付くと自分の甘さを感じながら笑った。実際にクジラが甘い所もあるが、それでも彼女は本当に素敵な笑顔を持っているらしい。
『大っきい街ーっ!私、あれほど大っきい街を見るのは初めてな気がするわ!...ってあら?あれは何かしら?』
カーリーは目をキラキラさせて街へ一直線に走ろうとしたが、ふと視界の端に映ったある物に目がいき、指をさした。それは、中がこんもりと膨れている釘で固定された青いビニールシートだった。
「あぁぁぁぁぁああ!!??」
クジラはそれを見て、懐かしさのあまり声を上げながら近寄り、ビニールシートを剥ぎ取った。
「うわぁ、なんか残念だ...」
そして、中を見て軽くショックを受ける。きっと、魔物か何かが上に乗って飛び跳ねたり、鈍器か何かをぶつけたりしたのだろう。中にあった、初めてフーの街に到着した時に乗っていた自転車は、フレームはベコベコになって、車輪もパンクしてチェーンも切れたりと、完全に廃車状態になっていた。
まぁ、3ヶ月程度も放置していた為、仕方がない事だろう。
『クジラ、いきなり叫んだりして、一体どうしたわけ?それと、その金属の物体はなんなのかしら?』
カーリーはクジラの横に並び立つと、頭にたくさんはてなマークを浮かばせて聞いた。
「これはね?自転車って言って、僕とリーシャが軽く旅をしていた時の思い出の乗り物なんだよね。ここに隠してたら、完全に壊されちゃってたみたいだけど...」
クジラは、少しだけ残念そうな顔をしながら自転車について話す。
『へぇー、私も乗ってみたい!クジラ!直してあげるから私もこれに乗せてほしいわ!』
カーリーはとても興味津々で自転車に乗りたいと告げた。それと同時に、彼女は発光させた手を1台の自転車にかざすと、壊れる前の新しい状態の自転車に変化する。
「おぉ〜。一瞬で新品同然になってすごいね!それなんて言う魔法なの?」
『これは物質魔法よ!物質が作られてからの経過時間を操作できる便利な魔法でしょ?ふふん、私はこう見えて役に立つのよねー!』
「物質か。そりゃあすごいや。1台はこのまま放置でいいかな?さて、これに乗って家まで帰ろっか!」
そう言って、クジラは自転車を跨ぐ。
『やったぁ!お願いねクジラ!』
カーリーは、クジラに言われた通りに後ろの荷台へ座り、彼の背中にぎゅっと抱き着く。
そうして、自転車を走らせてフーの街へ入って行くのだった。
多分6話で終わりにし、外伝に入ります。




