深まる友情?家族愛?
3人は、第4階層のフロアボス、巨大リスを撃破して上に登り、第5階層の安全圏内へ辿り着いた。
「ここが最初の中継地点の階層だね。...見る限り人が1人も居ないけど...」
リーシャは、キョロキョロとしながら人を探していたが、5階層も人が1人も居ないようだ。
「まぁ、まだ低階層だからね。多分だけど、20層くらい越えればポツポツと人と遭遇するんじゃないかな...?」
クジラはそのように、補足説明をした。
「とりあえず、脇道にある中継地点の小部屋で、休憩にしないかしら?」
「うん、そうしようか」
3人は、安全圏外へ続く直線道ではなく、その横に分かれている小部屋へと向った。
「真ん中に石碑が在るだけで質素な部屋だね...」
リーシャは、部屋の壁に寄り掛かって座り込みながら、誰に言うわけでもなく呟いた。
「ふぅ、とりあえずこの石碑に入場札かざすと、中継地点として登録されるらしいからやっとこうか」
クジラは2人へ呼びかけ、手本になり札を石碑にかざす。
ぽぅ。と石碑が緑色に淡く光った。
「うん。これで1階層入り口にある石碑の前でかざせば、5階層へワープ出来るっぽいね。それと、もう1度かざすと1階層に戻るらしいから、2度押しに気をつけてね」
クジラは2人へ説明しながら実演する。
「ほぇぇ、綺麗な緑色だねぇ...」
リーシャは、石碑から湧き出ている緑色の淡い光を見て、うっとりとしているみたいだ。
「わたしには、そんなうっとりとする程の物には見えないわね...」
ヤヨイはリーシャを見て、
「そんな良い物なの?」
と呟きながら首を傾げた。
「ふぅ...、次の5層を攻略すれば、本番スタートだと思うから、2人も休めるうちに休んどきなよ?」
クジラはいつの間にか、地面に寝そべりながら、2人へ休むように忠告していた。
「クジラ、それはリラックスし過ぎじゃないかな...?」
クジラの方を振り向き、クジラの姿勢に気づいたリーシャが、的確にツッコミを入れた。
「そうかな?まぁ、気にしない方向でお願い」
「いやいや、突然地面にねっ転がられたら気になるに決まってるわよ!」
ヤヨイもクジラの更なるボケ?にツッコミの追撃を入れた。
「あはははっ。ごめんごめん、ちょっと足が疲れたなぁと思ってたら、気が付くと横になってたよ」
「はぁ、なんか、もういいわよ...」
ヤヨイは、クジラの行動と発言に対して、お疲れ気味にヤレヤレと首を振った。
「クジラってたまに抜けてるわね...」
3人の中で、それぞれの素の性格が、また1つ判明したようだった。




