1章1〜5話
こちら、1章1〜5話の修正版です。
これからちょこちょこと6話以降もリメイクしていく予定です。
2015年6月10日、修正の修正をしました。
「えぇ…あんなの来られたらやばいよ…。というか、何を食べてる…?っ!?うわぁぁぁぁぁっ!!?」
クジラがふと横を向くと、クジラの2倍ほどの大きさである、人型の豚のような生き物が右手にハンドアックス、左手に人間と思われる生き物を持ち、それを齧りながらこちらに向かっているのを見てしまった。
『ピ!?ピ、ピキー!!』
彼につられ、ゼリーのような生き物も豚のような生き物の方向に目がいってしまい、豚のような生き物を見た途端、慌てて逃げて行った。どうやら、それほど恐ろしい獣なのだろう。
「う、うわぁぁ……。ひ、人を食ってるあれって…、よくゲームの序盤から中盤あたりによくでるオーク的な魔物なのか…?雑魚敵なのにこんなに怖いのかよ…」
クジラは豚のような生き物(以降オークと記す)を見て、恐怖に支配される。
そして、この世界の生き物はみんなこのような奴ばかりだと思い始めたみたいだ。
さっきまで近くにいたゼリーのような生き物に関しては、もう頭から消え去っている。
『ブルァォァァァァァァア!!』
オークは、とてつもなくでかい声を発してクジラに対して威嚇しているようだ。
「ヒィィッ!?」
効果覿面。
彼は、全身震わせながら驚いている。
「で、でも…。さっき出した剣と具現化魔法があれば…。か、勝てるかもしれない…?」
クジラは足を震わせ、へっぴり腰になりながらも剣を構えた。
『ブギィィィィィ!!』
グワァン!!
「ひぃぃっ!!?」
オークはハンドアックスで、クジラの剣を、力づくでなぎ払った。彼の初めの姿勢を見ていたら、わかりきっていた事だったが、それにクジラは耐え切れず、剣を離してしまい、剣は10m近く飛んでいった。
ちなみに、ここでいうハンドアックスは、石材を手に握れる大きさに打ち欠き,一端をとがらせた前期旧石器時代の石器の一つと同じようなものであり、幸いなことに、長さが30cmにも満たない小物であった為、体が大きくよろけ、手がジンと痺れるだけで済んだ。
オークはニタニタと笑い、死体を齧りながらクジラの出方を伺っている。
「(す、すごい力だ…。どうすれば勝てるかな…?
とりあえず、剣がダメなら銃だ。こんなよくわからないところで死ぬ訳には行かないから、勝たなきゃいけないんだ!)」
「頼む!銃よ出てこい!」
ポンッ!
「えっ、これって…」
クジラは、モデルガンなどは全くといっていいくらいに興味が無い。すなわち、どんな銃があるのかすら全く知らないのだ。
そんな中出てきた銃は...
「え?なにこれ?」
とても軽く、中身がスカスカのようだ。
「失敗…なのか?」
クジラは、死んだんじゃないか?と、悟り始める。顔が絶望に染まり始めていた。
『プィッギッギッ』
オークは、完全に慢心していた。クジラの顔を見て、ニタニタと笑っている。
「嫌だ…、死にたくないぃ!!!」
とりあえずクジラは、慢心してニタニタと笑うオークに銃や向け、ぎゅっと引き金を引く。
ピシュッ
なにか、青白い光のようなものが出た。
『ギャオオオオオオオオオオ!!』
すると、オークは持っていたハンドアックスと死体を落として、右肩を抑え転がり始める
「れ、レーザーガン...?(まさかこの能力は、僕がパッと思い浮かんだ形の物が、そっくりそのまま出てくるのか…?)」
どうやらクジラは、実弾を使う現実にある普通の銃ではなく、SF映画のような近未来な銃を想像したらしい。そっちの方が強いんじゃないか?という自分の中のイメージの結果だろう。
「よしっ!!これなら倒せるぞ!!」
『プゥゥゥゥゥゥ…』
レーザーガンが相当効いたのか、いまだオークは立ち上がらない。
クジラはそれを見て、強気になり始める。
「本来なら僕は、君が齧ってた死体と同じようになってただろうね。でも、状況は変わった!君の慢心が原因で僕の勝ちだよ!!」
そっと、クジラは銃をオークに向けて構えた。
ピシュッ
『グボォ!!』
ピシュッ
『ンゴポッ!」
ピシュッ
『グォォ...』
ピシュッ
『』
発砲する事数発。
どうやら、もう動かないようだ...。
オークを倒したクジラは、
「…ふぅ、終わったか。こういう世界に転生したって事は魔物…でいいのかな?うん、魔物でいいか。
魔物を倒すのにも慣れなきゃいけないのかな…」
なんとも言えないような顔をしていた。
だが、それから5分。
「僕はこの世界で生きて行かなきゃいけないんだ。だから、早く魔物退治もなれなきゃね!うん、そうだそうだ!」
クジラは思考が結構単純のようだ。
彼は5分の間、自分を無理に納得させ、感情を切り替えた。この切り替えの早さがなければ、下手すれば銃を出す前に、ビビりきってオークに殺されていただろう。
「しっかしこのレーザーガンは、強すぎるなぁ…。いや、もしかしたらさっきのオークが弱いだけなのかもしれない…。とりあえず見渡す限り、魔物はいないみたいだから、今のうちに魔法の力を確認しなきゃな…」
そういってクジラは念じ始める。
ポンッ!
音と同時に、スポーツドリンクが出てきてクジラの手に収まった。
「お、でたでた。
やっぱレーザーガンが出た時に思ったけど、自分が想像した物がそのまま具現化するみたいだね。
いやぁ、咄嗟にレーザーガンを想像してよかったなぁ...。それと、言葉にしなくても頭の中で考えて強く念じれば出るっぽいね」
ポンッ!という音が3回続く。
すると、リュック、携帯できる簡素な食料、時計を順番に出した。
「はやく人がいるところに行って、この世界がどういうところか聞かなきゃね...。
でも、なにも魔法の事知らないで行動して魔物に倒されても困るし、今日はここで魔法の確認かなぁ?」
ポンッ!
再び奏でた音によって、テント(設置済み)がクジラの横に現れる。
「なるほど、手に持てるものは手に、持てそうにない、持ちきれない時はすぐ近くに出るんだな。遠くに出そうとイメージしても、それは出来ずに近くに出る...と。ならこれはどうかな?」
ポンッ!
今度はメモ帳が出てきた。
そのメモ帳には、ペンが付属している。
「あぁ、なるほど。しっかりとイメージすれば、セットで出せたりもするのか」
そういってメモ帳に、さっきまででわかったことを記入して行く。
そのように確認しては書いて、確認しては書いてを繰り返しているうちに暗くなっていた。
その間に、魔物が湧くことはなかったようだ。
クジラは先ほど具現化した時計を見て、1人呟く。
「もうこんな時間になったのか。ちょうどやりたい事あったのに...。まぁ、時間はたっぷりとあるはずだから、明日にでもやろう。
さて、ちょっと怖いけど今日はこのテントで一夜過ごすかな...」
そして、クジラは寝ている時に襲われないか、若干恐怖があったが疲れていたことにより、すぐに寝てしまうのだった。
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ふと、軽く寝ぼけながら目を覚ますと、クジラは危機感を感じた。
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
「(んんぅ?なんか、なんていうか、なんだろ?
すごい量の声が聞こえてくるぞぉ…!?)」
外から明らかに2、30匹を超える数のゼリーの形の魔物の声が聞こえてくるのだ。
危機感を感じないわけがない。
「(やばい、やばいよ、油断してたよ。どうする?…考えろ、考えるんだ僕!レーザーガンは強いけど、単発式だから多数は一気に倒せない…。何で倒せばいいだろう。なにか複数を一気に倒せるような物は無いのか?)」
『ピキー!』『ピキー!』『ピキー!』
ボスッボスッという音と共に、テントが何度も形を変形させている。
一体、いつ頃からテントにぶつかっていたのかは知らないが、テントの骨組みがグラグラとし始め、限界に近いようだ。
「(火炎放射器でも出して火で焼き払うか?いや、ダメだここは草原だ。広範囲を焼け野原にしてしまう…。そうだ、まだやっていない実験があるんだった。自分の想像する精霊的な者を具現化できるかもしれない)」
そういってクジラは、必死に頭の中で自分の思い浮かべるイメージを念じる。
「頼む!出てくれ!」
ズズズズズズッ
「ん?イメージした感じと違うな...」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
「うわ!なんかやばそう!」
ボコォ!!
「うわぁ!?…ってえぇ!?」
現れたのは、大きさが2m程あるモグラだった。
「えぇ〜…。僕は土を操って敵を追い払えるような精霊を考えてたんだけどなぁ…」
クジラは結構ガッカリしてつぶやく。
だが、それから一瞬だった。
「ヴラァァァァァァ!!」
モグラが吠えると、ゼリーのような魔物は全て慌てて逃げていった。
「えぇっと……つ、強いな」
クジラは召喚してから、終始困惑気味だった。
[クジラ視点]
僕は、土精霊なら地面を動かしたりしてあいつらを追っ払う事が出来ると思い、僕が知りうる限りの土精霊を想像して念じた。
すると、
『ヴラァァァァァァ』
想像とはまったく違う、でかいモグラが出てきた。
このモグラは、圧倒的威圧感のある咆哮で、一瞬でゼリー?みたいな魔物を追い払ってしまう。
一目見て思った事が…、
つ、強そう…。
ただそれだけだった。
と、とりあえず僕が召喚したんだから、僕には襲ってこないはず。は、話しかけてみるか!
「ね、ねぇ!そっ、そそそこの君!」
僕はできるだけ明るく、フランクに声をかけた…つもりだ。
他の人から見たら、震えた声でビビりながら声をかけてるように見えてるかも知れなかったけど…。
すると、モグラが
『はいはい、どんな御用だい?』
あら紳士。
とっても優しい口調で返答してきた。
「き、君は僕が呼び出した土精霊でい、いいんだよね?」
僕はちょっと自信なさげに質問する。
だって、こんな紳士的な人はまったく想像していなかったのだから!
『そうだよ、君が呼び出した土精霊が僕さ』
「あ、やっぱりそうですよね。ところで、ちょっと聞きたい事あるんですけど...」
『なんだい?あ、そうだ。今、私は君の使い魔という扱いなんだ。そんな畏まらなくていいんだよ?』
「は、はい、ありがとうございます。…じゃなくて、ありがとね。じゃあ質問に移るんだけど…、僕が土精霊を召喚するとしたら、どんなイメージがあっても君がでてくるのかい?」
『まぁ、そうだね。他の精霊達もそうだと思うよ。おそらく、君は具現化魔法の使い手のようだね?でも、召喚はこれが始めてのようだ。ならば、知っておくといい。召喚は一度に付き二体まで出せるんだ。そして、召喚の場合は具現化と違って、時間制限がある。しかし、例外で永続的な召喚もあったりするんだ。これに関しては、今の君だったらまだ例外を引き当てることは無いから、知る必要は無いかもね。
で、ここまでは大丈夫かい?』
なるほどなるほど...。
「うん、大丈夫。召喚は同時に二体まで、そして召喚には時間制限があり、この制限を超えると召喚した精霊とかは消えてしまう。…でいいかな?」
僕は重要な所を繰り返して答えた。
『あぁ、それであってるよ』
「その、制限時間ってのは具体的にはどのくらいなんだい?」
『それは召喚した物それぞれだね。ちなみに私は5分から10分だよ』
短いなぁ…。
「うん、だんだんこの魔法についてわかってきたぞ」
『それはよかった。あと、アドバイスだけど私達、召喚される精霊はみんな顔見知りだ。精霊以外の召喚できる方々の事は知らないけどね。だから、言えることがあるんだけど、光精霊と闇精霊は出すなら少し気を付けた方がいいかもね。出すなら他の精霊と一緒に出すのをお勧めするよ』
「光と闇か…。言う事を聞かなかったりするのかい?」
『まぁ、そうとも言えるんだけどね...、性格に少し難があるんだよ...』
土精霊のモグラは何故か遠い目をしている。
いったい、どんな精霊達なんだろう…?
「そ、そうなんだ。聞かない事にする、あと気を付けるよ」
『…ありがとう。って、そろそろ制限時間だよ。また何があったら私のことを呼ぶと』
モグラは話してる途中に、煙になって消えちゃった。
なんか、ごめんよモグラ。
「さて、そろそろ人が住んでいる場所目指して歩きますか!」
僕はそのように意気込むと、持って行くにしては大きすぎるテントをそのまま置き去りにして、リュックを背負いとりあえず真っ直ぐ歩き始めた。
[クジラ視点終わり]
歩き始めて30分ほど時間が経った。
「んー、見晴らしが良いのはいいんだけどね、一向に人が住んでる所が見つからないんだなぁ…」
クジラは一人呟きながら、歩き続ける。
「そういえば具現化魔法の事ばかり考えてて思いっきり忘れてたけど、情報能力について調べないとなぁ….。ちょっと使ってみるか!とりあえず能力名叫べば使えるかな?情報能力!」
ピコン
機械のスイッチがONになるような音が聞こえた。
《情報能力メニュー》
・ステータス
・魔法、能力
・道具鑑定
・--------------
・--------------
・設定
「うお!なんかついた!これは便利そうだね!」
クジラの視界の左下の方に、薄透明な感じにメニューバーが開かれた。
「とりあえず上から見ていこう!ってどう動かせばいいのかな...?って、念じたら普通に動くや」
コマンドの選択法を簡単に覚えたクジラは、上から順に見ていくことにした。
「ステータスは、簡単に僕の能力でいいんだよね?」
《情報能力メニュー》
《ステータス》
クジラ 男
レベル1
16歳
能力
・具現化魔法
・情報能力
「ふぅん、レベル1って事以外対した事は書いてないか…。次は魔法、能力だね」
《情報能力メニュー》
《魔法、能力》
クジラ
・具現化魔法
・情報能力
「ステータスと全く変わらない二度手間じゃないか!
次は道具鑑定だ…。鑑定する道具は…、リュックでいいか」
クジラはそう呟き、昨日具現化したリュックを鑑定する事にした。
《情報能力メニュー》
《道具鑑定》
「えぇと、リュックって見つめてればいいかな…?」
《情報能力メニュー》
《道具鑑定》
《結果》
リュックサック(相場1500モール)
・何の変哲もない普通のリュックサック
「へぇー相場も出てくれるのか…。これは便利だね、どんな通貨を使ってるのかがわかるし、これはありがたい。で、この世界はモールっていうのがお金の単位なのね….」
そう言うと念じ始めた。
「むむむむ!ダメだ!もしも具現化できても、僕にはその偽通貨を使えるほどの悪心がない!ってか、もしも偽通貨ってバレたらこわい!…やめるか、次いこう。鑑定と設定の間の二つはまだ使えないってことかな?まぁ、放置でいっか。じゃ、最後に設定だね。」
《情報能力メニュー》
《設定》
・常時情報能力起動OFF/ON
(現在OFFになってます)
・メニュー変更 ①、2、3、4
「ふむ、設定とか言うわりに変更できるコマンドが2つって酷いな…。とりあえず情報能力は常にONにしておこう」
ピコン
設定を変更すると情報能力をONにした時と同じ音がした。
《情報能力メニュー》
《設定》
・常時情報能力OFF/ON
(現在ONになってます)
・メニュー変更 ①、2、3、4
「なるほど、今の電子音は情報能力内で何か変更するとなるんだね。メニュー変更ってなんなんだろう。2にしてみよう」
ピコン
《情報能力メニュー》
《設定》
・常時情報能力OFF/ON
(現在ONになってます)
・メニュー変更 1、②、3、4
先ほどまでメニューは薄い青の枠で囲まれてたのが、薄い黄色に変わった。
「ゲームかよ…」
クジラは困惑した。
「見にくいから元に戻すか…」
ピコン
「はぁ…、なんだこの無駄機能…。はやく人に会うためペースあげるか…」
クジラは一言嘆くと、歩くペースを上げた。