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最高級料理店クジラ

57話になります!!


今回は食事メインの回です。


それではどうぞ!


ガチャ


3人は街巡りを終え、家へ帰ってきたようだ。


「ふぅー、楽しかったね!クジラ、ヤヨイ!」


「楽しんでくれたみたいで良かったよ」


「ふふふ、リーシャってほんとお子ちゃまみたいね。12歳って言われても納得できちゃうわよ」


「もぅ!これでも16歳だもん!」


「あはは、それじゃあもういい時間だし、ご飯にしようか。今日はちょっと豪華にいくよ」


「待ってました!どんな物が食べれるのか楽しみだよ!」


「そうだ、特殊な料理法で作るって言ってたわね。どんな作り方なのか見して欲しいわ」


「うん、それじゃあ早速作るからダイニング行こうか、あっ、そうだヤヨイ。うちは土足厳禁にするから、靴は脱いで下駄箱入れてね」


「そういえば今日の朝にもそんな事行ってたわね、まっ、わたしは掃除が楽になるから賛成よ〜」


そういってヤヨイは素直に靴を脱ぎ、下駄箱を入れた。




「さて、それじゃあ夕食といきますか」


「いやいやクジラ。あんた何も作ってないじゃないの」


ヤヨイから的確なツッコミを受ける。


「まぁ、そうだね。それじゃあ見ててね」


ポンッ!ポンッ!


3人が囲んでいた丸いテーブルに、すき焼きとザルの中に山に盛られた卵が出現した。


すき焼きからプーンと食欲をそそる匂いが漂い始める。


「へぇ?不思議な魔法ね」


ヤヨイはリーシャとは違い、具現化魔法にそこまで驚いていなかったようだ。


「うん、これが僕の調理法だよ。調理って言ったら料理人に怒られそうな気もするけど...」


「別にいんじゃない?それにしても美味しそうな匂いがするわね。これはなんていう料理なの?」


「これはね...。こらっ、リーシャ。食べ方の手順説明するからまだ食べるな!」


「ギクッ!?」


匂いに我慢できず、こっそりと肉を食べようとしていたリーシャをクジラは制した。


「えへへ、美味しそうだったからつい...」


「まぁ、気持ちもわかるけどちょっと待ってね。で、これはすき焼きっていって、僕の住んでた所では、高級料理的な感じの物だね」


「へぇ、なかなか興味深い場所だわ」


「...。」


リーシャが無表情でクジラを見つめている。


「そうかな?...あはは、リーシャが早く食わせろっていう視線を僕に浴びせてるから食べ方の手順を言うよ」


「小皿に卵を割って中身を入れる。そして軽く卵をかき混ぜる。その卵にすき焼きを絡めて食べる。以上!それじゃあリーシャ。食べていいよ」


「うん!いただきまーす!」


クジラから許可が下りたリーシャは、卵を一つ山から取り、割ろうとした。


「うわぁ!潰れた」


力加減を誤ったようで、卵は四散したようだ。


「ははは、卵はまず軽くヒビを入れて、ぱかっといい具合にやればしっかり割れるよ」


クジラが説明とともに、卵を割ってみせた。


「成る程、生の卵に絡めて食べるとはこれまた不思議な食べ方みたいね」


そういってヤヨイは難なく卵を割り、すき焼きを食べた。


「あら!これ凄い美味しいじゃない!これは食が進むわ」


ヤヨイはそういってひょいひょいと肉を食べていく。


「あっ、ずるい!」


リーシャもしっかりと割れたようで、ヤヨイと肉の取り合い始めた。


「美味しーい!!このお肉とっても良い味してるね!!」


「2人共肉以外も食べようね...?」


クジラは、肉以外の具材を黙々と食べ始めた。


「ところでクジラ?これ肉が2種類入ってるけど何の肉なの?」


リーシャが肉について質問してきた。


「あぁ、塊が鳥肉で、薄っぺらいのが牛肉だね。2人共どっちが美味しい?」


「んー、どっちも美味しいけど、私は牛肉かな。噛み締めると凄い良い味が出て美味しいよ。」


「わたしは鳥肉の方が美味しいわね。お肉なのに凄いあっさりしてていいわ」


「そっかぁ...。僕はどっちも好きかなー。まぁすき焼きだと豆腐が1番すきだけど」


クジラが肉より豆腐発言した瞬間、2人は『は?』とでも言いたげな顔をした。


「クジラって、変な所で控えめだよね」


「そうよ、あんたはもっと欲を持ってもいいと思うわよ?」


「んー、そうかな?充分欲はあると思うけどなぁ...」


「まぁ、これがクジラのいいところでもあるよね?」


「そうね、多分こんな無害な人あんまいないと思うわ」


リーシャとヤヨイはクジラの発言に、若干呆れたような表情を見せた。


「そんな事よりすき焼き冷めちゃうから食べようね!ほら!

(僕ってそんなに無欲なのかな?)」


クジラは自分は無欲なのか?と心の中で少し悩んだ。


食べ始めて10分ほど、鍋の中も殆ど無くなってきたようだ。


「それにしてもこれ、ほんと美味しいわね〜。この料理が、世界に知られてないってことは、そんなに故郷が辺境にあるわけ?」


ヤヨイがクジラの故郷の場所について質問したようだ。


「うん、多分相当辺境の地なんだと思うよ?(事実日本は東の端にあるわけだし...)」


「なんて名前?私、クジラの故郷がどんなところか凄い気になるな」


続いて、リーシャがクジラの故郷の名前を尋ねた。


「日本って所なんだけど...。知らないよね?」


「聞いた事ない地名だね...」


「ニホン。ねぇ、わたしも聞いた事ないわ」


当然の事か、2人も知らないようだった。


「まぁ、世界にもあまり知られて無いんだよ。それよりそろそろ締めにしようか」


ポンッ!ポンッ!


クジラは話をはぐらかして、すき焼きの締めとして、炊飯ジャーとしゃもじ、そしてお玉を具現化した。


「この料理は、最後に残った具と汁をご飯にぶっかけて食べるんだ。1度に2度美味しいってやつかな?」


クジラは、炊飯ジャーを開いてお椀にふっくらと炊けたお米を盛り、お玉ですき焼きの残り汁をお米に掛けて啜るように食べ始めた。


リーシャとヤヨイも見よう見まねでお米に汁をかけ、食べてみた。


「クジラ!これは最高だよ!さっきまでとはまた違った料理を食べてるみたいだね!」


「うん、これも美味しいわね。おにぎりをちょこちょこ売るよりも、お店借りて料理屋やった方が稼げるんじゃないの?」


「そうかな?おにぎりが売れなくなったらそういう路線に変えるのもいいかもね」


「レストランクジラ!いいんじゃないかな?」


「ははっ、まぁ今クジラ屋だしそれでいいかもね」


リーシャのネーミングにクジラは乾いた笑いで答える。


「それじゃあそれ食べ終わったら、ちょっと食休みして、デザートにしようか」


クジラはそう提案をした。


「デザート?なにそれ?」


「まだなにか食べるの?」


リーシャとヤヨイは疑問形で答える。


どうやらこの世界は甘い物が貴重らしく、デザートという単語はあまり知られてないようだ。


「なるほど甘い物があまり食べられてないのか...、ふふふ。」


クジラは、急に笑い出した。


「クジラ?」


リーシャが何事かとクジラを呼ぶ。




「君達に幸せを提供しようじゃないか!!!」


クジラはこう答えた。


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