密かなお礼
最終章51話になります!
本日2回目の投稿です!
それではどうぞ!
「んはぁぁ~……。最高のひとときだったんよ……」
ヨシノ達は、クジラの普段とは比べ物にならない程の集中力で具現化されたケーキに、リーシャが精神を研ぎ澄ませて淹れた紅茶という最強な組み合わせを味わった事で、今ならば死んでも悔いはないとでも言いそうな表情で満足そうにしていた。
「さてと、そろそろ良いかな?ヨシノ、俺から頼みがあるんだけど、聞いてくれるかい?」
最強に美味なケーキと紅茶を味わい、至高のひとときを過ごしていた彼女達を邪魔しない為にタイミングを見計らっていたランドは、そろそろ良いかと呟くとヨシノに頼みがあるという事を伝える。
「んん?何でもいいんよ。今なら大抵の事ならば二つ返事でオーケーしてやっから!ほら、言ってみ?」
「それは助かるなあ。俺の弟妹達が今日一日、安心して泊まれる場所を貸してほしいんだ」
至高のひとときの余韻に浸っていて、最高に上機嫌な様子のヨシノがなんでも言ってみろと告げると、彼は今日一日フーの町に泊まる弟妹達の宿泊場所を見繕うよう頼む。別に宿泊場所など適当な宿でも良いはずだが、この長男は凄まじく心配性な為、出来る限り安心して泊めさせられる場所を求めているのだ。
「オッケー!私に任せるんよ!私のデパートの従業員が住むアパートには2、3部屋の空き部屋があるからそこを貸してやんよ。心配すぎて仕方がないなら、お前も一緒に泊まればいいんよ。……プラモ~、空き部屋の鍵、どこやったっけ?探してランドに渡してくんない?」
『相変わらず、魔道具使いの荒いマスターだ。私の記憶だと確かあそこに……。今取って来るから少し待っていろ』
「恩に着るよヨシノ、プラモ。俺に頼みたい事があったら、出来る限りの協力はするから何でも言ってね?」
ランドの頼みを二つ返事で了承すると、腕を組んで少し悩むしぐさを見せる。それを4、5秒続けると諦めたような様子でプラモに声をかけてアパートの空き部屋の鍵を探し出してランドに渡せと命じた。プラモはやれやれと言った様子で応じると、ゆっくりと移動を開始する。ランドはその様子を見て、頼んで良かったという晴れやかな顔をしながら感謝を口にし、お礼として手伝える事があったら出来る限りの協力はすると伝えていた。
「別に礼なんて考えなくて良いかんな?ランドに恩を売っておけば、リーシャとクジラから何かしらのリターンがあるからね。そうだよな?また疲れた時とかにさっきの超美味いケーキと紅茶を頼めば作ってくれるよな!?」
「えへへ、紅茶くらいならば全然構わないよ~」
「僕も、たまにならば本気の具現化をした物を振る舞っても良いかな?毎日とかだと流石に嫌だけどね」
ヨシノはランドに礼など必要ないと伝えると、リーシャが淹れた紅茶を飲みながらイチャイチャしていたバカップルに質問をする。バカップルことクジラとリーシャは、美味しい美味しい言われたのが嬉しかったようで、ニコニコ笑いながら毎日じゃなければ全然構わないと口にしていた。
「んー、俺自身も何か恩を返したいし、些細な事でもヨシノの役に立ちそうな事を見つけたら、ヒッソリとこなす事にするよ」
心の中でクジラとリーシャにお礼を良いながら、構わないと言われても何かしてやりたいと言い、影でこっそりとヨシノの為になる行動をしてあげる事に決めるランド。その結果なのか、この日から約1週間ほど過ぎた頃、フーの町のギルドにヨシノデパートを紹介する手作り感満載な大きな張り紙が貼られる事になる。ヨシノはその張り紙の存在を数日遅れで知ると、歓喜しながらダッシュでギルドに向かったという。




